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受け視点~現在③【※登場人物に女性追加】
21話 充電
しおりを挟む「………ごめんね。痛くなかった……?」
「ううん、大丈夫」
散々と行為を重ねた後始末のために、バスルームでその身体を彼に洗ってもらっている。先ほどまで荒々しい指使いだったのが、労わるように指の一本一本までマッサージするように優しい手つきで。敏感な部分を触れられても、嫌らしい感じはしない。むしろ心地良さすら感じる。
久々に激しく身体を重ねれたのは、むしろ気持ち良かったとはいえない。そんな空気だ。持て余していた身体がやっと満たされた思いだった。やはり一人で果てても、一時的に気は晴れても心から満たされる事は無かった。
「……はぁ、俺だめだね。君にちょっと会えないだけでこんな風になっちゃって。情けない」
「そ……そんな事ないよ……!」
自分も会えない間、身体を持て余しつくした挙句、発情しきって仕事どころではなくなったのだ。それを体調不良だと偽って、仕事まで変わって貰っただけに、それを口で言うには憚られる。仕事はちゃんとマジメにしてるだけ、彼はしっかりしていると思う。たとえ親会社の跡取りと将来安泰の道が用意されてるとしても、そのプレッシャーはとてつもないもののはずだ。
「……ね、すぐには無理だろうけど。どっか行っちゃおうか。二人で」
「旅行?うん、いいよ。また行こう?」
「……いや。二人で……ずっと、ありのままに入れる場所」
「……え……」
「ずっと君と一緒がいい。このまま離れたくない……」
「それは………」
彼の言う言葉の意味は分かっている。それに同意する事は出来ないけれど、彼から離れられないのも本当だから否定もできないでいる。それが本音だ。ただ、自分はまだ社会人として半人前な自分で、そんな急には行けないという気持ちと、例え行けたとしても社会的地位の違いや責任が伴う事を思えば簡単に行けるものではないのだ。
「……なんて。ごめんね、ちょっと思ってるより大分参ってるみたいだ。現実逃避したかっただけ。大丈夫、忘れて」
「……うん」
咄嗟に、答えが出なかった。彼と一緒に居たい気持ちは強い。けれど、いますぐ何もかも捨てて、二人だけの世界を探しに行くことに同意できるほど自分は今の暮らしに不満はないのかもしれない。───なにより、彼にとって大切な将来がありながら、それを捨てていくのはベストといえるのだろうか。相当なプレッシャーがある様子ではあるが、そうそう捨てていいものではない気がする。
「………それよりさ、君と一緒に食事した人って……誰? 仕事助けてくれた人なんでしょ?」
「え!?い、いやそれは……その……」
「……俺には言えない人なの?」
「………それは……そういう意味じゃないんだけど……」
色んな負い目から、できればその件には触れられたくなかった。あれこれ巡らせている内に、一緒に食事に行った女性は"できれば内密にしてほしい。ファストフードなんて食べたら怒られるから"と念を押された事を思い出した。
「本人からね……そんな大したことじゃないからって内密にしてほしいって言われてるんだ。こっちとしても仕事代わってもらったってあんま表立てたくないし……」
「そう? そんな気にしなくてもいいとは思うけど。そっか。そうならあまり追及しないけど……」
想像よりは優しい声色の彼だったが、するりと突然後ろから抱き寄せてきた。
「わ、わ、なに?なに?」
性的なことをするつもりはないとわかっていても、肌から感じる鼓動にドキっとしてしまう。
「ん……ちょっと離れただけで空っぽになっちゃったから。補給」
「ほきゅう……?」
「うん。君を充電中」
「じゅ、じゅうでんっ…?!」
「そう。……もうちょっと、甘えさせてね……?」
ぶわ、と全身が熱くなって、顔から火が出そうになった。だけどどこか心地が良くて。心のどこかでぽっかり空いたものが、自分も満ちていくのを感じて、ゆったりと身体を預けたのだった。
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