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第8話 状態異常学習スキル
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「HP: 162045/162050
MP: 407600/408200
ちから: 5270
たいりょく: 4150
まりょく: 6700
すばやさ: 5110
ちりょく: 92」
宙に浮く四角形の左半分に表示された俺の身体能力や魔力の数値…………それは今までに見たことが無いものだった。
よく見なくても一目で異常だと分かる。前回見た時よりもケタの数から増えていて、目に飛び込んでくる数字の数が多いからだ。
「安眠様……これって……」
「さすがは安眠様……いや、古の時代の勇者様……これほどまでの能力を……」
俺の後ろに回ってきたウールとメリヤスが吐息交じりに声を漏らした。
「す、すごいですね」
「いえ。実は俺自身、今すごく驚いているんです。本当にこれが俺の能力ですか?」
「ええ。何をおっしゃいます。ご自身でステータスを表示したではないですか」
塞がらない口を手で覆って隠して、上から順にゆっくり能力値を見ていく。
これが……これが、俺の能力だと……。
HPの値は16万と表示されているが、記憶にある俺のHPは3000そこそこだったはず。となると、10倍どころの騒ぎではない。しかもHPだけでなく、ちりょく以外の全ての能力値が何十倍にも膨れ上がっている。
力も魔力も何もかもが断トツで人類最強だと確信できる。もしかすると神にすら匹敵するかもしれないほどの能力。
俺はもう一度、心の中で言う……これが、俺の能力だと……。
「ほら、ここにお名前が。ソラト=リミックス様。職業は勇者。そして、なるほど生年月日は1164年の4月9日……。今から1000年と19年前。表示上の年齢は1019歳になってますね」
「ですね……」
宙に浮く四角形の右側には俺の基本的な情報が表示されていた。年齢以外は変わっていない。そして……その下には俺の体に備わったスキル――。
「な、なんですか。この数は。スキルも凄いですね……でも……」
「あんまり良いスキルってないでしょ」
メリヤスの顔を見ながら、頬を上げて言った。
個人が持つ魔力の質は千差万別。そして、各々の体内で流れる魔力は時に特殊な能力を体に授ける。
スキルと呼ばれるその能力は、身体能力の数値化と同じようにステータスオープンで言語化されて四角形の右下に表示された。
「状態異常学習 睡眠無効
毒耐性30% 睡眠中回復
気絶耐性60% 睡眠中魔力回復
麻痺耐性50% 睡眠付与
石化耐性45% 睡眠解除
沈黙耐性70% 快眠
呪い耐性20% 睡眠学習
気絶中魔力回復 睡眠中筋力増強
麻痺付与 睡眠中魔力増強
石化中回復 睡眠中細胞活性
沈黙解除 睡眠中無敵
沈黙中無敵 快眠付与 …」
小さな文字がぎゅうぎゅう詰めになって表示されている。俺はそこを見ると、大体自分の体の変化の理由が分かった。
「一番上にあるこれが俺の生まれ持ったスキル。状態異常学習です」
「はい……」
「このスキルは、状態異常にかかった時の回復が早くなる力と、次に同じ状態異常の魔法を受けた時にかかりづらくなる力を併せ持ったものです。そして時折、学習した状態異常について有益なスキルを得る」
「それが古の時代の勇者様の生まれ持ったスキルですか……」
「はい。ぶっちゃけ微妙だと思いません?」
「いえいえ。とても優秀なスキルですよ。戦闘において非常に優秀な」
「でも、勇者と呼ばれた男の持つスキルとしては……」
「……そうですね。それだけで驚くほどではないというか」
俺も子供の頃、自分が生まれ持ったスキルを知った時は何とも言えない感情になった。全ての人間がスキルを持って生まれてくるわけではない中、持っていたのに喜ばなかった。
けれど、戦いに身を置いてからは考えを変えて、今日もこの「状態異常学習」スキルのおかげで永遠に目を覚ますことが無いはずであった呪いから助かっている……。
「けれど、そうか……もしかしてこのスキルのおかげで勇者様は呪いから解放されたのですか?」
「おそらくはそうです……。俺の受けた呪いって永遠の眠りの呪いなんですよね。永遠のはずだったのに1000年で目覚めた。これも人にとっては果てしなく長い時間ですけど」
「はー。なるほど」
「あと、ここを見てください。寝ている間に睡眠という状態異常を学習してたくさん得たスキルのこことここ」
「睡眠中筋力増強と睡眠中魔力増強」
「はい。さっき俺も自分のステータスを見て驚いたんですけど、俺強くなってるんです。眠らされる前よりもずっと。その理由がこの2つのスキルと他にも何か関係しているのか……」
「私たちには驚くばかりで……まだ深く理解できませんが、古の時代の勇者がさらにずっとですか。途方もないですね……しかもこのスキルって――」
「魔法の設定上これ以上表示できていないだけで、まだまだ睡眠に関するスキルを習得しているようですね」
スキルを表示するスペースの最後には点が打ってあった。たぶんこんな数のスキルを持っているのは俺だけだから全部表示できるようには作られていない。
睡眠中に無事だったのは「睡眠中無敵」のスキルがあったから、これは予想通りだった。他にも状態異常中に無敵になれる能力を持っているから。
強くなった理由を説明できそうなスキルもちゃんとあった。その他の気になる点も表示されているものと表示されていないものを合わせればきっと説明できる。
分かったはいいが、全く予想出来ていなかった形の自身の超強化に驚きが収まらない。生まれ持った「状態異常学習」から状態異常中に勝手に強くなるスキルが得られることも知らなかったし、それが1000年という長い時間で異常とも言える効果をもたらすことも全く予想外。
それにしてもこの能力値の変わりよう……さっきドラゴンと戦った時にもしも魔法を横に向けて撃っていたら……おそらくとんでもないことになっていたな……。
「しかし、勇者と呼ばれるあなたが永久の呪いにかけられるだなんてよっぽどのことが1000年前にあったんでしょうね。よろしければお聞かせ願えませんか……詳しく、話の続きを」
「はい。包み隠さず話しましょうか」
1つ心の中でモヤモヤしていた部分がすっきりした俺はその勢いのまま何もかもを話す覚悟を決めた。
表示していたステータスを消すと、目を閉じて1つ深呼吸を入れる。
「実は――」
MP: 407600/408200
ちから: 5270
たいりょく: 4150
まりょく: 6700
すばやさ: 5110
ちりょく: 92」
宙に浮く四角形の左半分に表示された俺の身体能力や魔力の数値…………それは今までに見たことが無いものだった。
よく見なくても一目で異常だと分かる。前回見た時よりもケタの数から増えていて、目に飛び込んでくる数字の数が多いからだ。
「安眠様……これって……」
「さすがは安眠様……いや、古の時代の勇者様……これほどまでの能力を……」
俺の後ろに回ってきたウールとメリヤスが吐息交じりに声を漏らした。
「す、すごいですね」
「いえ。実は俺自身、今すごく驚いているんです。本当にこれが俺の能力ですか?」
「ええ。何をおっしゃいます。ご自身でステータスを表示したではないですか」
塞がらない口を手で覆って隠して、上から順にゆっくり能力値を見ていく。
これが……これが、俺の能力だと……。
HPの値は16万と表示されているが、記憶にある俺のHPは3000そこそこだったはず。となると、10倍どころの騒ぎではない。しかもHPだけでなく、ちりょく以外の全ての能力値が何十倍にも膨れ上がっている。
力も魔力も何もかもが断トツで人類最強だと確信できる。もしかすると神にすら匹敵するかもしれないほどの能力。
俺はもう一度、心の中で言う……これが、俺の能力だと……。
「ほら、ここにお名前が。ソラト=リミックス様。職業は勇者。そして、なるほど生年月日は1164年の4月9日……。今から1000年と19年前。表示上の年齢は1019歳になってますね」
「ですね……」
宙に浮く四角形の右側には俺の基本的な情報が表示されていた。年齢以外は変わっていない。そして……その下には俺の体に備わったスキル――。
「な、なんですか。この数は。スキルも凄いですね……でも……」
「あんまり良いスキルってないでしょ」
メリヤスの顔を見ながら、頬を上げて言った。
個人が持つ魔力の質は千差万別。そして、各々の体内で流れる魔力は時に特殊な能力を体に授ける。
スキルと呼ばれるその能力は、身体能力の数値化と同じようにステータスオープンで言語化されて四角形の右下に表示された。
「状態異常学習 睡眠無効
毒耐性30% 睡眠中回復
気絶耐性60% 睡眠中魔力回復
麻痺耐性50% 睡眠付与
石化耐性45% 睡眠解除
沈黙耐性70% 快眠
呪い耐性20% 睡眠学習
気絶中魔力回復 睡眠中筋力増強
麻痺付与 睡眠中魔力増強
石化中回復 睡眠中細胞活性
沈黙解除 睡眠中無敵
沈黙中無敵 快眠付与 …」
小さな文字がぎゅうぎゅう詰めになって表示されている。俺はそこを見ると、大体自分の体の変化の理由が分かった。
「一番上にあるこれが俺の生まれ持ったスキル。状態異常学習です」
「はい……」
「このスキルは、状態異常にかかった時の回復が早くなる力と、次に同じ状態異常の魔法を受けた時にかかりづらくなる力を併せ持ったものです。そして時折、学習した状態異常について有益なスキルを得る」
「それが古の時代の勇者様の生まれ持ったスキルですか……」
「はい。ぶっちゃけ微妙だと思いません?」
「いえいえ。とても優秀なスキルですよ。戦闘において非常に優秀な」
「でも、勇者と呼ばれた男の持つスキルとしては……」
「……そうですね。それだけで驚くほどではないというか」
俺も子供の頃、自分が生まれ持ったスキルを知った時は何とも言えない感情になった。全ての人間がスキルを持って生まれてくるわけではない中、持っていたのに喜ばなかった。
けれど、戦いに身を置いてからは考えを変えて、今日もこの「状態異常学習」スキルのおかげで永遠に目を覚ますことが無いはずであった呪いから助かっている……。
「けれど、そうか……もしかしてこのスキルのおかげで勇者様は呪いから解放されたのですか?」
「おそらくはそうです……。俺の受けた呪いって永遠の眠りの呪いなんですよね。永遠のはずだったのに1000年で目覚めた。これも人にとっては果てしなく長い時間ですけど」
「はー。なるほど」
「あと、ここを見てください。寝ている間に睡眠という状態異常を学習してたくさん得たスキルのこことここ」
「睡眠中筋力増強と睡眠中魔力増強」
「はい。さっき俺も自分のステータスを見て驚いたんですけど、俺強くなってるんです。眠らされる前よりもずっと。その理由がこの2つのスキルと他にも何か関係しているのか……」
「私たちには驚くばかりで……まだ深く理解できませんが、古の時代の勇者がさらにずっとですか。途方もないですね……しかもこのスキルって――」
「魔法の設定上これ以上表示できていないだけで、まだまだ睡眠に関するスキルを習得しているようですね」
スキルを表示するスペースの最後には点が打ってあった。たぶんこんな数のスキルを持っているのは俺だけだから全部表示できるようには作られていない。
睡眠中に無事だったのは「睡眠中無敵」のスキルがあったから、これは予想通りだった。他にも状態異常中に無敵になれる能力を持っているから。
強くなった理由を説明できそうなスキルもちゃんとあった。その他の気になる点も表示されているものと表示されていないものを合わせればきっと説明できる。
分かったはいいが、全く予想出来ていなかった形の自身の超強化に驚きが収まらない。生まれ持った「状態異常学習」から状態異常中に勝手に強くなるスキルが得られることも知らなかったし、それが1000年という長い時間で異常とも言える効果をもたらすことも全く予想外。
それにしてもこの能力値の変わりよう……さっきドラゴンと戦った時にもしも魔法を横に向けて撃っていたら……おそらくとんでもないことになっていたな……。
「しかし、勇者と呼ばれるあなたが永久の呪いにかけられるだなんてよっぽどのことが1000年前にあったんでしょうね。よろしければお聞かせ願えませんか……詳しく、話の続きを」
「はい。包み隠さず話しましょうか」
1つ心の中でモヤモヤしていた部分がすっきりした俺はその勢いのまま何もかもを話す覚悟を決めた。
表示していたステータスを消すと、目を閉じて1つ深呼吸を入れる。
「実は――」
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