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四章
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しおりを挟む「いっ」
全く予想が出来ていなかったせいで、派手に後ろへと倒れこんだ。
奇跡的にマットがあったおかげで、怪我をしなくて済んだことにホッとする。
「何すん、え」
文句を言おうと顔を上げて、唾をゴクリと飲み込んだ。
さっきまで俺の前にいた女子が、全て消えている。
一瞬神隠しを疑ったけれど、体育館倉庫の外から聞こえてきた声によって、その考えは打ち消された。
「暫くそこで反省してな」
「は?」
「明日の朝には、先生があけてくれるだろうし」
「これに懲りたら、もう浩介には近寄らないことだね」
「今近寄らないって誓ってくれたら、出してあげてもいいけど」
もしかして、俺はこの狭くて暗くて埃臭い場所に閉じ込められたのだろうか。
女子がいる扉へと駆け寄って、ドアをドンドンと叩くも、返ってくるのは笑い声と扉の揺れだけだった。
「誓ってくれる?」
「誓わないけど出せ!」
無意識に口から飛び出た言葉に、自分でも驚いた。
宮田に近寄れないなんて嫌だと、いつの間に思うようになっていたのか。
呆然とする俺を我に返すような舌打ちにハッと顔を上げた時には、女子達が去っていく音だけが聞こえてきた。
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