おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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87.禁術

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「楓さん、経緯を教えてください。詳細にです。何故創成樹が育ったのですか。」

気圧されながら、私は事細かに先生に経緯を話した。

「自在の種で創成樹を・・・しかもこれでほんの少ししか魔力を使っていないなんて・・・」

詠川先生は私を見詰めて感嘆のため息を漏らした。

「やはり、貴女は史上最高の巫女様です。」
「えっ!?」

そんな熱い眼差しで見ないで。動悸と反応を隠すのは苦行なんです。ただでさえ短時間で二回も試練があったのに。

「こんなことは誰も成し得ませんでした。それを軽々と行い、力も消耗していないなんて・・・コントロールができるようになれば、僕達では想像の付かない程の偉業を数多く成し遂げられることでしょう。」
「そ、そうなんですか・・・」

そうは言われてもピンと来ないけど、これから何回も雅楽代さんが壁に穴を開けて機械を破壊して駆け付けるのかと思うと、もう何もしたくない。

「この創成樹、どうしますか。」
「生えてしまったんですから、ここで守っていくしかありません。」
「守る?」
「創成樹は世界で最も貴重で神聖な木です。大切に守らねばなりません。」
「でも、ここグラウンドの真ん中だし、この木が生きてる間ずっとこんな山奥の隠れ里みたいなところに手入れに来るんですか?」

それはあまりに気の毒だ。それに邪魔だ。

「致し方ありません。切り倒すなんてことはできませんから。」
「・・・わかりました!枯れればいいんですね!」

詠川先生の熱視線が限界だったから、私は走って木の元へ向かった。

「待って!結界が」

結界がどうしたんだろう。特に何も無く入れたけど。
私は木に右手を付けて、木の魔力の流れを探った。
成長させるために、魔力栄養を蓄えている場所があるはず。そこの魔力を体内に戻せば、魔力が枯渇した木は自然に枯れる。
殺生だけどごめんね、と心の中で木に謝って、私は魔力を吸い取って体内に戻した。
すると、ものの数秒で木は元気を失いだした。

「良し!」
「良しではありません。」

耳元で雅楽代さんの声が聞こえたものだから慌てて離れようとした私は、素早く私をお姫様抱っこした雅楽代さんにさっき話していた場所に戻された。

「二度も申し訳ありません。緊急でしたのでやむを得ず。」
「き、緊急って、何が」

創成樹に目を向けると、枯れた枝や実がボトボトと私の居た場所に降り注いでいた。
あんな大きな枝や果実が頭に当たったら死にかねない。

「楓様、何をなさったのですか。」
「創成樹の中の魔力を吸い取って体内に戻しました。」

数秒の沈黙は、雅楽代さんの本日三回目のお姫様抱っこで破られた。
雅楽代さんは魔法を使って初速から凄い速度を出した。

「な、なんですか!?」

雅楽代さんは切迫した表情で、質問に答えなかった。
前を見ると、明さんの姿を発見した。

「紫々井先生!楓様が魔力吸収の魔法をお使いになられました!」

雅楽代さんがそう叫ぶと、明さんは血相を変えて、抱えていた大荷物を捨てて踵を返した。
そして私は、診察室に運ばれて、診察台に寝かされた。

「な、何なんですか!?」
「動かないで。」

訳も解らぬまま、私は診察を受けた。
その間雅楽代さんは私を凝視していたし、詠川先生と嶺島さんまで駆け付けて、詠川先生は診察を魔法で補助した。

「私は健康体です!ピンピンしてます!なんなんですか急に!答えてください!」
「それはこちらの台詞です。」

神妙な面持ちで診断結果を確認していた詠川先生が口を開いた。

「楓さん、魔力吸収は禁術です。」
「えっ。」
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