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2話 10年後の俺たち
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それから10年もの時が経った。
俺たち兄弟はあっという間に成長して俺は23歳になり、歩夢はこの前19歳になった。
俺は手先が器用だったから高校卒業後知り合いの銀師に弟子入りして、今では自分の作品を置いてもらえるほどまでに成長した。俺は自分のやりたいことを仕事にできてほんとに嬉しかったし、この仕事を誇りに思ってる。
弟の歩夢は趣味の絵描きを活かしてデザインの専門学校に通いながら派遣のデザイナー業をしている。デザインに無知な俺でも凄いと思わせるほど繊細で惹かれる作品を作り出すんだ。
だから俺の職場で扱う品も歩夢にデザインしてもらうことがあるんだけど、その作品はいつも売れ行きがよくて兄ながら本当に嬉しく思う。
だけどそんな幸せが崩れるのは本当に一瞬だ。
平日の昼過ぎ、俺が新作の商品について歩夢と話し合っていると店のベルがカランと鳴った。
入口に目を向けると、そこには帽子を眼ぶかに被りコートのようなものを身につけた男性が1人立っている。
「いらっしゃいませ。」
俺が挨拶と一緒に店に迎え入れるが、その男性は微動だにしない。
「?」
歩夢と不思議そうに見つめていると…
「テメェらのせいでおれの人生台無しだ…。どうせ死刑になるならテメェらも道連れにしてやる!!」
そう叫び、俺に向かって走り出したと思ったらキラリと何か光るものが見えた。
そう思ったのも束の間、俺の腹に何かが刺さっているのが見え、それがナイフだと理解するのに数秒かかる。ナイフを抜かれて初めて犯人の顔を見ることができたが、そこにいたのは…
「クソ親父ッ…!」
あいつだったんだ。
とにかく今は歩夢に被害が行かないようなんとかしないと!
でもその思いも叶わず歩夢は俺に駆け寄り庇う形で俺の上に覆いかぶさった。
「歩夢逃げろ…!」
「…いやだっ!」
優兄ちゃんがいなくなってから喋ることもめっきり減り、表情も乏しくなってしまった歩夢が必死に俺を助けようとしている。
「テメェらなんか死んじまえっ!!」
もうだめだと思った。俺は優兄ちゃんだけでなく弟さえ守ることができないのかよ…っ。そんな悔しい思いを胸に俺は次に来る衝撃に備えるしかなかった。
「?」
だけどいくら経っても何も起きない。おかしいと思いふと目を開けてみた。
「は?」
こんな反応するのも無理もないと思う。だってさっきまで店にいたはずの俺たちはどう見ても森としかいいようのない場所にいたから。
何がどうなってるんだ。
必死に頭で考えるが腹部の痛みから集中することができない。そうしてるうちに意識がどんどん遠のき歩夢の声を耳にしながら俺は意識を手放した。
俺たち兄弟はあっという間に成長して俺は23歳になり、歩夢はこの前19歳になった。
俺は手先が器用だったから高校卒業後知り合いの銀師に弟子入りして、今では自分の作品を置いてもらえるほどまでに成長した。俺は自分のやりたいことを仕事にできてほんとに嬉しかったし、この仕事を誇りに思ってる。
弟の歩夢は趣味の絵描きを活かしてデザインの専門学校に通いながら派遣のデザイナー業をしている。デザインに無知な俺でも凄いと思わせるほど繊細で惹かれる作品を作り出すんだ。
だから俺の職場で扱う品も歩夢にデザインしてもらうことがあるんだけど、その作品はいつも売れ行きがよくて兄ながら本当に嬉しく思う。
だけどそんな幸せが崩れるのは本当に一瞬だ。
平日の昼過ぎ、俺が新作の商品について歩夢と話し合っていると店のベルがカランと鳴った。
入口に目を向けると、そこには帽子を眼ぶかに被りコートのようなものを身につけた男性が1人立っている。
「いらっしゃいませ。」
俺が挨拶と一緒に店に迎え入れるが、その男性は微動だにしない。
「?」
歩夢と不思議そうに見つめていると…
「テメェらのせいでおれの人生台無しだ…。どうせ死刑になるならテメェらも道連れにしてやる!!」
そう叫び、俺に向かって走り出したと思ったらキラリと何か光るものが見えた。
そう思ったのも束の間、俺の腹に何かが刺さっているのが見え、それがナイフだと理解するのに数秒かかる。ナイフを抜かれて初めて犯人の顔を見ることができたが、そこにいたのは…
「クソ親父ッ…!」
あいつだったんだ。
とにかく今は歩夢に被害が行かないようなんとかしないと!
でもその思いも叶わず歩夢は俺に駆け寄り庇う形で俺の上に覆いかぶさった。
「歩夢逃げろ…!」
「…いやだっ!」
優兄ちゃんがいなくなってから喋ることもめっきり減り、表情も乏しくなってしまった歩夢が必死に俺を助けようとしている。
「テメェらなんか死んじまえっ!!」
もうだめだと思った。俺は優兄ちゃんだけでなく弟さえ守ることができないのかよ…っ。そんな悔しい思いを胸に俺は次に来る衝撃に備えるしかなかった。
「?」
だけどいくら経っても何も起きない。おかしいと思いふと目を開けてみた。
「は?」
こんな反応するのも無理もないと思う。だってさっきまで店にいたはずの俺たちはどう見ても森としかいいようのない場所にいたから。
何がどうなってるんだ。
必死に頭で考えるが腹部の痛みから集中することができない。そうしてるうちに意識がどんどん遠のき歩夢の声を耳にしながら俺は意識を手放した。
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