【完結】黒の花嫁/白の花嫁

あまぞらりゅう

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第十一話(三)

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 四ツ折夏純よつおりかすみは、笑いが止まらなかった。

 黒龍は猛省したようで、通常より遥かに強い神力を龍脈りゅうみゃくに流していた。
 おかげで家門の守護する龍泉りゅうせんには膨大な黒龍の力が溜まって、他に類を見ないほどの頑丈な結界が出来上がったのだ。

 それでも、無尽蔵に力は流れてくる。余剰分をこのまま自然に垂れ流すのは勿体ないと、夏純は売買を行うことに決めた。

 黒龍の闇の神力は、並の霊力や妖力など足元にも及ばない貴重な代物で、飛ぶように売れた。
 四ツ折家はとても潤い、夏純は皇都や他の家門の前でも居丈高に振る舞うようになった。

 それから数ヶ月経った頃――……。

「当主を出せ!!」

「この守銭奴が!」

 四ツ折家の門を、どんどんと激しく叩く者たちがいた。そこには百人以上の人間が集結していて、全員が眉を吊り上げて怒鳴り付けている。

 彼らは四ツ折家が売り捌いた黒龍の神力により、被害を被った者たちである。夏純は、金さえ払えば素性が分からない人間にも売っていたのだ。

 その中には、良からぬ企みに力を利用する者もいたのだ。そのせいで不当に財産を奪われた人間や、家を失った者、さらには瀕死の大怪我を負った者までいた。

 被害者たちは「そもそも、神の加護を売り捌く四ツ折が悪い」と一致団結して、当主に責任を取らせようとやって来たのだ。

「四ツ折家、当主! 出てこい!」

「弁償しろ!」

 騒ぎはどんどん大きくなっていく。今では被害者たちだけではなく、「四ツ折家が面白いことになっている」と周辺の人々も集まってきていた。

 家はしんと静まり返ったままだ。業を煮やして、彼らが討ち入ろうとくわを握りしめた頃――……。
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