再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

松本ユミ

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対決、そしてこれからもずっと

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「親父たちには美桜に会ってもらったけど、この前話した通り、まだ婚約者と言って大々的に発表するつもりはないんだ」

テツは真面目な表情で話し出す。

「さっき挨拶回りをしたときに結婚のことを聞かれたから、婚約者がいるとだけ伝えた。親父の後継者ではあるけど、俺はまだ修行中の身だから正式に海鳴に戻ってから発表したいと思っているんだけど、それでもいいか?」

「ああ、それは構わない。哲平の好きなようにやりなさい。お前のことを聞かれたら婚約者がいるとだけ伝えることにしよう」

「そうしてもらえると助かる。それに、今から発表して美桜に変なプレッシャーをかけたくないんだ」

テツは私に優し気なまなざしを向けてきて、胸の奥がじんわりと温かくなった気がした。
いきなり表舞台に立たせないように、私のことをちゃんと考えてくれているんだ。

改めて思うけど、テツは『海鳴建設』の後継者だ。
テツと付き合うということは、将来社長となる彼を私が支えていかないといけなくなる。
そう考えたらプレッシャーもあるけど、テツのことが本当に好きだから私も努力したいと思う。
それなりにマナーも必要だろうし、立ち居振る舞いも気を付けないといけない。
分からないことがあれば、テツママにご教示してもらおう。
やるべきことはすべて身に着けていきたい。

「哲平、お前の気持ちは分かった。今、出来ることを精一杯やれ。私たちはできる限りのフォローする」

「ありがとう」

テツのお父さんはテツの肩をポンと叩く。
ふと周りを見ると、私たちを囲むように人の群れが出来ていた。
今日の主役の社長と社長夫人、その息子が同じ場所にいるんだから注目されないわけがない。
それに気づいたテツが口を開く。

「親父、そろそろ帰ってもいい?知り合いにはだいたい挨拶済ませたから」

「ああ。あとのことは気にしなくていい」

「助かる。美桜、行こうか」

テツが私に向かって言う。

「今日はこれで失礼します。また後日、挨拶に伺わせてください」

「美桜ちゃん、いつでも待っているわ。今日は来てくれてありがとう」

「美桜さん、哲平のことをよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

テツのご両親に頭を下げた。
そして、私たちを遠巻きに見ている人たちにも軽く頭を下げてその場を後にした。

***

「ごめんな、疲れただろ」

帰りの車の中でテツが申し訳なさそうに言う。
疲れていないと言ったら嘘になるけど、テツのご両親に挨拶ができたので良かった。

「少しだけ。でも、テツのご両親に挨拶ができてよかったよ。それに、私が行くって決めたんだから謝らないで」

元々はテツに頼まれたけど、行くと決めたのは私だ。
将来のことを考えたら行かないという選択肢はない。
それに、私なりにテツと結婚するという覚悟というかそういうのが少し芽生えてきた。
もっと努力しないといけないんだなと再確認したし。

「それとね、テツに負けないように私も頑張らないとって思ったよ」

「えっ?」

「テツの挨拶回りを遠目から見ていたんだけど、堂々とした立ち居振る舞いをしていて普通にすごいなと思ったの。将来、私もテツの隣に立った時に恥ずかしくないように努力したいなって」

豊満ボディの女性以外にも、あちこちで人に囲まれて挨拶をしているのを目にしていた。
笑顔を交えながら話している姿が印象的だった。
営業で培ったものもあるだろうし、それはテツの努力の賜物だろう。
テツに相応しいと思えてもらえるようになりたいと強く思う。

フッと顔を綻ばせたテツは、ハンドルから左手を離して私の手を握ってきた。

「これ以上惚れさせてどうするんだよ。でも、ありがとう。美桜の気持ちはすごく嬉しい」

そう言って嬉しそうに笑うテツが愛おしくてたまらなかった。
いつも私のことを守ってくれて大切に思ってくれる分、私もそれを返したい。
大変だとは思うけど、私も出来る限りのことをしてお互いに支えあっていこうと心に誓った。
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