おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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67.大晦日

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こっちに来て初めての年越し。大晦日、里帰りで人が少なくなって、先生達も残っていない。明さんの代わりは別の守り手の当主の人が来てくれている。

二日前から久し振りに人に会わない生活を送っている。

「迷惑かなぁ・・・」

そう思いながら、私はおせちを作っていた。

警備も最低限しかいないから作れる量だし、何よりやる事が無い。

夕方まで掛かって作り終えた私は、こたつに入ってこっちの世界にもあった紅白を見て、ゆったりした年越しを満喫した。

休みなんてなかった社畜時代。こんな年越しをしたのは七年振りだ。

元旦の朝、私はお重やタッパーに詰めたお節を警備棟に持って行った。

「楓様!」

警備棟に着く前に、高辻さんが駆け付けた。

「お節作ったんです。迷惑かもしれないとは思ったんですけど、暇だったし、お正月まで仕事して貰ってるので・・・」

「ありがとうございます。お持ちします。」

高辻さんは全部を持ってくれた。

「それならお呼び頂ければ取りに向かったのに。」

「だってそれは警備の仕事じゃないでしょう?」

「そうですけど、どっちでも同じですよ。結局誰か出て来ます。楓様がこれのせいで怪我をしたら俺達の責任です。」

「それもそうですね。」

警備棟に着くと会議室に案内してくれた。

ちょっと待ってて下さいと言って出ていった高辻さんは、ケージに入ったマウスを連れて来た。

「実験用ですか?どうしてこんな所に?」

「毒味用のマウスです。」

「ど、毒・・・」

「巫女様の魔力でどんな影響が出るかわからないので。」

悪気が無いのはわかるけど、もうちょっと言い方変えて欲しかったな・・・。

高辻さんはだし巻き玉子の欠片をネズミにあげた。ネズミは目付きが変わって、動きが素早くなった。

「速度上昇のバフかな。それとも筋肉の増強か・・・」

胸を撫で下ろした。良かった。コテンと倒れて死んじゃったらどうしようかと思った。

「マウスでこれくらいの効果なら大丈夫か。」

高辻さんはだし巻き玉子を食べた。

「だ、大丈夫ですか・・・?」

「体の調子が良くなりました。」

「良かった・・・」

高辻さんは次々とお節をネズミに食べさせて確認した。結果、全てのおせちが食べられる事がわかった。

まず食べられるか検査されるって、それは毒と扱いが変わらない。今後全部検査されるの悲しいな・・・。

複雑な心境で警備員の皆さんにおせちを取り分けた。

「何してる。」

資料らしき紙を片手にした雅楽代さんと雪野さんが入って来た。

「暇だったのでお節を作ったんです。」

「それであんなに食材を購入されたんですね。」

「はい。」

二人はテーブルの上のマウスに目を向けた。

「・・・高辻お前まさかここで検査したのか?」

二人の様子が僅かに変わって私は思った。あ、これ高辻さんしっかり怒られるやつだ。

「はい。巫女様の魔力でどんな効果が出るか分からないので。」

表情を隠したつもりだったけど、二人は私を見て表情から察したらしく、無言で高辻さんを見た。

雪野さんは資料を丸めながら素早く高辻さんに近付き、丸めた資料で無言のまま高辻さんの頭を叩いた。気持ち良い音が響き、高辻さんは頭を押さえ、私は吹き出した。

「いって!!」

「雪野さん・・・!!」

雅楽代さんはケージを廊下に出して痛がる高辻さんを、おい、と呼んだ。
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