親友と異世界トリップ

瀬尾

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総長

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 食事を終えた後、リチャードに聞いた元老院の協力者は代々王家に仕える貴族の内の二人だった。

 正直残りの貴族二人は完全なエドガー派なのでそこは切ることにした。無駄骨はしない主義だ。問題は残りの、所謂変人組だ。

 「ギルド総長はユキで攻略出来る、頭でっかち共は俺が何とかする。問題は、混沌の魔女、百年のカンタレラ、か」

 「人前に出ない上に、元老院での会議にすら滅多に顔を出さない。……彼女も諦めた方が良いんじゃないか……?」

 確かに、他の元老院の人の方が説得し易いだろう。だが彼女は別格だ。ここ百年、元老院であり続ける彼女は、ある意味その中で一番恐れられていると同時に、おそらく頂点に君臨して居る人だ。

 もし王になるつもりなら、彼女は、いつかこちらに引き込めなければならない。

 「……確かにそうだが……」

 とりあえず彼女の事は、居場所を見つけないと始まらないため一度置いておくことにした。

 「うぅん、正直カイトの言った人達以外の落とし方が今一思い浮かばない……、商人のお嬢さんも面倒くさそう……」

 ユキはお嬢さんと言っては居るが、彼女は中々のやり手でここ最近元老院に抜擢された注目株だ。

 ひとまず明日はギルド総長に会いに行く事になった。

 結局アレクは昼食を終えると仕事に戻ったが、何故か夕食の時に再びこの部屋を訪れ、気まずそうに黙っている彼に、食事に誘ったら酷く嬉しそうにしていた。そのため、結局リチャードが今後ここで食べるように言い、食卓に仲間が一人増えることとなった。

 夜寝るときは広いベットをリチャードとユキが使い。カイトが足を伸ばしても余裕のあるソファに、彼とユリウスが眠る事になった。

 初めは皆んなで一緒に寝ようとリチャードが言ってくれたが、流石に四人は狭かった。いくらユリウスが子供でも、ベットの様なソファがあるなら別に無理に一緒に寝る必要は無いと思った。

 ユリウスに叩かれて朝目が覚めた。

 不快そうに顔を歪める彼にオムツを替えてやった。

 朝食を済ませ、アレクの案内でギルド総長に会いに行く事になった。馬車に揺られて数十分。

 「アレクは彼に会ったことあるのか?」

 リチャードの問にアレクサンダーは気まずそうに頷いた。何でも現在のギルド総長は中々の戦闘狂で、会った瞬間に戦いを挑まれたらしい。

 「奴は、私より確かに強かった。……まぁ、ユキ殿の方が強いだろうが」

 流石は総長、最強の冒険者がなるだけはある様だ。もちろん力だけでなれる訳ではない。カリスマ性や多少の教養、事務仕事が出来ないとなれない。カリスマ性以外は抜擢された時に叩き込まれるそうだが。

 ギルドの総本部に辿り着いた。

 すでに連絡は入っていた様で事務員総出で出迎えられた。その中央には明らかに雰囲気の異なる人物が混じっていた。

 「初めまして。お初にお目に掛かります。ギルド総長を務めているブライアンとと申します。……リチャード様が私に面会希望など、聞いた時には耳を疑いましたよ」

 そう言って爽やかに笑う彼は、総長その人だった。身長はアレクサンダーとほぼ同じ、体格はがっしりとしているがアレクよりも細身。歳は三十前後で非常に若く、短く切られた髪。その姿はまさに好青年そのものだ。

 「君がギルド総長か。何、大した様ではない。君と少し、話がしてみたかっただけさ」

 リチャードは相変わらず、カイト達と接するとき以外の態度が上に立つ者のそれだった。それなのに全く嫌味に聞こえないのはとても不思議だ。自然と彼が自分より上だと認識してしまう。

 「……こちらへどうぞ」

 部屋に案内され、部屋に通された。まさに来客用の部屋は中々に綺麗だった。城と比べると多少質素に感じるが。

 部屋の中のソファにリチャードが座り、カイト達やアレクはその後ろに立って控えた。部屋にはブライアンとカイト達しか居ない。

 「まどろっこしいのはお互い嫌だろう?……単刀直入に言う。……私は王座が欲しい。この国の王座が。そのために君に協力して欲しい」
 
 彼はそう言ってブライアンの見つめた。数秒もしないうちに、リチャードは溜め息を吐いた。

 「自分より強い者にしか従いたくないか」

 その言葉にブライアンは驚き目を見開く。リチャードに心を読まれたことに驚いたのだろう。しかし、次第に笑い出した。

 「くくっ、ははははは!第二王子が魔法の使い手だと言うのは本当の事だったのか!……そうだな、俺よりも強い人物出なければその話は聞けないな。弱い奴に命令されるのが嫌いで今の地位にいる訳だからな!」

 ユキが眉を歪めた。彼女の考えは何となく分かる。彼がリチャードに対して無遠慮な態度を取った事が気に障ったのだろう。自分が彼に敬語も何も使っていない事は棚に上げている。

 「……じゃぁ、私が相手してあげるよぉ」

 そう言って彼の前まで移動した。先程一瞬見せた表情は隠れ、酷く愉快そうに口角を上げていた。

 「……嬉しいね。……俺も少し気になっていたんだ。君の容姿と中身に違和感を感じていてね」

 結局ユキは二日連続戦うことになった。

 
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