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結婚初夜⑧

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 破瓜による血。

 彼女が純潔を守り、それをたった今彼が手折った証。

 ミディの反応や知識を考えると、こんなものを確認しなくとも、彼女が処女である事は分かっていた。

 ただ……、ただ一つだけ。ジェネラルには不安に思っている事があったのだ。

 それは2年前、ミディがメディアに監禁されていた際、彼に凌辱されていないか、という不安だった。

 メディアのミディに対する執着は凄まじいものがあった。

 思考と感情の自由を奪われ、メディアの操り人形となっていた彼女を、彼が放っておくわけがない。

 あの出来事から2年。

 この時まで、彼の存在はジェネラルの心のを苛み続けてきた。あの青年の言う通り、彼が消滅してもなお、その存在はジェネラルの心に響く影を落としていた。

 しかし、

"これで……、メディアの影からも解放される"

 愛する妻は、あの男に犯されていなかった。

 綺麗な身のまま、自分に全てを捧げてくれた。

 安堵の気持ちが、ジェネラルの心を満たす。

 ふと愛する妻が、何を考えているのかと不思議そうにこちらを見つめているのに気づいた。

 ジェネラルは、彼女の全てを包み込むように、ぎゅっと、抱きしめた。ミディの柔らかい胸、すべすべした肌が触れ、再びジェネラルの中に何かが滾る。

「ジェネ? どうした……ちょっ、ちょっと待って! ……すこし……休ませ……きぁあっ!」

「やだ、待たない」

 その一言だけ発すると、ジェネラルは再びミディの上に跨った。

 満面の笑みを浮かべ、彼女の身体に手を伸ばす。

 続きをすぐさま始めようとするジェネラルに、抗議の声と抵抗を見せるミディだったが、それはすぐに無力化され、再び部屋には彼女の熱い息遣いと甘い声が響き渡った。

 まだまだ……、夜は続くようだ。
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