婚約破棄されるとは思っていたけど

朱音 アキ

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第4話

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 僕の嘘が発表された翌日。学校の教室に入るとクラスメイトからの視線が一斉に集まった。

「おう、噂の王子様」

 声をかけてきたのは幼馴染であるレオンハルト公爵家の次男クリス・レオンハルトだ。 
 僕の金髪に茶色を入れたような髪色で、いつも一緒に行動しているため、兄弟みたいだと言われていた。

「もう、ちゃかさないでよ」
「みんなレオのことを聞きたがっているぞ?で、発表は事実なんだよな?」
「みんな気になるよね。発表は本当だよ」

 教室中に聞こえる声で僕は言った。
 少し心を痛めるが嘘を突き通すことにした。

「もったいないな。自分から辞退しなくてもいいじゃないか。まあ、レオらしいけど」

 そう言いながらも、クリスはいつもの笑顔を僕に向けた。
 クリスは発表を聞いても変わらず僕に接してくれている。
 そのことだけでも僕の心に暖かさを与えた。

「なに泣きそうな顔してんだよ。辺境に行っても会うことはできるだろ?その時は辺境にいる魔物の素材をくれよな。俺は土産として辺境で買えないもの持っていくからさ」

 変哲もない会話。それがどれだけ僕を喜ばせるかクリスは知らなかっただろう。
 教室の真ん中で恥も外聞もなく涙を流してしまった。

「おいおい、王子様がこんなところで泣くな。周りが困惑するだろうが」

 そう言いながらもハンカチを取り出し手渡してきた。

「ありがとう」
 
 言えたのはただその言葉のみ。
 変わらない友の存在が嬉しくて、これなら周りの人も変化がないかもしれない。


 その時はそう思っていた。


 

 数か月が過ぎ、一緒に昼食を食べていた人は一人、また一人と少なくなっていった。

 その時ぐらいからだろうか。友の存在を感じることができたのは。
 人が減っていく中でも、前と変わらない人はずっと変わらないままだった。
 これが友と呼べる存在なのだろう。

 嘘をついて数か月で、多くの人が僕から去っていく事実に少しだけ悲しさを感じた。
 が、その分、友と呼べる存在がいることに嬉しさを感じた。

 初めての友であるクリスには嘘のことを話した。
 祖父、父、宰相は知っているとしても、やはり誰かには伝えてみたかった。
 クリスは幼馴染で性格のすべてを知っている。
 友と確信した時にはクリスに話すことを決めていた。
 
 初め、クリスは動揺していたが、すべてを話すと納得はしてくれた。

「ミラにも言ってないんだろ?」
「うん。信じているから。だから何があっても言わないでほしい。クリスには俺の共犯になってもらいます」
「嫌な友達だな。泣かしてもしらんぞ」
「うれし涙ならミラも喜んでくれるでしょう?」
「そーだな。そん時は一緒に怒られてやるよ」

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