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・二の部屋
第19話 雑魚
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マジかよ――
ナオキは廊下へ向かって走り出した。考えてる暇はない。廊下へ出て、心もとないが残った壁を盾にして化け物から逃げ回る態勢を取る。
化け物は余裕のつもりなのかゆっくり自分で開けた穴を通り抜けた。
「四人だ。四人だ」
また意味の分からない言葉を言った後で化け物は急に迫ってきた。首を斜めに回しナオキに手を伸ばす。
ナオキはそれを血塗られた部屋のほうへ横っ飛びをして間一髪でかわした。部屋の中で何か使えそうなものがないか周囲を見渡す。
ミチミチミチミチミチミチミチミチミチミチミチッ
ナオキを追い詰めた化け物は廊下から部屋を見て、また高速でまばたきを始めた。ただ見ているだけで動かない。その目はより一層大きく開かれていて口元も緩んでいるように見える。化け物にとっては人間などただの雑魚。このまま追い込んで手を伸ばせば獲物を捕らえられるが、様子を見て楽しんでいるのか。
無理だ――何もない、このままじゃ捕まる。そう思ったナオキは逃げることだけ、生き延びることだけを考えてしまった。
化け物が部屋に入ってくる素振りを見せると同時に隣の部屋から廊下に出て、階段を目指す。もう作戦通りではないが一旦距離を取らなければ――最悪誰かを囮に――
たぶん自分にできる最高のダッシュ、がむしゃらに体を動かして階段に続く曲がり角を曲がる――と、そこには階段が無かった。走ってきたものと同じ廊下が続いていて、どこまで続いているかは暗くて見えない。
ナオキは理解できなくて止まってしまったが、怒り狂った化け物のうなり声と、重い移動音の接近が聞こえて、その先へ向かった。
とにかく足と手をを動かす。太ももを振り上げ、これでもかと地面を蹴る。左右に分かれる道もなく暗闇だけが続く一本道の上で追ってくる化け物に捕まらないように。
ウウウウウウウウウウウ、ドッドッドッドッ
それは朝聞いたものと同じで苦しそうな声だった。走りながら後ろを見ると、化け物は目から血を流していた。その巨大な顔を前に出し、長い手を壁に床に叩くように打ち付けながら前に進みナオキの5~6m手前に迫ってきている。
もうめちゃくちゃだ。この道をずっと進んでしまったらまずいか。だけど引き返すこともできない。幸い、狭いまっすぐな道では、あいつは進みづらそうでこっちに分がある。今のところ徐々に離していっているが………この道はいつまで続いてくれる。行き止まりが来ればそこで終わりだ。
何分走ったかは必死だったから分からなかったが、徐々に暗闇に慣れてきた目でも見えなくなるほど化け物との距離が離れた時に追ってくる音が止んだ。後ろを見ても変わった様子はない。
あきらめたか、苦しそうだったから息絶えたか、助かったか…………?。時間は稼いだし、あとはこの廊下から出られれば。
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
切羽詰まった状況から解放されたと思われたが、うなり声が叫び声に変わり、再び追ってきた。しかも、追ってくる重い音は勢いを増していてどんどん近づいてくる。
自分の足の回転よりも何倍も早く聞こえる音に驚き後ろを向いて、まだ見える距離ににはいないことを確認して前を向くと、暗闇の先に、うっすら明るいドアがあった。その明かりはオレンジ色でドアの形的にも先ほどまで居た場所に違いなかった。
疲れてきた体に鞭を打って全速力を維持してドアに突っ込む。予想通りそこは黒い布が貼られた不気味な部屋で、少年だけがテーブルのイスにポツンと座っていた――。
「ハア――ハア――おい、逃げろ」
肩を掴みこちらを向かせた少年の目は肥大化していて黒目が大きく、化け物と同じ目だった。
はあ……そういうことか……
ナオキは少年の頭に横にあったイスを振り下ろした。
ナオキは廊下へ向かって走り出した。考えてる暇はない。廊下へ出て、心もとないが残った壁を盾にして化け物から逃げ回る態勢を取る。
化け物は余裕のつもりなのかゆっくり自分で開けた穴を通り抜けた。
「四人だ。四人だ」
また意味の分からない言葉を言った後で化け物は急に迫ってきた。首を斜めに回しナオキに手を伸ばす。
ナオキはそれを血塗られた部屋のほうへ横っ飛びをして間一髪でかわした。部屋の中で何か使えそうなものがないか周囲を見渡す。
ミチミチミチミチミチミチミチミチミチミチミチッ
ナオキを追い詰めた化け物は廊下から部屋を見て、また高速でまばたきを始めた。ただ見ているだけで動かない。その目はより一層大きく開かれていて口元も緩んでいるように見える。化け物にとっては人間などただの雑魚。このまま追い込んで手を伸ばせば獲物を捕らえられるが、様子を見て楽しんでいるのか。
無理だ――何もない、このままじゃ捕まる。そう思ったナオキは逃げることだけ、生き延びることだけを考えてしまった。
化け物が部屋に入ってくる素振りを見せると同時に隣の部屋から廊下に出て、階段を目指す。もう作戦通りではないが一旦距離を取らなければ――最悪誰かを囮に――
たぶん自分にできる最高のダッシュ、がむしゃらに体を動かして階段に続く曲がり角を曲がる――と、そこには階段が無かった。走ってきたものと同じ廊下が続いていて、どこまで続いているかは暗くて見えない。
ナオキは理解できなくて止まってしまったが、怒り狂った化け物のうなり声と、重い移動音の接近が聞こえて、その先へ向かった。
とにかく足と手をを動かす。太ももを振り上げ、これでもかと地面を蹴る。左右に分かれる道もなく暗闇だけが続く一本道の上で追ってくる化け物に捕まらないように。
ウウウウウウウウウウウ、ドッドッドッドッ
それは朝聞いたものと同じで苦しそうな声だった。走りながら後ろを見ると、化け物は目から血を流していた。その巨大な顔を前に出し、長い手を壁に床に叩くように打ち付けながら前に進みナオキの5~6m手前に迫ってきている。
もうめちゃくちゃだ。この道をずっと進んでしまったらまずいか。だけど引き返すこともできない。幸い、狭いまっすぐな道では、あいつは進みづらそうでこっちに分がある。今のところ徐々に離していっているが………この道はいつまで続いてくれる。行き止まりが来ればそこで終わりだ。
何分走ったかは必死だったから分からなかったが、徐々に暗闇に慣れてきた目でも見えなくなるほど化け物との距離が離れた時に追ってくる音が止んだ。後ろを見ても変わった様子はない。
あきらめたか、苦しそうだったから息絶えたか、助かったか…………?。時間は稼いだし、あとはこの廊下から出られれば。
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
切羽詰まった状況から解放されたと思われたが、うなり声が叫び声に変わり、再び追ってきた。しかも、追ってくる重い音は勢いを増していてどんどん近づいてくる。
自分の足の回転よりも何倍も早く聞こえる音に驚き後ろを向いて、まだ見える距離ににはいないことを確認して前を向くと、暗闇の先に、うっすら明るいドアがあった。その明かりはオレンジ色でドアの形的にも先ほどまで居た場所に違いなかった。
疲れてきた体に鞭を打って全速力を維持してドアに突っ込む。予想通りそこは黒い布が貼られた不気味な部屋で、少年だけがテーブルのイスにポツンと座っていた――。
「ハア――ハア――おい、逃げろ」
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はあ……そういうことか……
ナオキは少年の頭に横にあったイスを振り下ろした。
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