43 / 115
甘い?同居生活
7
しおりを挟む
「は?今、何て言った?」
「だから、新しい就職先を探そうかと思ってるの」
晩ご飯を食べ終え、リビングでくつろいでいたテツに話を切り出すと、あからさまに険しい表情になった。
先週、さつきと話をしてから改めて私はテツに甘えっぱなしだと思った。
家事だけして居候っていうのは、どうも居心地が悪い。
それに、今まで働いていたので家でのんびり過ごすのは、そろそろ退屈になってきたんだ。
「おばさんに聞いたんだけど、斉藤さん。あのサラリーマンは、頻度は減ったけどお店に弁当を買いに来ているみたいなの。だから、私目当てのストーカーとかいうのは勘違いだと思う」
「どうしてそう言い切れる」
「どうしてって……。だって、私があのお店を辞めてるって聞いても弁当を買いに来てるんだよ。私が目的じゃなかったってことでしょ」
ストーカーかもと勝手に思い込み、自意識過剰も甚だしい。
「それでね、無職のままテツに甘える訳にはいかないから、私も働こうと思ったの」
「あてはあるのか?」
「ない。だから、これから探すんだよ」
テツは私の言葉を聞いて、よかったと呟く。
何がよかったのかと思っていたら、テツが質問してきた。
「美桜、パソコンとか使えるか?」
「人並みには使えると思うけど」
「だったら、俺が働いているところに来るか?」
「テツが働いているところってあの?」
私が一度、配達に行った会社のことだよね。
簡単に来るかって、テツはそんな勝手なことを言える立場なんだろうか。
「そう。まだ、あのストーカーのことが片付いた訳じゃない。他に働き口を探したとして、そこでいつ鉢合わせになるか分からないだろ。だったら俺と同じ会社なら安心だ」
どこまで過保護なんだと思うけど、私のことを考えてくれているからなんだろう。
でも、甘えっぱなしは嫌だから働こうと考えたのに、これじゃ本末転倒だ。
「せっかくの申し出は嬉しいけど、そこまで甘えられないよ」
「どうして?」
「どうしてって、部屋に住まわせてもらってるだけでも助かってるのに、仕事までお世話してもらうのはちょっと……」
少しは自分の力で何とかしたいという気持ちもある。
結局、おばさんの店で働いていたのもコネというか軽い気持ちの手伝いから始まって、その流れで今に至るって感じだし。
「この前、美桜がうちの会社に来た時に対応した女子社員覚えてる?」
テツに聞かれ、あっ、と思い出す。
「少しお腹が大きかった人だよね」
「そう。彼女、来月に会社を辞めるんだ。それで、誰か人を雇おうかという話が出ていたんだ。だから美桜が働いてくれたらうちの会社も助かるんだけど。どう?」
助かるとか言われたら気持ちが揺らぐ。
「だから、新しい就職先を探そうかと思ってるの」
晩ご飯を食べ終え、リビングでくつろいでいたテツに話を切り出すと、あからさまに険しい表情になった。
先週、さつきと話をしてから改めて私はテツに甘えっぱなしだと思った。
家事だけして居候っていうのは、どうも居心地が悪い。
それに、今まで働いていたので家でのんびり過ごすのは、そろそろ退屈になってきたんだ。
「おばさんに聞いたんだけど、斉藤さん。あのサラリーマンは、頻度は減ったけどお店に弁当を買いに来ているみたいなの。だから、私目当てのストーカーとかいうのは勘違いだと思う」
「どうしてそう言い切れる」
「どうしてって……。だって、私があのお店を辞めてるって聞いても弁当を買いに来てるんだよ。私が目的じゃなかったってことでしょ」
ストーカーかもと勝手に思い込み、自意識過剰も甚だしい。
「それでね、無職のままテツに甘える訳にはいかないから、私も働こうと思ったの」
「あてはあるのか?」
「ない。だから、これから探すんだよ」
テツは私の言葉を聞いて、よかったと呟く。
何がよかったのかと思っていたら、テツが質問してきた。
「美桜、パソコンとか使えるか?」
「人並みには使えると思うけど」
「だったら、俺が働いているところに来るか?」
「テツが働いているところってあの?」
私が一度、配達に行った会社のことだよね。
簡単に来るかって、テツはそんな勝手なことを言える立場なんだろうか。
「そう。まだ、あのストーカーのことが片付いた訳じゃない。他に働き口を探したとして、そこでいつ鉢合わせになるか分からないだろ。だったら俺と同じ会社なら安心だ」
どこまで過保護なんだと思うけど、私のことを考えてくれているからなんだろう。
でも、甘えっぱなしは嫌だから働こうと考えたのに、これじゃ本末転倒だ。
「せっかくの申し出は嬉しいけど、そこまで甘えられないよ」
「どうして?」
「どうしてって、部屋に住まわせてもらってるだけでも助かってるのに、仕事までお世話してもらうのはちょっと……」
少しは自分の力で何とかしたいという気持ちもある。
結局、おばさんの店で働いていたのもコネというか軽い気持ちの手伝いから始まって、その流れで今に至るって感じだし。
「この前、美桜がうちの会社に来た時に対応した女子社員覚えてる?」
テツに聞かれ、あっ、と思い出す。
「少しお腹が大きかった人だよね」
「そう。彼女、来月に会社を辞めるんだ。それで、誰か人を雇おうかという話が出ていたんだ。だから美桜が働いてくれたらうちの会社も助かるんだけど。どう?」
助かるとか言われたら気持ちが揺らぐ。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
68
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる