エッチな玩具オナニーがやめられないのにコミュつよイケメン従弟(ぶっちゃけ苦手)と同居することになってしまった

松任 来(まっとう らい)

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53 たまには駆け足で

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こんなふうにして肩の力が抜けている時に、福というのは転がってくるものなのかもしれない。その晩、風呂上りに洗面所で歯を磨いている時に暖雪はそう感じた。

「ゆーきちゃん」

うがいを終えたのを見計らったように呼ばれたその声の方を見やる。一足先に寝る準備を整えた大海が廊下からこちらに上半身を出していた。なんだ、と言う前に、暖雪はぐいっと乗り出した大海のそれによって唇を塞がれる。

「……んっ」

昼間のものと違う、奪うような不意のキスに面食らう。歯ブラシごと手を握りこまれ、何度か下唇を舌でなぞられる。僅かにあった粘膜の隙間から「ふぁ……」と声が漏れた瞬間、濡れた舌が侵入してきた。名前を呼ぼうとするも顎の下をちょんと摘ままれ、今はこのキスに集中する時間だと言うようにぴったり密着させられてしまう。
(息が……、熱い)
ちらりと見えた彼の目はこちらの一挙手一投足を見逃す気などなさそうに妖しく揺れていた。見つめられていつしか夢中になり、寂しく空いている手で強く相手の肩を掴む。昼間のやり取りからすると急展開とも言えるような大海の行動にやや戸惑いつつも、身体の中に入ってきた舌に沿うようにそっと自分のものを差し出す。そして夢中で絡ませあっているうちに頭の中はどんどん真っ白になっていった。先端をちゅうっ、と軽めに二回ほど吸われれば、じんと痺れたような感覚が広がってくる。

「んんぅ、っ……」
大海の目を見ていたくて一生懸命見上げるが、瞼を開ける力はとろんとした何かに屈服して根こそぎ奪われていく。下半身をもじもじさせる暖雪を、大海は腰の下から掬い上げるようにして支えてくれた。だが、もう片方の腕で暖雪の後頭部をホールドしてさらに交わりを深いものにもしてくる。交互に与えられる優しさと強引さに、もう何も考えられない。ゾクゾクとふわふわが混ざったような感覚に支配されぼんやりとしてきた。

「ん、ふぅ……」

昼間にした可愛らしいものではない。これは官能を引き出そうとする意思を感じるキスだ。
ちゅくちゅくという音と共に粘膜が擦れる音が耳に届き、恥ずかしさに襲われても大海とこうしていたいという気持ちの方が勝った。どんどんと下半身に溜まっていく熱をどうすればいいか分からず、呼吸さえも最低限にして、潜めるように大海に身を寄せる。唇に触れ続ける柔らかさと、こちらを乱してくるようながっしりした腕の筋肉を意識すればするほどに大海への気持ちが高まっていく。そしてそれらに混ざるようにして主張してくる、下腹部に当たる確かな”彼”の存在を認知した瞬間、暖雪はたまらなくなって思い切り愛しいその背中に腕を回していた。
「んぅ……」
僅かに身じろぎした大海だったが、それでも行為を止めることはない。貪って抱きしめて額同士を擦り合わせて、そして不意に暖雪の背後に置いていた手を使って首筋と耳たぶとを同時に探ってきた。
「うあ、ふわあっ!?」
思ってもみないそんな場所を刺激されたら一たまりもない。それでも暖雪がその場に崩れ落ちることがなかったのは、咄嗟に大海からさらに強い力で抱き寄せられていたからだ。

「……ぷはっ!」
ようやく解放され、目の端にじんわりと涙を浮かべているところを覗き込まれる。視線をどこにやったらいいか分からない。じっと埋もれたままでいると、至近距離で見つめてきた従弟は一言、「えろ」と呟いた。
「……へ?」
それが自分に向けられた言葉だと、一瞬気づけなかった。大海は口角を少し上げて続ける。

「……や。雪ちゃんと恋人になったんだって実感が沸いたり消えたりまた湧いたりずっとしてたんだけど」
言葉の終わりで軽く吐かれた息が、やけに色っぽい。大海の方も余裕がないのだという考えがよぎり、全身を熱に冒されるような感覚になった。
「テンション上がってきた」
大海は両腕をぐるぐる回しながら背を向ける。去り際に少し横顔が見えた。歯を少し見せて笑っている。

「じゃ、……待ってるね」

呆けた表情でその後ろ姿を見送った暖雪は、しばらくその場に突っ立ったままだった。
多分、さらに自分の想像を超えた何かが起こるのはこれからだ。



大海が実家から持ち込んできたアメリカサイズのベッドは、日本のアパートの一室に納めるには少々窮屈だった。

(……でも、これがあってよかったと思える日が来るなんてな)
感慨深く思うポイントがずれているような気もする。黒いタオル地のシーツの真ん中に胡坐をかいて座っているベッドの主は、ペットボトルの水をゴクゴク飲んでいたが、部屋に入ってきた暖雪の姿を見て”やっ”と言うように片手を上げた。
少し落ち着かない。パジャマの件で指摘を受けたので夕方に駅前まで行って新しいTシャツとハーフパンツを調達してきたし、先ほど風呂で頭のてっぺんから足の爪の間に至るまで綺麗に洗ってある。ドライヤーも念入りにかけた。今の自分に恥ずかしいところはどこもないはずだ。それでも大海との初めてのセックスに臨むこの瞬間、どうしても緊張が走る。

「これ雪ちゃんの分。ここ置いとくね」
キャップを緩めた二本目のペットボトルを指され、「ありがとう」と返した自分の声もやはり固い。とりあえずベッドに行かなければ始まらないと、暖雪はそっと大海の元に向かった。
「大海。これ……」
最初に言っておいたほうが後々気持ち的に楽に違いないと、暖雪は早々にパンツのポケットからチューブタイプのローションを取り出して相手に見せる。
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