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第12章:野盗ぶちのめし編
12-3. 小屋の男達は様々な理由で怪しかった
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俺が小屋にいた男たちに不審感を抱いた理由は、主に7つ。
1つめ。
男たちが火に当たっているのに手袋をしていること。過去の刑罰で指を切り落とされたり、入れ墨をされたりした可能性がある。
2つめ。
頭に白い布を巻いた男がひげ男を親方や旦那様や名前ではなく、ボスと呼んでいたこと。
3つめ。
白頭巾男がポーションの値段を知らなかったこと。彼らが遠方から物売りに来ている商人なら王都に店舗がないはずだ。彼らが配送人なら俺に商品を売るはずがないので、卸す可能性もない。
となると、彼ら自身が商品を売るしかない。店舗がないのだから、全員が商品を手に持って分散して都内を練り歩いて呼び売りするしかない。
ファンタジー漫画やゲームだと商人は店舗を構えていることが多いが、この世界では、竿竹屋やわらび餅屋や焼き芋屋のように、移動しながらの呼び売り販売が主流だ。
だったら全員が値段を覚えていなければならない。白頭巾が値段を知らないのは不自然だ。
4つめ。
アレンドガルド金貨、もしくは薔薇金貨という名で知られている、この辺りで流通している金貨のことを、花が刻印されているやつと表現したこと。商人が金貨の名前を知らないはずがない。
5つめ。
白頭巾男が荷台から商品を探すのに手間取ったこと。商人なら、自分たちの商品がどこにあるか覚えているはずだ。箱をひとつずつ開けて探すのは不自然。ただ、これは取り扱っている商品が多ければ、どこにしまったのか忘れる可能性はある。
6つめ。
男達は毛皮の服を着ているが、小姓がマント一枚だったこと。獣人とはいえ寒いはずだ。
彼らはリョードから来たと言っていた。その話に嘘は感じられなかった。なら、暖かい地域からやってきたわけではないので、マント一枚は不自然だ。農村の貧乏人でもそんなことしない(サリナがしているが……)。
それに、冒険者ギルドに所属する冒険者たちが相互援助をするように、商人たちも商人ギルドを作り、助けあっている。そのギルドでは、小姓や徒弟、いわゆる下働きの者にも、寝床を用意し親方たちと同等の食事を与えて生活を保証するように定めている。にも拘わらず、小姓の扱いが悪い。
7つめ。
商人を演じているのに、金貨3枚の商品を4つ購入して12枚になるという計算ができなかったこと。金貨には種類があり価値が異なるので、大抵の商人はその辺りで主流な金貨ごとの必要枚数を提示する。
また、俺は商人ではないから詳細を知らないが、本物の商人なら、指の折り曲げ方で数値を表現する。それも、指のどの関節で曲げるかどのくらいの角度で曲げるか、どの指をくっつっけるか、によって異なる数値を表現するため、片手だけでも数十を表現する。
白頭巾男の様に指を1本折って1という単純な使い方はしない。
ただ、男が、俺が計算できないだろうから、低い知識水準を想定して、敢えて単純なやり方で数値を示した可能性がゼロとは言い切れない。ほぼゼロだろうが……。
────────────────────
■ケルリル@ケルベロスとフェンリルのハーフ
そういうのいいから、早くぶちのめして!
怒るよ!
────────────────────
■自分
分かった、分かった。落ち着け
────────────────────
1つ1つは決定打にならないが、さすがにこれだけ不審な点が多ければ、黒確定だ。男達は野盗だ。
先ほど、ポーションの品定めをしているとき、俺は自分が殺されて金品を奪われて女たちがさらわれる可能性に気づいた。
だから、ポーションの代金として全財産を支払うことと、女たちに戦闘能力があることを口に出して、自分を殺す価値を下げた。
相手だって、王都の付近で殺して奪うより、ポーションを売りつける方が楽で安全だ。
「獣人の子を助けるぞ。放っておいたら奴隷として売られる。今から金を払うフリして、不意打ちをくらわす。メイは俺についてこい。俺たちが戦闘開始したら。ソフィアは弓で援護。サリナは待機。火は使うな」
「あの。アレル様。彼らが野盗ではなかったらどうするのですか?」
「野盗にさらわれた可哀想な獣人はいなかったということだ。いいことじゃないか」
「で、ですが、本当にただの善人だったら……」
「さっき森の番人からもらった金を渡して謝ればいい。彼らが善人だったら許してくれる。やるぞ」
俺はメイに預けておいた棍棒と短槍を自分のベルトにひっかけて背中に隠す。
「メイ。来い」
「うん」
「銀貨の詰まった革袋は凶器だ。俺がひとりめを殴り倒したら投げつけろ」
「うん」
最終確認を終えると、俺は小屋脇の荷馬車に向かう。
巨木の陰にレストが見えた。俺が危機に陥れば助けに出てくるだろう。だが、レストの存在は奥の手なので使うつもりはない。
1つめ。
男たちが火に当たっているのに手袋をしていること。過去の刑罰で指を切り落とされたり、入れ墨をされたりした可能性がある。
2つめ。
頭に白い布を巻いた男がひげ男を親方や旦那様や名前ではなく、ボスと呼んでいたこと。
3つめ。
白頭巾男がポーションの値段を知らなかったこと。彼らが遠方から物売りに来ている商人なら王都に店舗がないはずだ。彼らが配送人なら俺に商品を売るはずがないので、卸す可能性もない。
となると、彼ら自身が商品を売るしかない。店舗がないのだから、全員が商品を手に持って分散して都内を練り歩いて呼び売りするしかない。
ファンタジー漫画やゲームだと商人は店舗を構えていることが多いが、この世界では、竿竹屋やわらび餅屋や焼き芋屋のように、移動しながらの呼び売り販売が主流だ。
だったら全員が値段を覚えていなければならない。白頭巾が値段を知らないのは不自然だ。
4つめ。
アレンドガルド金貨、もしくは薔薇金貨という名で知られている、この辺りで流通している金貨のことを、花が刻印されているやつと表現したこと。商人が金貨の名前を知らないはずがない。
5つめ。
白頭巾男が荷台から商品を探すのに手間取ったこと。商人なら、自分たちの商品がどこにあるか覚えているはずだ。箱をひとつずつ開けて探すのは不自然。ただ、これは取り扱っている商品が多ければ、どこにしまったのか忘れる可能性はある。
6つめ。
男達は毛皮の服を着ているが、小姓がマント一枚だったこと。獣人とはいえ寒いはずだ。
彼らはリョードから来たと言っていた。その話に嘘は感じられなかった。なら、暖かい地域からやってきたわけではないので、マント一枚は不自然だ。農村の貧乏人でもそんなことしない(サリナがしているが……)。
それに、冒険者ギルドに所属する冒険者たちが相互援助をするように、商人たちも商人ギルドを作り、助けあっている。そのギルドでは、小姓や徒弟、いわゆる下働きの者にも、寝床を用意し親方たちと同等の食事を与えて生活を保証するように定めている。にも拘わらず、小姓の扱いが悪い。
7つめ。
商人を演じているのに、金貨3枚の商品を4つ購入して12枚になるという計算ができなかったこと。金貨には種類があり価値が異なるので、大抵の商人はその辺りで主流な金貨ごとの必要枚数を提示する。
また、俺は商人ではないから詳細を知らないが、本物の商人なら、指の折り曲げ方で数値を表現する。それも、指のどの関節で曲げるかどのくらいの角度で曲げるか、どの指をくっつっけるか、によって異なる数値を表現するため、片手だけでも数十を表現する。
白頭巾男の様に指を1本折って1という単純な使い方はしない。
ただ、男が、俺が計算できないだろうから、低い知識水準を想定して、敢えて単純なやり方で数値を示した可能性がゼロとは言い切れない。ほぼゼロだろうが……。
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■ケルリル@ケルベロスとフェンリルのハーフ
そういうのいいから、早くぶちのめして!
怒るよ!
────────────────────
■自分
分かった、分かった。落ち着け
────────────────────
1つ1つは決定打にならないが、さすがにこれだけ不審な点が多ければ、黒確定だ。男達は野盗だ。
先ほど、ポーションの品定めをしているとき、俺は自分が殺されて金品を奪われて女たちがさらわれる可能性に気づいた。
だから、ポーションの代金として全財産を支払うことと、女たちに戦闘能力があることを口に出して、自分を殺す価値を下げた。
相手だって、王都の付近で殺して奪うより、ポーションを売りつける方が楽で安全だ。
「獣人の子を助けるぞ。放っておいたら奴隷として売られる。今から金を払うフリして、不意打ちをくらわす。メイは俺についてこい。俺たちが戦闘開始したら。ソフィアは弓で援護。サリナは待機。火は使うな」
「あの。アレル様。彼らが野盗ではなかったらどうするのですか?」
「野盗にさらわれた可哀想な獣人はいなかったということだ。いいことじゃないか」
「で、ですが、本当にただの善人だったら……」
「さっき森の番人からもらった金を渡して謝ればいい。彼らが善人だったら許してくれる。やるぞ」
俺はメイに預けておいた棍棒と短槍を自分のベルトにひっかけて背中に隠す。
「メイ。来い」
「うん」
「銀貨の詰まった革袋は凶器だ。俺がひとりめを殴り倒したら投げつけろ」
「うん」
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