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第一話(二)
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◆
朝が嫌い。
秋が嫌い。
……自分自身が一番嫌い。
四ツ折秋葉の朝は早い。
秋の空がまだ薄暗いうちに布団から出てきて、さっと畳んだら木綿の着物を手早く着る。
過去に誰が着ていたか分からないそれは、まだらな鼠色で、ところどころ擦り切れて継ぎ接ぎだらけのボロ布だった。
次は、手入れのされていないがさついた黒髪を麻紐で高く結って、冷水で顔を洗う。
全体的に整ってはいるが、吊り目がちで強さを感じさせる瞳が、初対面の人間に悪印象を与える顔立ちをしていた。
全ての支度が終わったら、家――とは呼べない粗末な納屋を出る。
それから少し歩いて、裏山を半分ほど進んだ開けた場所で朝の鍛錬を始める。これが、彼女の日課だ。
まずは、集中力を養う瞑想から。大地に腰を下ろして呼吸を整える。そして、ほとんど空っぽの身体に、霊力を流し込む。
「……今日も駄目か」
でも、そんなものは流れない。
昨日も。
今日も。
きっと、明日も。
もう何度目かも分からない失望を噛み殺して、次は体術の稽古に入る。霊力が流れる器である肉体も鍛えなければ、いつか霊気に負けて壊れてしまうかもしれないからだ。
秋葉には、そんな体中を蝕むような霊力など、これっぽちも持っていないが。
それでも、身体を動かすと気持ちが良い。気分が高揚していくのを感じる。流れる汗と激しい息遣いは、今の彼女が唯一『生きている』と実感するひと時だった。
(負けるもんか……!)
こうして、秋葉の変わらない毎日が始まるのだ。
朝が嫌い。
秋が嫌い。
……自分自身が一番嫌い。
四ツ折秋葉の朝は早い。
秋の空がまだ薄暗いうちに布団から出てきて、さっと畳んだら木綿の着物を手早く着る。
過去に誰が着ていたか分からないそれは、まだらな鼠色で、ところどころ擦り切れて継ぎ接ぎだらけのボロ布だった。
次は、手入れのされていないがさついた黒髪を麻紐で高く結って、冷水で顔を洗う。
全体的に整ってはいるが、吊り目がちで強さを感じさせる瞳が、初対面の人間に悪印象を与える顔立ちをしていた。
全ての支度が終わったら、家――とは呼べない粗末な納屋を出る。
それから少し歩いて、裏山を半分ほど進んだ開けた場所で朝の鍛錬を始める。これが、彼女の日課だ。
まずは、集中力を養う瞑想から。大地に腰を下ろして呼吸を整える。そして、ほとんど空っぽの身体に、霊力を流し込む。
「……今日も駄目か」
でも、そんなものは流れない。
昨日も。
今日も。
きっと、明日も。
もう何度目かも分からない失望を噛み殺して、次は体術の稽古に入る。霊力が流れる器である肉体も鍛えなければ、いつか霊気に負けて壊れてしまうかもしれないからだ。
秋葉には、そんな体中を蝕むような霊力など、これっぽちも持っていないが。
それでも、身体を動かすと気持ちが良い。気分が高揚していくのを感じる。流れる汗と激しい息遣いは、今の彼女が唯一『生きている』と実感するひと時だった。
(負けるもんか……!)
こうして、秋葉の変わらない毎日が始まるのだ。
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