おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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52.水無瀬京介の決心

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これで良かったのか、水無瀬が何度自分に問うても、スッキリする答えは出なかった。

総理の決定が必要という話は本当だった。

しかし、楓が動いた方が確率は上がっていた。

水無瀬は、楓が妻に重なったあの日から悩み続け、悩んだ挙句に、楓にこれ以上の事をさせないことを選んだのだった。

楓も守り手も政治に疎い。楓が動いた事で水無瀬の悲願が叶ったとなれば、おぞましい量の害虫が楓に集るだろうことが分からないのだから。

今まで悲願を達成する為なら、人を蹴落とそうが傷付けようがお構い無しに、より確率の高い方法を取って来た。

その水無瀬が、駒である楓の為に、確率の高い方法を捨てた事は、水無瀬の心が耐えきれなかったことを意味した。

水無瀬は朝早くに妻と子の眠る墓に参って、その事を謝っていた。

エレベーターでロビーに降りた水無瀬は、最終の確認をしようとバックヤードに入った。

その時、水無瀬の瞳は視界の端に一瞬映った影を見逃さなかった。

水無瀬は振り向き、追い掛けようと走ったが、廊下の角に着く前に、爆発音と大きな揺れが襲った。

「不味い・・・!! 」

急いでエレベーターに戻るも、揺れの影響でエレベーターは止まっていた。

無線は混乱したやり取りで使えず、水無瀬は雪野に電話を掛けた。

「雪野くん今何処に居る?」

『五階です。警備の最終準備を行っていて二階に居たのですが、階段で巫女の元に向かっています。』

「あいつが居た。」

『あいつ・・・?まさか・・・石萩いしはぎ阿修羅あしゅらですか?』

「ああ。一階のバックヤードで一瞬姿を見た。間違いなくあいつだった。」

水無瀬が見間違える筈がなかった。最愛の妻と子を無惨に殺害した男なのだから。

『警戒させます。水無瀬さんは避難を』

また爆発音と揺れが起こり、周囲からは悲鳴があがった。

「俺はあいつを追う。」

電話を切った水無瀬は、石萩の後を追い、廊下の角を曲がった。
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