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53.事実
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インカムを手で押さえた高辻さと護衛の人達の顔が凍り付いた。
「まだ動いたらあかんのか!?」
「そ、外はダメです!今情報が入って!」
「紫々井先生、石萩修羅を覚えていますか?」
「・・・伊原名通り魔事件の少年A。」
「一階で目撃情報がありました。ですので、雪野さんの到着を待ちます。」
「そんな凶悪犯が私を狙ってるんですか!?」
「神凪さん、我々がお守りします。ご安心を。」
安心できる筈が無かった。
不安に駆られて、私は明さんの腕に捕まった。
「ゆっくり深呼吸をして。」
明さんの言う通りにしたものの、心臓は大きな音を立てていた。
明さんはどこかに電話を掛けた。
「紫々井です。帝国ホテルにすぐに来てください。周囲の建物二軒で爆発、石萩修羅の目撃情報があります。・・・はい。わかりました。」
電話を切った明さんは私の背中をあやす様に撫でた。
「雅楽代さんも来るから大丈夫や。」
「うん・・・」
爆発音じゃなかったけど、ホテルが内側から揺れて大きな衝撃音が聞こえた。
「雪野さんまだですか!」
「落ち着け。状況の把握を優先しろ。」
突然、高辻さんが拳銃を取り出して、窓に向けて引き金を引いた。
「雪野さん、鳩が飛んでいました。柏木龍之介のものと思われます。恐らくこの二人以外にも固有能力者が居るかと。」
固有能力者、詠川先生の授業に出て来たワードだ。
その人だけが扱える魔法や第六感の様な特殊能力を生まれながらに有している人達のことだ。
詠川先生はこうも言っていた。
「固有能力者は固有能力者法で保護されているから、凶悪犯でも恩赦を受ける事が多い・・・」
「五階下に移動します。」
「あ、あの!他の人達は!?ホテルに居る一般の人達!残して逃げるんですか!?」
「避難誘導は行われています。心配要りません。行きましょう。」
「高辻さん、俺は自力で脱出します。楓さんをお願いします。」
「明さん!?」
「俺は戦えへんから足手纏いになる。大丈夫。自分の傷は自分で治せるから、一人で逃げられる。」
「でも・・・!」
「護身術くらいはできるから。ほら、早く。」
高辻さんに手を引っ張られ、私は明さんを残して部屋を出た。
「石萩との接触は避ける。全員抜刀。」
普段なら有り得ない非日常がリアルな夢のように感じた。そうあって欲しかった。
怖いけど、それより、私がここに来た事でなんの関係も無い大勢の人達が巻き添えで亡くなっている事実に押し潰されそうだった。
私は警護の人達四人に四方を囲まれて非常階段に向かった。
また轟音がしてホテルが揺れた。
「まだ動いたらあかんのか!?」
「そ、外はダメです!今情報が入って!」
「紫々井先生、石萩修羅を覚えていますか?」
「・・・伊原名通り魔事件の少年A。」
「一階で目撃情報がありました。ですので、雪野さんの到着を待ちます。」
「そんな凶悪犯が私を狙ってるんですか!?」
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安心できる筈が無かった。
不安に駆られて、私は明さんの腕に捕まった。
「ゆっくり深呼吸をして。」
明さんの言う通りにしたものの、心臓は大きな音を立てていた。
明さんはどこかに電話を掛けた。
「紫々井です。帝国ホテルにすぐに来てください。周囲の建物二軒で爆発、石萩修羅の目撃情報があります。・・・はい。わかりました。」
電話を切った明さんは私の背中をあやす様に撫でた。
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「うん・・・」
爆発音じゃなかったけど、ホテルが内側から揺れて大きな衝撃音が聞こえた。
「雪野さんまだですか!」
「落ち着け。状況の把握を優先しろ。」
突然、高辻さんが拳銃を取り出して、窓に向けて引き金を引いた。
「雪野さん、鳩が飛んでいました。柏木龍之介のものと思われます。恐らくこの二人以外にも固有能力者が居るかと。」
固有能力者、詠川先生の授業に出て来たワードだ。
その人だけが扱える魔法や第六感の様な特殊能力を生まれながらに有している人達のことだ。
詠川先生はこうも言っていた。
「固有能力者は固有能力者法で保護されているから、凶悪犯でも恩赦を受ける事が多い・・・」
「五階下に移動します。」
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「高辻さん、俺は自力で脱出します。楓さんをお願いします。」
「明さん!?」
「俺は戦えへんから足手纏いになる。大丈夫。自分の傷は自分で治せるから、一人で逃げられる。」
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怖いけど、それより、私がここに来た事でなんの関係も無い大勢の人達が巻き添えで亡くなっている事実に押し潰されそうだった。
私は警護の人達四人に四方を囲まれて非常階段に向かった。
また轟音がしてホテルが揺れた。
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