武器は棍棒。撲殺系いっぱん羊飼いの俺、スキルXitterで超越者たちと相互フォローになってしまい「力が欲しいか?」とウザ絡みされる

うーぱー

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第15章:魔王との初リアル遭遇編編

15-5. おしっこ飛ばし対決が始まってしまう

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「――いいか? 分かったか? 聖女パーティーが魔王討伐を果たして懸賞金をゲットしつつ、ルーエルが死んだフリして自由の身になるためには、その前提として、『ルーエルが魔王っぽい外見をして、聖女パーティーと戦う』ところを、聖戦監視官に目撃させる必要があるんだ」

「うむ。分かっておる」

 ルーエルは自信たっぷりに頷く。し、信用できない……。

 ケルリルはレストに戻っていた。多分、話についてこれなくて逃げた。

「いいか? 聖戦監視官は少し離れた安全な位置から戦闘を監視する……と思う。もしかしたら目視ではなく魔力感知をするかもしれない。そういう場合は、お前の魔力で、魔王だと証明できる。だが、外見がそのままだと、聖女パーティーが本気で戦ってくれない。そうすると、お前が手加減していることが監視官にバレるかもしれない。やはり外見の変化は必須だ。くそっ……。俺に変身スキルがあればなんとかなったんだが……」

(くくく……。力がほしいか?)

(我が名を呼べ……)

(力がほしければ……。くれてやる……!)

(我と契約せよ……)

「あ。くそ。うるさいやつらが脳内に語りかけてきやがった。声と姿を変える力があるのか?」

(……)

(……)

(……)

(……)

「脳内に無言で話しかけるのやめろよ! ざわざわざするんだよ!」

 くそっ。
 悔しいけど、ちょっとだけ心が揺らいだ。
 超越者の中には魔王っぽい外見のやつがいそうだし、そいつに来てもらう?
 しかし、世界の裏とか地底とかからだと、ここに来るまでに時間がかかるよな?
 仮にここが地球と同じスケールの惑星だった場合、音速でも、世界の裏側からここまで10時間はかかるはずだし、それまでに、聖女パーティーが魔王城に到着する。

 ゴゴゴゴ……。

 地鳴りのような音とともに天井から埃が落ちてきた。

「なんの音だ? 微かに揺れているな」

「アレルの妹たちが、門番のゴーレムと戦闘を開始したようだ」

「まずいな。もうすぐじゃないか……! とりあえず、全裸はまずい。魔力で服を作れないのか? 防御魔法で闇を纏うような」

「まあ、待て。アレルよ。脱げ。我と貴様。裸のうちにやることがある」

 ルーエルが立ち上がる。

「ねーよ……」

 子供とはいえ局部が目線の高さにあるのは気まずいから、俺も一緒に立ち上がる。

「くくくっ。我との約束を忘れたとは言わさんぞ。ついて来い」

 ルーエルは、いずこかへと歩き始める。
 口調だけは魔王っぽいが、小さいケツがプリプリしていて、まったく威厳がない。

 俺は仕方なくついていく。レストもついてくる。

 魔王が向かうのは部屋の開口部だ。
 縦長の部屋は左右に柱が並び、進行方向は壁がなく、遠景に荒れ地がある。
 一瞬だけ違和感を抱くが、現在地がそれなりに標高がある山の、それなりの高い位置だから、周辺の建築物や木々が見えないのだろうと納得した。

 進行方向とは逆側は壁があり、大きな扉がある。聖女パーティーが来るとしたら、向こうからだろう。

「くくくっ。ここで良いだろう。見よ」

「なるほど」

 見える景色は地平まで続く荒れ地だ。何もなく寂しい。
 探せば低木や岩はいくらでも見つけられるが、そんな物は原っぱで意識しなければ虫が目に入らないようなもので、存在感はまるでない。

 しかし……。

 枯れ果てているとはいえ、人間の尺度を超えた雄大な景色だ。神の放つ矢ですら地平線まで届かないのではないだろうか。

 魔王城は崖の上にあるようだ。足下を見下ろすと遥か下から山肌の斜面が見える。

 レストが隣にやってきた。遠吠えをあげたら聖女パーティーに届きかねない。俺は「吠えるなよ」と短く念押しした。

「で、ルーエル。約束とはなんだ?」

「ふふふっ! こうだ!」

 元気で挑発的な声がしたから俺はルーエルに顔を向ける。
 そして我が目を疑った。

 ふんぞり返って、おしっこしていた。

 ……?

 俺は顔を正面の大自然に向けた。
 雄大だ……。

 さて、隣からシャーッという音が聞こえるが、気のせいだろうか。

「ほら、どうした! アレル! 不戦敗か?」

「アレル頑張って!」

 ケルリルの声がしたかと思ったら、放尿音がふたつに増えた。

 嘘だろ……。

 俺は嘘であってくれと思いながら視線を向ける。
 ケルリルが女体化して、腰を突きだして放尿していた。

 幼女のルーエルがやる分には、子供のすることだから微笑ましいが、外見だけは大人の女性になっているケルリルが同じことをすると、あまりにも間抜けで情けなく、そして卑猥だ

「なんだよお前ら……。なんの儀式だよ!」

「貴様は山頂で父親と小便の飛距離勝負をしただろう。その回想を見たとき、魔王城の最上部まで来たら記念に、我と小便の飛距離で勝負すると約束した!」

「は? いや、たしかに回想シーンは見たけど、そんな約束したか?」

「した! 魔王との契約だ。破棄は許されぬ! 早くしろ! 我のおしっこが尽きる!」

「あー。いや、まあ、いっか……」

 朝から山の秘密通路をずっと歩きっぱなしだから、溜まるものが溜まっている。
 俺はズボンを少しだけめくり、放尿する。

 シャーッ!

「おら! 魔王もケルベロスも、俺には勝てないだろ! 俺の方が脚が長いし、体の構造が違うんだ!」

 虹のきらめきは、明らかに俺のものが勢いと飛距離で勝っている。

「くーっ! なんという威力! 我が出始めだったとしても負ける……! ……ん? なんだ、それ……」

「ん? あっ! おい!」

 ルーエルが体を俺に向けて、俺の股間を凝視している。

 終了間際らしく勢いが衰えているとはいえ、俺の足下に魔王の尿がかかる。

「おい、やめろ。こっち見んな!」

「なんだこれ! 卑怯だろ! 何か道具を使っていかさましているな!」

 魔王が股間に手を伸ばしてくる。

「やめろ、馬鹿!」

 ガッ!

 俺は手の甲で魔王の手を防ぐ。

 ガッ!

 ガッ!

「手を退かせ! もう見た! お前が何か道具を使っているのはバレているぞ! 大人しく渡せ!」

 ルーエルは意地になって、俺の手で隠している物をつかもうとしてくる。

 くそっ。
 体勢が悪い。俺は放尿中で股間をガードしなければならない。
 体の向きを変えて、仮にも神殿内に小便をぶちまけるわけにはいかない。

「やめろ、おい! 道具じゃない!」

「小さい物を隠し持っている!」

「てめえ、ぶちのめすぞ! 俺は男だ! ついていて当然だろ! 小さいとか言うな! ぶちのめすぞ!」

「何が当然なんだ。知らん! 2度もぶちのめすと言ったな! 卑怯なことをしていないと言うのなら、よく見せろ!」

「見ようとするな! おい! ケルリル! こいつをなんとかしろ!」

「おしっことまんないょぉ。ジョボボボ……」

「誰か! 超越者! 今だぞ! 力を貸せ! おい! 聞こえてるだろ!」

(……)

(……)

(……)

(……)

(……)

「脳内に無言で話しかけるんじゃねえよ! ぶちのめすぞ!」

「ふぬーっ!」

「やめろ! 俺の手をこじ開けようとするな! お前いつか将来、恥ずか死するから、やめろ!」

「我が生き様に恥じることなどない!」

「全裸で小便たらして、男の股間を見ようとする高位のどこに、恥以外のものがあるんだよ! 恥そのものだろ!」

 ドーンッ!

 割と近いところで爆音がした。
 ここが何階かは分からないが、同じ階層か1個か2個下の階層の気がする。

「おいおいおい。聖女たちがくる。ふざけている場合じゃない!」

「見ーせーろ!」

 ガッ!

 あろうことか、放尿し終えた(し終えたよな?)ケルリルが背後から俺の両手首をつかんできた。左右に引っ張ってくる。

「おちんちーん!」

「ケルリル、テメエ! ぶちのめすぞ!」

 くっそっ……!
 ケルリルのパワー、つええ。
 レストの女体化だから、こいつ身体能力が高い。

 ジャバッ!
 ジャバジャバジャバッ……。

 俺は強制的に横を向けさせられ、しゃがんだルーエルの顔面に小便が思いっきりぶっかかる。

 絵面がやべえだろ。
 魔王に小便を顔射するという事実もやべえだろ。
 なんなんだよ、これ!
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