エッチな玩具オナニーがやめられないのにコミュつよイケメン従弟(ぶっちゃけ苦手)と同居することになってしまった

松任 来(まっとう らい)

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58 砂糖菓子を頬張りながら

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こちらに顔を上げた大海の目が潤んでいる。自分も今似たような表情をしているのだろうか。
「嘘みたい。俺、雪ちゃんと……」
大海が枕に埋もれて、くぐもった声を出す。夢心地かのようなふわふわした口調だった。
様々な想いがこみ上げて、暖雪は笑いたいのに泣きそうになってしまう。
「俺、早く雪ちゃんに追いつけるようにしたい。雪ちゃんみたいなかっこいい大人になりたいな」
「何言ってんだよ。お前は俺なんかと比べ物にならないくらいかっこいいよ」
暖雪にとって、いつまでも大海は可愛い弟だ。でも、今は少しだけ違っていた。
「こんなにかっこいい奴他にいない」
「……本当?」
目を瞬かせる大海に、暖雪は「本当だって」と呟く。ありのままを伝えるべく、胸いっぱいに息を吸い込んだ。

「俺のことなんでも気が付いてくれて、俺がピンチの時はかけつけてくれて。どこまでもとことん優しくて」
寝返りを打って視線を合わせる。大海は最初ぽかんとしていたが、次第に嬉しそうに顔を綻ばせていった。
「料理もいつもすげえ美味しいの作ってくれるし。あと仕事も順調そうだな」
「……へへ」
何と言っていいのか分からないようにも、言いたいことがありすぎて迷っているようにも見える。
「かっこいい?俺かっこいいかなあ?」
草の上ではしゃぐ犬のように、大海はごろんとその場に両手を伸ばした。くくく、と彼の喉から漏れ聞こえる笑いに、暖雪の心もころころと転がっていく。思わずこちらがつられて笑ってしまう、大海の笑顔。

シャワー浴びなきゃ、とは思っていた。だが二度と来ないこの初めての時を、胸に刻み込みたい。しばらくの間は大海に触れ、手足を絡ませ合っていた。そしてシーツの中でじゃれてふざけているうちに夜が更けていき、いつの間にか二人ともまどろんでいるのだった。


 
今日も休みだ。
一日中こうやってのんびりと過ごしていられる。

(でも溜まった洗濯物片付けなきゃ……)
食後のアイスコーヒーをすすりながら、暖雪はぼんやり午後の仕事について考える。
大海と初めて身体を繋げた翌日。
結局二人とも大幅に寝過ごし、気だるい身体を起こしたのは昼前になってからだった。遅い朝食兼昼食をたいらげ、温もった風の吹くリビングでだらだら一服している時だった。

「雪ちゃん」
対面に座る大海から声をかけられる。グラスからカラカラ聞こえる氷のふれ合う音が、何とも耳に心地いい。
「ん~?」
「そのー……。あれの話していい?」
「あれって?」
「ええとー。何て言ったっけほらあの、エネマ、……グラ?だっけ」
「ぶあっっ!!???」

まさかの単語が大海の口から飛び出し、直前に口に流し入れていた褐色の液体がほとんど外に流出した。
「だ、大丈夫……?」
「お前が真昼間からそんなこと言ってくるからだろ」と大海が差し出してきた布巾を伏し目がちに受け取る。テーブルの上などはどうとでもなるが、濡れた服はこれから回す予定の洗濯機にタオルやなんやと一緒に突っ込んでしまうしかなさそうだ。

「それで……、何だよ?」
周囲を乱暴に拭きながらも、暖雪は話の続きを促した。これからどんな話題になるのか、とある推測を自分の中で打ち立てながら。
「なんかすごいね。ああいうのでみんな一人エッチしてるんだね」
真っ直ぐな瞳で、大海は一般的な世間話のトーンでそんなことを言った。いっそ感服してしまう。そこまで堂々とした態度でいられると、内心焦っている自分の方が変な存在に思えてくるではないか。

「い、いやみんなはしてないっていうか……。そもそもゲイだって後ろ開発してるやつが多数派ってわけでもないし……」
(おい落ち着けよ俺。また言わなくていいようなこと言ってるぞ)
大海が普通に話したがっているのだから、自分だって普通にしていていいだろう。暖雪はゴホンと咳払いした。
「なんだお前、ネットか何かで見たの?」
「うん……。結構前に」
「結構前?」
首を傾げる暖雪に、大海は少し俯きながらも淡々と説明する。
「雪ちゃんがゲイだって聞いた時。あ、二人で住み始めた日か」
「……え?」

反射的に目の前の相手を見据える。
大海が自らエネマグラについて情報を仕入れていたというのか。一体どのような流れなのか想像がつかない。

「……男同士だとさあ、どういうことすんのかなあって。ちょっと調べてて、その時たまたま見た」
「マジか」
「うん」
目を丸くする暖雪から、今度は大海の方が顔を少し背ける。
「へへ。恥ずかしいな。雪ちゃんが男の人が好きだって聞いてから……。ちょっとそういうの色々想像しちゃったりしたから。ほら、……もしかして将来雪ちゃんとそういう関係になったりして、みたいな」
同居を始めてから、幼少期のほのかな恋心が確かなものになったのだという昨日の大海の言葉が思い出された。
「アホだよね俺。一人でそんなこと……」
「い、いや……」

暖雪の体温が急上昇する。まず顔が。次に手足と胸の中がかっかと燃えてしまう。自分とのことをそのように考えてくれていたのだと改めて聞かされて、舞い上がらないわけがない。
さすがに跳び跳ねたくなるのは堪えた。代わりにぐっと歯に力を入れて、爆発しそうな気持ちを抑える。抑え損ねた弾む気持ちが足元に逃れ、明らかにご機嫌ですと言わんばかりに爪先をぴょこぴょこ交互に動かしてしまうが、それは大海からは見えていないはずだから問題ない。
そして精一杯感情をコントロールした上で、暖雪は冷静に大海に向き合って一言伝える。

「超嬉しい」
「~~~……っ、!」

口元がにやけていなかったか一瞬心配になった。しかし自分の言葉の直後、大海が取り繕うこともせず喜色を駄々漏れにしたのを見てとりあえず暖雪は安心する。
まさに、付き合ってすぐの砂糖菓子のごとく甘い甘い光景の象徴だ。暖雪が見守る前でひとしきりはにかんだ後、大海は頭を掻きながら再び会話を続ける。
「あ、あの。でね、雪ちゃん……」
最初はためらっているようだった。だが、そのうちこう勢い込んだ。
「雪ちゃん、夕べ俺として……、気持ちよかったかなあっ、て……」
「え?」
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