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85.水も滴る
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「み、嶺島さん!?」
水も滴る良い男がスーツを脱ぐ姿に心臓ははち切れんばかりに体の中で暴れた。
心臓破裂の危機を感じて、私は俯いて顔を手で覆った。
ジャケットを脱ぐ、ネクタイを取る、シャツを脱ぐ、どうして男性のこの仕草には色気を感じるんだろう。
「何してるの!?」
「この水滴を浴びたら古傷の痛みが無くなったんだ。」
「だ、だからって急に脱がないでっ!!」
「ごめん。でも、浴びれるうちに浴びとかないと。」
見ちゃダメだ。絶対に見ちゃダメだ。色気で卒倒しちゃう。
幸い顔は見られない。このままなんとか落ち着いて、平然とした顔をしないと。
ミッションの難易度が高すぎるけど。
「凄い・・・数滴でも古傷が治ってく。傷痕も跡形も無い。これは雅楽代さんにも浴びて貰わないと。」
雅楽代さん限定なのはなんでだろう。
そんなことを考えていたら、雅楽代さんの声がした。直後、風が吹いたと思ったら、地面に何か塊が落ちた様な大きな音がして思わず顔を上げた。
数メートル先で、私に背を向けた雅楽代さんが居て、その右手は地面にめり込んで、クレーターを作っていた。
振り返った雅楽代さんは珍しく真顔で目をはっきりと開いて、誰がどう見ても激怒した表情だった。
「嶺島、楓様の前で何をしている。」
雅楽代さんは聞いた事の無いドスの効いた声だった。
嶺島さんはいつの間にかかなり離れたところに移動している。
雅楽代さん、あんなクレーターができる勢いで嶺島さんを殴ろうとしたの。それなのに嶺島さんは平然としていた。
思わず見てしまった私は、また顔を伏せて手で覆った。
「創成樹の水を浴びるためです。古傷が治ったので、もっと浴びようと思って。雅楽代さんも」
「殺されたくなければ楓様の視界から消えろ。楓様が不快に思われているのがわからないのか。」
全然不快では無いです。むしろ目の保養です。とは、口が裂けても言えない。
「申し訳ありません。」
「あ、あの!服さえ着て貰えれば、だ、大丈夫です・・・!大丈夫ですから・・・!」
「・・・楓様の寛大なお心に感謝しろ。」
嶺島さんが服を着た頃には何とか鼓動は元に戻っていた。
「楓様、部下がお目汚しをするなど、大変失礼な事を致しました。申し訳ございません。」
「申し訳ございません。」
「大丈夫です。驚いただけですから。」
全然大丈夫じゃなかったけど、そう返した。そう返すしかなかった。
水も滴る良い男がスーツを脱ぐ姿に心臓ははち切れんばかりに体の中で暴れた。
心臓破裂の危機を感じて、私は俯いて顔を手で覆った。
ジャケットを脱ぐ、ネクタイを取る、シャツを脱ぐ、どうして男性のこの仕草には色気を感じるんだろう。
「何してるの!?」
「この水滴を浴びたら古傷の痛みが無くなったんだ。」
「だ、だからって急に脱がないでっ!!」
「ごめん。でも、浴びれるうちに浴びとかないと。」
見ちゃダメだ。絶対に見ちゃダメだ。色気で卒倒しちゃう。
幸い顔は見られない。このままなんとか落ち着いて、平然とした顔をしないと。
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雅楽代さん限定なのはなんでだろう。
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