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第1章:カス住民ぶちのめし編
1-4. 魔族を棍棒で殴り殺す
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魔族たちが宿の前に着地するから、俺は目視をやめ、建物側面に隠れる。
最後に見た限り、ジャルガンは羽根飾りのついた兜をかぶり、両腕を金色の甲冑で覆っていた。殺した人間から奪った武器防具で武装しているのだろう。
魔族はモンスターと交わった人間の子孫と言われており、教会は彼らを邪悪な者とみなしており、発見次第即座に殺すことが信者の義務だ。
俺に信仰心はまったくないが、教会で祝福を受けてスキルを授かった身だから、命と名誉をかけてあの魔族を殺す義務がある(と教会は説いている)。
扉の軋む音がする。
魔族とモンスター達はお行儀良く扉を開けて中に入っていくようだ。
(あいつら住民に目撃されることをまったく警戒していない。ということは町ぐるみで魔族とつながっている……?)
俺は足音を殺して壁際を移動し、窓から漏れる会話に耳を傾け、中の様子をうかがう。
「どうした。娘の姿がないようだが。聖女が3人と聞いているが? さあ連れてこい」
「そ、それが、お預かりしている薬が効かず……」
「なんだと? 逃げられたのか? それとも、我ら魔王軍を裏切るというのか?」
「め、滅相もございません!/
:きひひ骸骨じじじが急速に早口になっていく。
/か、代わりというわけではありませんが、銀貨があります! これを差し上げますので、まだ付近にいる冒険者の男を殺していただきたいのです!」
「くくくっ。人間の金で魔族に命令するか?/
:愉快そうにしていた口調が急転して冷たくなる。
/ゴミが増長しおって。見せしめだ! 貴様は殺す!」
「そ、そんな!」
「やれ」
「げぎゃっ!」
ガタガタッ! ドンッ!
「た、助け――」
ザシュッ!
ドシュッ!
「ぎゃああああっ! 痛いッ! 痛いッ!」
「殺さずになぶり、死ぬまで広場に晒しておけ!」
「げぎゃぎゃっ!」
「お、お許しを……。ジャルガン様……。/
:げほっと血を吐いたらしき音が聞こえる。
/か、回復魔法を……。し、死にたくない……」
「くくくっ。貴様はそうやって命乞いをする女を、いったいどれだけ我らに差し出してきたのだ? 報いを受けるときがきたようだな」
正論だが、お前が言うことではないな……。
室内の物音が移動し始め、出入り口から中の者たちが出ていく。
俺は壁際をそっと移動して、血まみれの店主が悪魔タイプモンスターに引きずられていくのを見送る。
「た、たす……け……」
きひひ骸骨じじいはもうきひひと笑うことはできないらしく、口からゴポゴポと血の泡を吐いた。
(おい。超越者たちよ。あそこに助けを求めている人間がいるぞ。力を貸してやったらどうだ?)
……。
……返事はない。
悪行を重ねてきた店主を救うつもりはないし、去るか。
だが、だいぶ遅れて、最後にジャルガンがひとりで出てきて、その背中があまりにも隙だらけだったから、俺は行動する。
右腰にくくりつけてある棍棒を右手に持ち、腰の後ろに引っかけてある短槍を左手に持つ。
ふたつとも自作の武器だ。
木材の膨らんだ先端に甲冑の肩パーツをはめたものが、右手の特製棍棒。
細くて真っ直ぐな棒の先端に槍の穂先を取りつけたものが、左手の特製短槍。
一応、なんの変哲もない武器――のはず。
少し前にフレの超越者たちが『え。お前の武器、弱すぎ?!』『強化してやる!』『祝福してあげましょうか?』『我が武器を授けよう』とか言いだして、俺は『棒でじゅうぶんだから!』と遠慮したんだが、世界の裏側を支配している極光の竜王が『おら。いい棒があったぞ』と棒を送りつけてきた。
普通の木の棒のはずだが、一度も折れたり欠けたりしないから、何か特殊な物かもしれない……。
「ウォータークリエイト!」
俺は自分が唯一使える水魔法を使う。俺の魔力では敵を攻撃するような水量は出せない。
手のひらを湿らせる程度。
だが、それでじゅうぶん――。
右の手に握る棍棒が水を吸収してわずかに膨張する。これにより、先端部の金属と木の接合が強固になって耐久性が上がり、重量が増えた分、攻撃力も上がる。
城壁工事の現場で、巨大な岩石に木製のくさびを打ちこみ水をかけて、木が膨張する力で硬い石を割っていた。それを見て思いついた工夫だ。
わずかな水でも工夫次第で巨大な力を生みだす。
逆に、左手の短槍からは水分を吸収。乾燥することにより硬くなり、さらに軽量化で刺突速度が上がり、攻撃力が上昇。
左手に速度と鋭さの短槍、右手に重量の棍棒、これが俺の武器!
あとは、父から教わった戦闘術を駆使する。
俺は魔族の背骨を避け、腰に近い位置を左の短槍で鋭く突く。
ザクッ。ズグッ……!
切っ先は骨のすき間にすっと入った。
魔族の動きが硬直する。
魔族はまだ痛みを感じていないのか、背中に違和感があったのか「んっ?」と声を漏らした。
俺は左手を放し、右の棍棒を全力で振り下ろして後頭部を殴打。
ゴギンッ!
金属のぶつかる鈍い音がし魔族が前方に傾く。
「かはっ!」
魔族は倒れない。右足を前に出して姿勢を立て直そうとした。
だが、自分の身に何が起こったのか正しく理解できていないらしく、全身をけいれんさせながら、両手をゆっくりと頭の方に上げる。
動きが止まった!
必殺技を決めるチャンス!
俺は棍棒を振り上げ、降り始めるが、3割ほどで力を急反転。棍棒を再びスイング開始位置に戻す。
全身の筋肉が絞られ、体内で筋繊維がみちみちと鳴るかのようだ。
「う、お、おおおおっ!」
俺は力を解放し、全力で振り下ろす!
ゴルフで飛距離を伸ばすダブルポンプスイングという技法があり、その応用だ。停止している目標に対して、威力を増大させることができる。
かつてショート動画で見た記憶による、現代知識無双だ!
ベギャンッッ!
兜がひしゃげる音と「ぎゃっ!?」という短い悲鳴が混ざった。
ドサンッ!
魔族は顔から地面に激しく叩きつけられて、手足を力なく投げだした。小刻みで速いけいれん。演技ではない。
だが、油断はしない。
俺は魔族の兜を強引に引っ張って脱がし棍棒を振り上げる。
「ぶちのめす!」
短い毛の生えた後頭部に、棍棒を振り下ろす。
ゴグシャッ!
頭蓋骨の砕けた手応えがあった。
死んだ可能性が高い。
仮に生きていたとしても、負傷が原因ですぐに死ぬ。
血や脳がこぼれてくれば確実性は上がるが、あまりグロい光景は見たくない。
しかし、回復して反撃してくる可能性は捨てきれない。
死亡時に自動発動する蘇生魔法がかかっている可能性がある。種族として再生能力を有している可能性もある。
体の構造や骨格が異なる場合もある。脳の代わりになる器官を有している可能性だってゼロではない。
レベル41とは、そういう存在だ。
だから油断は禁物。
俺は短槍を心臓の位置に突き刺す。血が勢いよく出てくる。つまり、心臓はまだ血液を全身に送る役目を続行している。
「グロいのは苦手だが……!」
棍棒を振り上げて両手で握り、後頭部に全力で振り下ろす。
グシャッ!
先ほどより柔らかい手応え。脳を守る骨は既に砕けていたようだ。
ドロッとした黒い液体が地面に広がっていく。
俺は魔族ジャルガンの死体から目を離さずにスキルを使用。
「『Xitter』オープン」
左手にスマホサイズの黒い金属板を出現させ、『おすすめユーザー』一覧からジャルガンのアカウントを選び、過去の発言を見る。
────────────────────
■ジャルガン@最強の魔防壁 3分前
殺さずになぶり、死ぬまで広場に晒しておけ!
────────────────────
■ジャルガン@最強の魔防壁 2分前
くくくっ。貴様はそうやって命乞いをする女を、いったいどれだけ我らに差し出してきたのだ? 報いを受けるときがきたようだな
────────────────────
■ジャルガン@最強の魔防壁 2分前
(くくくっ。豚め。気づかれていないつもりか?
壁の向こうにひとり潜んでいるな。
殺気を完全に殺している。
人間にしてはなかなかやるようだ。
だが、残念だったな。俺は人間より遙かに耳がいい。
隙を晒して誘い出してみるか)
────────────────────
■ジャルガン@最強の魔防壁 1分前
(さあ、背中を晒してやったぞ。
5重の魔力防壁で守られた私に、人間の攻撃など効かぬということを思い知り、絶望するがぎゃっ?!
がっ、な、なんだ。この痛み)
────────────────────
■ジャルガン@最強の魔防壁 52秒前
(さ、刺さってる?!
な、なんだ。うぐっ。
だ、だが、この程度、私の再生力なら……)
────────────────────
■ジャルガン@最強の魔防壁 40秒
(ぐぎゃっ!
あっ、頭が……燃えるように、熱い……。
ありえ、ない……。
5属性以上の同時攻撃でしか、私は……)
────────────────────
■ジャルガン@最強の魔防壁 16秒
(めpゅっ@)
────────────────────
(……竜王からもらったものだし、やはりただの棒ではないか。今まで使った感じだと攻撃力が上がっているようには思えないし、今も魔族の肉体の損傷は少ない……。防御無効化の特殊効果でもあるのか? 魔族の心の声は途絶えている。死んだはずだが、念のためにDMを送っておくか)
俺は、『Xitter』の画面にある封筒の形をしたアイコンをタップする。
────────────────────
■自分
おい。
ゴキブリ駆除薬みたいな名前のゴミ魔族。
聞こえるか?
格下のザコ人間から後頭部に不意打ちを喰らった気分はどうだ?
お前は発情期の雌豚みたいにケツを振っていて隙だらけだったぜ。
ところで、どうして頭の中にゴブリンのクソを詰めてたんだ?
俺の言葉を理解するだけの知能はあるか?
────────────────────
「よし。既読がつかない。死んでいる。煽りメッセージに何かしらの反応をすれば、通知で分かるからな。もうこいつは放置でいい」
俺は黒い板を袖の内側にしまうと息を大きく吐き、額に浮かんでいた汗を拭う。
親しくない相手に対してXitterを使用すると、スキルパワーを大きく消耗するから、かなり疲れる。
最後に見た限り、ジャルガンは羽根飾りのついた兜をかぶり、両腕を金色の甲冑で覆っていた。殺した人間から奪った武器防具で武装しているのだろう。
魔族はモンスターと交わった人間の子孫と言われており、教会は彼らを邪悪な者とみなしており、発見次第即座に殺すことが信者の義務だ。
俺に信仰心はまったくないが、教会で祝福を受けてスキルを授かった身だから、命と名誉をかけてあの魔族を殺す義務がある(と教会は説いている)。
扉の軋む音がする。
魔族とモンスター達はお行儀良く扉を開けて中に入っていくようだ。
(あいつら住民に目撃されることをまったく警戒していない。ということは町ぐるみで魔族とつながっている……?)
俺は足音を殺して壁際を移動し、窓から漏れる会話に耳を傾け、中の様子をうかがう。
「どうした。娘の姿がないようだが。聖女が3人と聞いているが? さあ連れてこい」
「そ、それが、お預かりしている薬が効かず……」
「なんだと? 逃げられたのか? それとも、我ら魔王軍を裏切るというのか?」
「め、滅相もございません!/
:きひひ骸骨じじじが急速に早口になっていく。
/か、代わりというわけではありませんが、銀貨があります! これを差し上げますので、まだ付近にいる冒険者の男を殺していただきたいのです!」
「くくくっ。人間の金で魔族に命令するか?/
:愉快そうにしていた口調が急転して冷たくなる。
/ゴミが増長しおって。見せしめだ! 貴様は殺す!」
「そ、そんな!」
「やれ」
「げぎゃっ!」
ガタガタッ! ドンッ!
「た、助け――」
ザシュッ!
ドシュッ!
「ぎゃああああっ! 痛いッ! 痛いッ!」
「殺さずになぶり、死ぬまで広場に晒しておけ!」
「げぎゃぎゃっ!」
「お、お許しを……。ジャルガン様……。/
:げほっと血を吐いたらしき音が聞こえる。
/か、回復魔法を……。し、死にたくない……」
「くくくっ。貴様はそうやって命乞いをする女を、いったいどれだけ我らに差し出してきたのだ? 報いを受けるときがきたようだな」
正論だが、お前が言うことではないな……。
室内の物音が移動し始め、出入り口から中の者たちが出ていく。
俺は壁際をそっと移動して、血まみれの店主が悪魔タイプモンスターに引きずられていくのを見送る。
「た、たす……け……」
きひひ骸骨じじいはもうきひひと笑うことはできないらしく、口からゴポゴポと血の泡を吐いた。
(おい。超越者たちよ。あそこに助けを求めている人間がいるぞ。力を貸してやったらどうだ?)
……。
……返事はない。
悪行を重ねてきた店主を救うつもりはないし、去るか。
だが、だいぶ遅れて、最後にジャルガンがひとりで出てきて、その背中があまりにも隙だらけだったから、俺は行動する。
右腰にくくりつけてある棍棒を右手に持ち、腰の後ろに引っかけてある短槍を左手に持つ。
ふたつとも自作の武器だ。
木材の膨らんだ先端に甲冑の肩パーツをはめたものが、右手の特製棍棒。
細くて真っ直ぐな棒の先端に槍の穂先を取りつけたものが、左手の特製短槍。
一応、なんの変哲もない武器――のはず。
少し前にフレの超越者たちが『え。お前の武器、弱すぎ?!』『強化してやる!』『祝福してあげましょうか?』『我が武器を授けよう』とか言いだして、俺は『棒でじゅうぶんだから!』と遠慮したんだが、世界の裏側を支配している極光の竜王が『おら。いい棒があったぞ』と棒を送りつけてきた。
普通の木の棒のはずだが、一度も折れたり欠けたりしないから、何か特殊な物かもしれない……。
「ウォータークリエイト!」
俺は自分が唯一使える水魔法を使う。俺の魔力では敵を攻撃するような水量は出せない。
手のひらを湿らせる程度。
だが、それでじゅうぶん――。
右の手に握る棍棒が水を吸収してわずかに膨張する。これにより、先端部の金属と木の接合が強固になって耐久性が上がり、重量が増えた分、攻撃力も上がる。
城壁工事の現場で、巨大な岩石に木製のくさびを打ちこみ水をかけて、木が膨張する力で硬い石を割っていた。それを見て思いついた工夫だ。
わずかな水でも工夫次第で巨大な力を生みだす。
逆に、左手の短槍からは水分を吸収。乾燥することにより硬くなり、さらに軽量化で刺突速度が上がり、攻撃力が上昇。
左手に速度と鋭さの短槍、右手に重量の棍棒、これが俺の武器!
あとは、父から教わった戦闘術を駆使する。
俺は魔族の背骨を避け、腰に近い位置を左の短槍で鋭く突く。
ザクッ。ズグッ……!
切っ先は骨のすき間にすっと入った。
魔族の動きが硬直する。
魔族はまだ痛みを感じていないのか、背中に違和感があったのか「んっ?」と声を漏らした。
俺は左手を放し、右の棍棒を全力で振り下ろして後頭部を殴打。
ゴギンッ!
金属のぶつかる鈍い音がし魔族が前方に傾く。
「かはっ!」
魔族は倒れない。右足を前に出して姿勢を立て直そうとした。
だが、自分の身に何が起こったのか正しく理解できていないらしく、全身をけいれんさせながら、両手をゆっくりと頭の方に上げる。
動きが止まった!
必殺技を決めるチャンス!
俺は棍棒を振り上げ、降り始めるが、3割ほどで力を急反転。棍棒を再びスイング開始位置に戻す。
全身の筋肉が絞られ、体内で筋繊維がみちみちと鳴るかのようだ。
「う、お、おおおおっ!」
俺は力を解放し、全力で振り下ろす!
ゴルフで飛距離を伸ばすダブルポンプスイングという技法があり、その応用だ。停止している目標に対して、威力を増大させることができる。
かつてショート動画で見た記憶による、現代知識無双だ!
ベギャンッッ!
兜がひしゃげる音と「ぎゃっ!?」という短い悲鳴が混ざった。
ドサンッ!
魔族は顔から地面に激しく叩きつけられて、手足を力なく投げだした。小刻みで速いけいれん。演技ではない。
だが、油断はしない。
俺は魔族の兜を強引に引っ張って脱がし棍棒を振り上げる。
「ぶちのめす!」
短い毛の生えた後頭部に、棍棒を振り下ろす。
ゴグシャッ!
頭蓋骨の砕けた手応えがあった。
死んだ可能性が高い。
仮に生きていたとしても、負傷が原因ですぐに死ぬ。
血や脳がこぼれてくれば確実性は上がるが、あまりグロい光景は見たくない。
しかし、回復して反撃してくる可能性は捨てきれない。
死亡時に自動発動する蘇生魔法がかかっている可能性がある。種族として再生能力を有している可能性もある。
体の構造や骨格が異なる場合もある。脳の代わりになる器官を有している可能性だってゼロではない。
レベル41とは、そういう存在だ。
だから油断は禁物。
俺は短槍を心臓の位置に突き刺す。血が勢いよく出てくる。つまり、心臓はまだ血液を全身に送る役目を続行している。
「グロいのは苦手だが……!」
棍棒を振り上げて両手で握り、後頭部に全力で振り下ろす。
グシャッ!
先ほどより柔らかい手応え。脳を守る骨は既に砕けていたようだ。
ドロッとした黒い液体が地面に広がっていく。
俺は魔族ジャルガンの死体から目を離さずにスキルを使用。
「『Xitter』オープン」
左手にスマホサイズの黒い金属板を出現させ、『おすすめユーザー』一覧からジャルガンのアカウントを選び、過去の発言を見る。
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■ジャルガン@最強の魔防壁 3分前
殺さずになぶり、死ぬまで広場に晒しておけ!
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■ジャルガン@最強の魔防壁 2分前
くくくっ。貴様はそうやって命乞いをする女を、いったいどれだけ我らに差し出してきたのだ? 報いを受けるときがきたようだな
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■ジャルガン@最強の魔防壁 2分前
(くくくっ。豚め。気づかれていないつもりか?
壁の向こうにひとり潜んでいるな。
殺気を完全に殺している。
人間にしてはなかなかやるようだ。
だが、残念だったな。俺は人間より遙かに耳がいい。
隙を晒して誘い出してみるか)
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■ジャルガン@最強の魔防壁 1分前
(さあ、背中を晒してやったぞ。
5重の魔力防壁で守られた私に、人間の攻撃など効かぬということを思い知り、絶望するがぎゃっ?!
がっ、な、なんだ。この痛み)
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■ジャルガン@最強の魔防壁 52秒前
(さ、刺さってる?!
な、なんだ。うぐっ。
だ、だが、この程度、私の再生力なら……)
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■ジャルガン@最強の魔防壁 40秒
(ぐぎゃっ!
あっ、頭が……燃えるように、熱い……。
ありえ、ない……。
5属性以上の同時攻撃でしか、私は……)
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■ジャルガン@最強の魔防壁 16秒
(めpゅっ@)
────────────────────
(……竜王からもらったものだし、やはりただの棒ではないか。今まで使った感じだと攻撃力が上がっているようには思えないし、今も魔族の肉体の損傷は少ない……。防御無効化の特殊効果でもあるのか? 魔族の心の声は途絶えている。死んだはずだが、念のためにDMを送っておくか)
俺は、『Xitter』の画面にある封筒の形をしたアイコンをタップする。
────────────────────
■自分
おい。
ゴキブリ駆除薬みたいな名前のゴミ魔族。
聞こえるか?
格下のザコ人間から後頭部に不意打ちを喰らった気分はどうだ?
お前は発情期の雌豚みたいにケツを振っていて隙だらけだったぜ。
ところで、どうして頭の中にゴブリンのクソを詰めてたんだ?
俺の言葉を理解するだけの知能はあるか?
────────────────────
「よし。既読がつかない。死んでいる。煽りメッセージに何かしらの反応をすれば、通知で分かるからな。もうこいつは放置でいい」
俺は黒い板を袖の内側にしまうと息を大きく吐き、額に浮かんでいた汗を拭う。
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