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第33話 防衛線
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私たちはダグのいる防衛線へとやってきた。
到着すると、兵士たちは私たちの顔を覚えていてくれたようで、すぐさま簡易的に作られた防衛施設の中に迎え入れてくれ、現状を説明してくれた。
報告にあったとおり、魔王軍の残党はリーダー格である魔族一体と、その魔族が生み出した膨大な量の魔獣たち。
なのに、大勢の兵士たちが戦場に駆り出され、無残に死んでいるのだという。
早馬の報告と相違はなかった。
(どうして?)
戦況を聞き、真っ先に思ったのはこの一言だった。
確かに敵の数は多いけれど、私たちはもっと過酷な戦場を経験している。
話を聞く限り、ダグと兵士たちだけで制圧できるはずなのに、それが危機的状況だなんて……
魔族が強すぎるの?
それとも、魔獣の数が多すぎる?
いや、かといって……と、頭の中で結論の出ない考えだけがグルグル回り続けていた。
ダグの姿は、防衛施設から少し離れた救護テントにあった。
怪我をしたのか、女性神官に癒しの魔法をかけてもらっている。
私たちの姿を見るなり、再会したときの失礼さなど無かったかように、笑顔を浮かべながら立ち上がった。
「マーヴィ、アウラ! 来てくれたのか!」
「これは一体どういうことだ、ダグ」
マーヴィさんは、背中で私を守るようにダグの前に立つと、怒りに満ちた低い声で訊ねた。
いや、責めたと言った方がいい。
自分が見下していた相手に詰め寄られ、ダグは笑顔を引っ込めると、イラッとした様子で答えた。
「いや、兵士たちの訓練の一環として魔族と戦わせてるんだが、あいつらが弱すぎてまだ殲滅できてないんだ」
「そんなつまらない理由で、どれだけ死傷者を出したのか分かっているのか⁉ 何が訓練だ。命を懸けた戦いなんだぞ、これはっ‼」
「お前には関係ないだろ! ただの盾役の分際で、俺に意見するな! お前ら辺境の田舎者は、黙って兵力だけ俺に提供すればいいんだ!」
大声を出したせいで怪我にさわったのだろう。ダグは顔を歪めると、彼の傷を癒していた女性神官を突き飛ばした。
「お前、この程度の傷を癒すのにどれだけ時間がかかってんだ!」
「も、申し訳ございません……我々もずっと兵士たちの怪我を癒やすために動きっぱなしで……それに癒しの魔法は元々時間が――」
「出来ない言い訳をするな! どんくさいアウラですから、一瞬で癒していたんだぞ!」
「えっ、一瞬って……」
女性神官が、信じられない様子で私を見ている。
彼女は大神殿が派遣した優秀な神官だ。何をそんなに驚き、私を見ているのかが分からなかった。
だけど彼女が、何故神聖魔法を上手く使えなくなっているのかは分かる。
「ダグ、これ以上彼女を責めないで! 疲労のせいで、上手く神力を流せなくなっているの! これほどになるまで休みなく力を使わせ続けるなんて……」
私は怒りを露わにすると、ダグに突き飛ばされてへたり込んでしまった女性神官の傍に寄った。
横から見た顔が、疲労のせいでむくんでいる。目の下に大きなクマができていた。スティアの街を発って数日しか経っていないとは思えないほどやつれている。
私は彼女に、休息の魔法をかけた。
彼女の体が銀色の光に包まれると、疲労困憊だった顔から疲れが消えた。
「ありがとうございます、アウラさん」
「いいえ、当然のことをしたまでです。現状が確認でき次第、私も怪我人の治癒にあたります」
「治療……」
女性神官がそう呟くと、意を決したように私に訊ねてきた。
「あのっ、傷を一瞬で癒やせって本当ですか? 癒しの魔法で傷を癒やすのには時間が掛かるはずなんですけど……」
「確かに、以前は時間が掛かっていたんですけど、魔王討伐の旅の間に訓練を重ねた結果、癒やすスピードが格段に上がったんです。それでも他の神官たちと比べて、まだまだだと思うのですが……」
自分の未熟な部分を晒し、胸の奥が恥ずかしさで一杯になった。
だけど、
「アウラさん、知らないのですか? 神聖魔法の効果や魔法にかかる時間は、魔術のように、訓練でどうにかなるものではないのですよ」
「えっ?」
思いも寄らぬ発言に、私は目を瞠った。
神聖魔法は訓練でどうにかなるものじゃないって……どういうこと?
「初めて神聖魔法を使ったときに現れた効果が、その神官の実力。どれだけ訓練を重ねても、そこから成長はしないのです」
「え、でも私……確かに旅の間に、神聖魔法がどんどん上達して……」
癒やしの魔法だけじゃない。
結界だって防御だって……どんどん効果が強くなっていって……
そんな中、
「ダグ、お前、勇者の力はどうした。聖剣もここにはないようだが?」
鋭すぎるマーヴィさんの言葉に、私の意識を含め、皆の視線がダグに向いた。
ダグの表情が一瞬だけ固まったように見えたけど、すぐさま唾を飛ばしながらマーヴィさんに食ってかかる。
「も、もちろんあるに決まってるだろ! ただ俺が本気を出せば、兵士たちの訓練にならないから出していないだけだ!」
そう叫ぶダグの声は、少し震えていた。
目線だって定まらないし、誰も聞いていないことを一人でベラベラと喋り続けている。
まるで何かを誤魔化そうとしているかのように――
私たちと再会したとき、マーヴィさんに聖剣について話題を振られて動揺するダグを思い出した。
彼の挙動不審なのは、誰の目から見ても明らかだった。
だけどマーヴィさんは、それ以上ダグを追及しなかった。代わりに失望した目を彼に向けると、冷然とした声色で命令した。
「ここは俺たちクレスセル家が対処する。兵士たちを撤退させろ」
「はあ⁉︎ ここの責任者は俺だ! 俺が兵たちに戦えと言っているんだ! それにこの戦いには、皇帝だって関心を寄せているんだぞ⁉ 撤退なんてさせるか!」
「そうか。神官のあんた。ここに副官はいるか?」
「あ、はい、あちらに」
女性神官が指をさした方向には、真剣な眼差しで私たちを見つめる中年男性の姿があった。
彼はマーヴィさんの視線に気づくと、大股で近づきて大きく頷いた。
「分かりました。兵を撤退させましょう」
「お前っ! 何勝手なことを‼︎」
ダグは怒りに任せて副官の腕を掴んだけれど、強く払いのけられたため、みっともなく尻餅をついた。
だけど、彼を助けようとする者は誰もいない。
悔しそうに睨むダグに、副官が冷ややかな視線で見下ろす。
「私は、軍を率いる経験のないあなた様を助けるようにと、皇帝から仰せつかっておりました。ですが先ほどのやりとりを聞き、あなた様に軍を指揮する資格はないと判断いたしました。ですから今この瞬間、兵の指揮権を私に返して頂きます」
「お前……皇帝に言いつけてやるぞ!」
「ご自由に」
ダグが脅しても副官は全く動じず、マーヴィさんとともにテントの外に出ていった。
私も慌てて後を追おうとした時、ダグの怒声が響いた。
「おい、アウラ! 出て行く前に俺の怪我を治せ!」
今までの私ならすぐに癒していただろう。
だけど、
「そんな怪我、唾でもつけときゃ治るわ」
「っ‼︎」
私に拒否されると思っていなかったダグは、虚を突かれたように目を見開いていた。
その隙に、私もマーヴィさんたちの後を追う。
我に返ったダグの怒鳴り声が後ろから聞こえたけれど、心は何だか晴々としていた。
*
撤退のラッパが鳴り響く。
それを聞き、兵たちがこちらに戻ってきた。これ以上、無駄な死者が出なくなると思いホッとした。
「アウラはここら一帯を結界で守ってくれ」
「分かりました」
マーヴィさんに頼まれ、私は神聖魔法でこの辺り一面を結界で覆った。魔族や魔獣たちが一斉に襲ってきても、しばらくは持ち堪えられるはず。
キラキラと輝く光の壁を見て、副官が声を上げる。
「なんと……結界とは、これほどまでに広い範囲を覆えるものなのですか?」
「え? そういうものじゃないのですか?」
副官が激しく目を瞬きながら驚いていた。
その様子が、ふと、先ほどダグの傷を癒していた女性神官を思い出させる。
(さっき、神聖魔法は訓練で上手くならないって言ってたけど……あの話は結局どういうことだったんだろ……)
けれど私と副官の会話は、
「その話は後だ。改めて、状況を説明して欲しい」
と、マーヴィさんが鋭く注意したことで続くことはなかった。副官は軽く謝罪をすると、私たちに現状を報告してくれた。
報告通り、魔王軍の残党は、一体の魔族と無数の魔獣によって構成されている。
私たちの見立て通り、ダグの力で簡単に討伐出来るレベルだと思っていた。
だけど出撃したダグ様は、魔獣の猛攻によって負傷し、すぐに撤退したのだという。
兵士たちには戦い続けるように命令を残して……
ダグが怪我をしたという部分に、強い引っかかりを覚えた。
だって彼はいつも女神様の力に守られていて、そうそう怪我なんてしなかったから。
「ダグ様が撤退された後、一度敵からの攻撃が止まりました。そして……アレが聞こえてきたのです……」
「アレ?」
「魔族の『声』です」
私とマーヴィさんは、互いの顔を見合わせた。
魔族や魔獣は、人の言葉を話さないから。
「その声は、耳ではなく、頭の中に直接伝えられているように思えました。声はこう言ったんです」
副官の瞳に恐怖が宿った。
組んだ両腕が小刻みに震え出す。
「”我は魔王である――”と……」
到着すると、兵士たちは私たちの顔を覚えていてくれたようで、すぐさま簡易的に作られた防衛施設の中に迎え入れてくれ、現状を説明してくれた。
報告にあったとおり、魔王軍の残党はリーダー格である魔族一体と、その魔族が生み出した膨大な量の魔獣たち。
なのに、大勢の兵士たちが戦場に駆り出され、無残に死んでいるのだという。
早馬の報告と相違はなかった。
(どうして?)
戦況を聞き、真っ先に思ったのはこの一言だった。
確かに敵の数は多いけれど、私たちはもっと過酷な戦場を経験している。
話を聞く限り、ダグと兵士たちだけで制圧できるはずなのに、それが危機的状況だなんて……
魔族が強すぎるの?
それとも、魔獣の数が多すぎる?
いや、かといって……と、頭の中で結論の出ない考えだけがグルグル回り続けていた。
ダグの姿は、防衛施設から少し離れた救護テントにあった。
怪我をしたのか、女性神官に癒しの魔法をかけてもらっている。
私たちの姿を見るなり、再会したときの失礼さなど無かったかように、笑顔を浮かべながら立ち上がった。
「マーヴィ、アウラ! 来てくれたのか!」
「これは一体どういうことだ、ダグ」
マーヴィさんは、背中で私を守るようにダグの前に立つと、怒りに満ちた低い声で訊ねた。
いや、責めたと言った方がいい。
自分が見下していた相手に詰め寄られ、ダグは笑顔を引っ込めると、イラッとした様子で答えた。
「いや、兵士たちの訓練の一環として魔族と戦わせてるんだが、あいつらが弱すぎてまだ殲滅できてないんだ」
「そんなつまらない理由で、どれだけ死傷者を出したのか分かっているのか⁉ 何が訓練だ。命を懸けた戦いなんだぞ、これはっ‼」
「お前には関係ないだろ! ただの盾役の分際で、俺に意見するな! お前ら辺境の田舎者は、黙って兵力だけ俺に提供すればいいんだ!」
大声を出したせいで怪我にさわったのだろう。ダグは顔を歪めると、彼の傷を癒していた女性神官を突き飛ばした。
「お前、この程度の傷を癒すのにどれだけ時間がかかってんだ!」
「も、申し訳ございません……我々もずっと兵士たちの怪我を癒やすために動きっぱなしで……それに癒しの魔法は元々時間が――」
「出来ない言い訳をするな! どんくさいアウラですから、一瞬で癒していたんだぞ!」
「えっ、一瞬って……」
女性神官が、信じられない様子で私を見ている。
彼女は大神殿が派遣した優秀な神官だ。何をそんなに驚き、私を見ているのかが分からなかった。
だけど彼女が、何故神聖魔法を上手く使えなくなっているのかは分かる。
「ダグ、これ以上彼女を責めないで! 疲労のせいで、上手く神力を流せなくなっているの! これほどになるまで休みなく力を使わせ続けるなんて……」
私は怒りを露わにすると、ダグに突き飛ばされてへたり込んでしまった女性神官の傍に寄った。
横から見た顔が、疲労のせいでむくんでいる。目の下に大きなクマができていた。スティアの街を発って数日しか経っていないとは思えないほどやつれている。
私は彼女に、休息の魔法をかけた。
彼女の体が銀色の光に包まれると、疲労困憊だった顔から疲れが消えた。
「ありがとうございます、アウラさん」
「いいえ、当然のことをしたまでです。現状が確認でき次第、私も怪我人の治癒にあたります」
「治療……」
女性神官がそう呟くと、意を決したように私に訊ねてきた。
「あのっ、傷を一瞬で癒やせって本当ですか? 癒しの魔法で傷を癒やすのには時間が掛かるはずなんですけど……」
「確かに、以前は時間が掛かっていたんですけど、魔王討伐の旅の間に訓練を重ねた結果、癒やすスピードが格段に上がったんです。それでも他の神官たちと比べて、まだまだだと思うのですが……」
自分の未熟な部分を晒し、胸の奥が恥ずかしさで一杯になった。
だけど、
「アウラさん、知らないのですか? 神聖魔法の効果や魔法にかかる時間は、魔術のように、訓練でどうにかなるものではないのですよ」
「えっ?」
思いも寄らぬ発言に、私は目を瞠った。
神聖魔法は訓練でどうにかなるものじゃないって……どういうこと?
「初めて神聖魔法を使ったときに現れた効果が、その神官の実力。どれだけ訓練を重ねても、そこから成長はしないのです」
「え、でも私……確かに旅の間に、神聖魔法がどんどん上達して……」
癒やしの魔法だけじゃない。
結界だって防御だって……どんどん効果が強くなっていって……
そんな中、
「ダグ、お前、勇者の力はどうした。聖剣もここにはないようだが?」
鋭すぎるマーヴィさんの言葉に、私の意識を含め、皆の視線がダグに向いた。
ダグの表情が一瞬だけ固まったように見えたけど、すぐさま唾を飛ばしながらマーヴィさんに食ってかかる。
「も、もちろんあるに決まってるだろ! ただ俺が本気を出せば、兵士たちの訓練にならないから出していないだけだ!」
そう叫ぶダグの声は、少し震えていた。
目線だって定まらないし、誰も聞いていないことを一人でベラベラと喋り続けている。
まるで何かを誤魔化そうとしているかのように――
私たちと再会したとき、マーヴィさんに聖剣について話題を振られて動揺するダグを思い出した。
彼の挙動不審なのは、誰の目から見ても明らかだった。
だけどマーヴィさんは、それ以上ダグを追及しなかった。代わりに失望した目を彼に向けると、冷然とした声色で命令した。
「ここは俺たちクレスセル家が対処する。兵士たちを撤退させろ」
「はあ⁉︎ ここの責任者は俺だ! 俺が兵たちに戦えと言っているんだ! それにこの戦いには、皇帝だって関心を寄せているんだぞ⁉ 撤退なんてさせるか!」
「そうか。神官のあんた。ここに副官はいるか?」
「あ、はい、あちらに」
女性神官が指をさした方向には、真剣な眼差しで私たちを見つめる中年男性の姿があった。
彼はマーヴィさんの視線に気づくと、大股で近づきて大きく頷いた。
「分かりました。兵を撤退させましょう」
「お前っ! 何勝手なことを‼︎」
ダグは怒りに任せて副官の腕を掴んだけれど、強く払いのけられたため、みっともなく尻餅をついた。
だけど、彼を助けようとする者は誰もいない。
悔しそうに睨むダグに、副官が冷ややかな視線で見下ろす。
「私は、軍を率いる経験のないあなた様を助けるようにと、皇帝から仰せつかっておりました。ですが先ほどのやりとりを聞き、あなた様に軍を指揮する資格はないと判断いたしました。ですから今この瞬間、兵の指揮権を私に返して頂きます」
「お前……皇帝に言いつけてやるぞ!」
「ご自由に」
ダグが脅しても副官は全く動じず、マーヴィさんとともにテントの外に出ていった。
私も慌てて後を追おうとした時、ダグの怒声が響いた。
「おい、アウラ! 出て行く前に俺の怪我を治せ!」
今までの私ならすぐに癒していただろう。
だけど、
「そんな怪我、唾でもつけときゃ治るわ」
「っ‼︎」
私に拒否されると思っていなかったダグは、虚を突かれたように目を見開いていた。
その隙に、私もマーヴィさんたちの後を追う。
我に返ったダグの怒鳴り声が後ろから聞こえたけれど、心は何だか晴々としていた。
*
撤退のラッパが鳴り響く。
それを聞き、兵たちがこちらに戻ってきた。これ以上、無駄な死者が出なくなると思いホッとした。
「アウラはここら一帯を結界で守ってくれ」
「分かりました」
マーヴィさんに頼まれ、私は神聖魔法でこの辺り一面を結界で覆った。魔族や魔獣たちが一斉に襲ってきても、しばらくは持ち堪えられるはず。
キラキラと輝く光の壁を見て、副官が声を上げる。
「なんと……結界とは、これほどまでに広い範囲を覆えるものなのですか?」
「え? そういうものじゃないのですか?」
副官が激しく目を瞬きながら驚いていた。
その様子が、ふと、先ほどダグの傷を癒していた女性神官を思い出させる。
(さっき、神聖魔法は訓練で上手くならないって言ってたけど……あの話は結局どういうことだったんだろ……)
けれど私と副官の会話は、
「その話は後だ。改めて、状況を説明して欲しい」
と、マーヴィさんが鋭く注意したことで続くことはなかった。副官は軽く謝罪をすると、私たちに現状を報告してくれた。
報告通り、魔王軍の残党は、一体の魔族と無数の魔獣によって構成されている。
私たちの見立て通り、ダグの力で簡単に討伐出来るレベルだと思っていた。
だけど出撃したダグ様は、魔獣の猛攻によって負傷し、すぐに撤退したのだという。
兵士たちには戦い続けるように命令を残して……
ダグが怪我をしたという部分に、強い引っかかりを覚えた。
だって彼はいつも女神様の力に守られていて、そうそう怪我なんてしなかったから。
「ダグ様が撤退された後、一度敵からの攻撃が止まりました。そして……アレが聞こえてきたのです……」
「アレ?」
「魔族の『声』です」
私とマーヴィさんは、互いの顔を見合わせた。
魔族や魔獣は、人の言葉を話さないから。
「その声は、耳ではなく、頭の中に直接伝えられているように思えました。声はこう言ったんです」
副官の瞳に恐怖が宿った。
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