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71話 三兄弟の行く”道”(終)
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やっと兄弟三人が揃った。
賑やかさを増した家は、平和すぎるほど穏やかな時間が過ぎ、そんな日々は、不思議なほどあっという間に過ぎていく。
そんな中でそれぞれが、己の番に支えられ、愛を注がれながら、少しずつ前を向いて進み始めた。
俺たち兄弟は、失われていた時間を埋めるように、何度も夜を越え、語り合う。
元の世界にいた頃の消えない記憶、この世界で手に入れた温かな日々、そして──これから先の、未来の話まで。
気づけば、あの事件から既に一年が経とうとしている。
───────────────────
俺は家を出て、本格的に爺さんのもとで住み込みの修業を始めた。
もともと職人肌な俺にとって、毎日手を動かし、技を磨ける生活は性に合っていて、最近では、自分の作品を市井で売ることも増え、爺さんの教えを糧に、少しずつ腕も確かになってきている。
気がつけば名前も知られるようになり、一部では勝手に「黒の銀細工」なんて呼ばれているらしい。
正直、恥ずかしい。
冒険者を続けているザックとも、穏やかで確かな関係を築けている。
互いに忙しい日々の中で、時間が合えば彼のもとに泊まり、何気ない会話を交わしながら過ごす夜が、今では当たり前のように心を落ち着かせてくれていた。
優兄ちゃんは、もともと真面目な人だから、自立したいと家を出て、今は街で一人暮らしをしている。
それだけじゃなく、元の世界にいた頃から抱いていた「先生になる」という夢に、改めて向き合い始めたらしく、資格取得に励みながら、孤児院などで子どもたちと触れ合う時間も大切にしていると聞いた。
たまに街で顔を合わせると、つい長話になってしまう。以前とは比べものにならないほど生き生きとした表情を見るたび、胸の奥がじんわりと温かくなった。
ちなみに、ノアのやつとも順調らしい。
優兄ちゃんは、もともと真面目な人だから、自立をしたいと家を出て、今は街で一人暮らしをしている。
けど、これは俺もしなかたったことで、元の世界にいた時から先生になるのが夢だったらしい兄ちゃん。
今はそれを叶えるために資格取得に励みつつ、孤児院など恵まれない子たちとの触れ合う時間を作り、日々頑張っているようだ。たまに街で合った時はもれなく、長話をしてしまうけど、今までにないくらい輝いた顔に俺も心の中で応援しつつ嬉しい気持ちになった。
そして一番下の歩夢は──少し意外かもしれないけれど、今は世界を旅している。
もちろん一人ではなく、ディランと一緒に。
もともと絵の才能があった歩夢は、旅先で描き続けた絵が評判を呼び、今ではこの街にも名が知られる画家になっていた。訪れた土地に、必ず一枚、何かを残していくのだという。
本人は趣味の延長だと言っていたけれど、その才能を見逃さなかった者たちによって、噂は自然と広がっていったらしい。
定期的に届く手紙には、街では想像もできないような冒険の日々と、「楽しい」という言葉が何度も綴られている。
その文字を読むたび、歩夢が今、確かに幸せであることが伝わってきて、俺は静かに安堵した。
そんなこんなで、俺たち三兄弟は、それぞれの場所で、それぞれの人生を歩いてる。
この世界に来たばかりの頃は、こんな未来、思い描くことすらできなかった。
振り返れってみれば、大変なこともあったけど、それでも今は帰る場所があり、待っていてくれる人がいる。
久しぶりの休暇を得た俺は、もう何度も行き慣れた道を歩き、少し先に逞しい背中を見つけた。
そいつは、愛おしいものを見るような表情で、俺を迎えてくれた。
「おかえり、太一」
「ただいま」
自然と零れた笑顔を向け、俺はその人と並んで、暖かな家へと足を踏み入れた。
─────────(完結)─────────
賑やかさを増した家は、平和すぎるほど穏やかな時間が過ぎ、そんな日々は、不思議なほどあっという間に過ぎていく。
そんな中でそれぞれが、己の番に支えられ、愛を注がれながら、少しずつ前を向いて進み始めた。
俺たち兄弟は、失われていた時間を埋めるように、何度も夜を越え、語り合う。
元の世界にいた頃の消えない記憶、この世界で手に入れた温かな日々、そして──これから先の、未来の話まで。
気づけば、あの事件から既に一年が経とうとしている。
───────────────────
俺は家を出て、本格的に爺さんのもとで住み込みの修業を始めた。
もともと職人肌な俺にとって、毎日手を動かし、技を磨ける生活は性に合っていて、最近では、自分の作品を市井で売ることも増え、爺さんの教えを糧に、少しずつ腕も確かになってきている。
気がつけば名前も知られるようになり、一部では勝手に「黒の銀細工」なんて呼ばれているらしい。
正直、恥ずかしい。
冒険者を続けているザックとも、穏やかで確かな関係を築けている。
互いに忙しい日々の中で、時間が合えば彼のもとに泊まり、何気ない会話を交わしながら過ごす夜が、今では当たり前のように心を落ち着かせてくれていた。
優兄ちゃんは、もともと真面目な人だから、自立したいと家を出て、今は街で一人暮らしをしている。
それだけじゃなく、元の世界にいた頃から抱いていた「先生になる」という夢に、改めて向き合い始めたらしく、資格取得に励みながら、孤児院などで子どもたちと触れ合う時間も大切にしていると聞いた。
たまに街で顔を合わせると、つい長話になってしまう。以前とは比べものにならないほど生き生きとした表情を見るたび、胸の奥がじんわりと温かくなった。
ちなみに、ノアのやつとも順調らしい。
優兄ちゃんは、もともと真面目な人だから、自立をしたいと家を出て、今は街で一人暮らしをしている。
けど、これは俺もしなかたったことで、元の世界にいた時から先生になるのが夢だったらしい兄ちゃん。
今はそれを叶えるために資格取得に励みつつ、孤児院など恵まれない子たちとの触れ合う時間を作り、日々頑張っているようだ。たまに街で合った時はもれなく、長話をしてしまうけど、今までにないくらい輝いた顔に俺も心の中で応援しつつ嬉しい気持ちになった。
そして一番下の歩夢は──少し意外かもしれないけれど、今は世界を旅している。
もちろん一人ではなく、ディランと一緒に。
もともと絵の才能があった歩夢は、旅先で描き続けた絵が評判を呼び、今ではこの街にも名が知られる画家になっていた。訪れた土地に、必ず一枚、何かを残していくのだという。
本人は趣味の延長だと言っていたけれど、その才能を見逃さなかった者たちによって、噂は自然と広がっていったらしい。
定期的に届く手紙には、街では想像もできないような冒険の日々と、「楽しい」という言葉が何度も綴られている。
その文字を読むたび、歩夢が今、確かに幸せであることが伝わってきて、俺は静かに安堵した。
そんなこんなで、俺たち三兄弟は、それぞれの場所で、それぞれの人生を歩いてる。
この世界に来たばかりの頃は、こんな未来、思い描くことすらできなかった。
振り返れってみれば、大変なこともあったけど、それでも今は帰る場所があり、待っていてくれる人がいる。
久しぶりの休暇を得た俺は、もう何度も行き慣れた道を歩き、少し先に逞しい背中を見つけた。
そいつは、愛おしいものを見るような表情で、俺を迎えてくれた。
「おかえり、太一」
「ただいま」
自然と零れた笑顔を向け、俺はその人と並んで、暖かな家へと足を踏み入れた。
─────────(完結)─────────
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