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104.雅楽代薫の変化
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楓をシェルターに運ぶ高辻を背にして、雅楽代達は攻撃元である玄関に向けて走り出した。
けたたましくサイレンが鳴り響き、警備部の職員達が次々と建物を飛び出していた。
雅楽代は通信の魔術を使って尾長谷に連絡を取った。
「楓様は高辻がシェルターに避難させました。俺は嶺島、雪野、詠川先生と共に現場に向かっています。紫々井先生は診療所に向かいました。」
『話を聞けそうな奴を見繕って生け捕り、他は殲滅しろ。』
「・・・楓様が目にしてしまいます。」
同じ通信を聞いていた雪野と嶺島が雅楽代に目をやった。
『あの子はもう理解してる。むしろ良い機会だ。』
「楓様は不安定な状態です。耐えられるとは思いません。」
『例え耐えられなくても、療養する時間は腐るほどある。薫、過保護はあの子の為にならない。』
為にならないという言葉に、雅楽代は眉を顰めた。
「楓様の為ではなく、単にその方が都合が良いからでしょう。」
ほんの少しだったが雅楽代が怒りを言葉に滲ませたことに、雪野と嶺島は驚いた。
嶺島でさえ、雅楽代が任務中に感情を顕にする姿など見たことがなかった。
「楓様はお強い方です。どんな苦難であろうと諦めず向き合われる。ですが、御心は既にボロボロです。ほんの少しの事で崩れてしまうほど脆いんです。その指示には従えません。」
返って来ない返事。雅楽代は続けた。
「水無瀬の件で今もフラッシュバックを起こす程のトラウマを抱えています。そこまで踏まえての判断ですか?」
『あの雅楽代薫とは思えないな。』
「何とでもどうぞ。」
巫女を護る使命があるからこそ本来なら尾長谷に従う。自分の見てきた雅楽代なら必ず従っている。
嶺島は、楓の何かが雅楽代を変えたのだと、これまでの、らしくない雅楽代を思い出して思った。
『従えないなら組織から外すと言っても従わないか?』
「それは楓様の一存で決まる事です。」
『お前は頑固だなぁ。』
尾長谷は執務室で玄関の監視カメラを見ながら、ポリポリと頭を掻いた。
雅楽代の判断は部下達には絶対であり、尾長谷の指示よりも重い。つまり、雅楽代が首を縦に振らなければ思う通りには動かせない。
雅楽代達の目に、監視室から送られた敵の人数と補足できる限りの人物データが表示された。
半透明の板に文字が書かれている方式のそれは、脳内で操作でき、慣れている者であれば操作しながらでも戦闘ができる。走りながらデータをチェックすることは雅楽代達には容易く、次々とチェックしていった。
『無血で生け捕りなんて、そのリスト通りの顔触れでできるのか?』
リストに連なる名前は、どれも賞金首や指名手配犯だった。
『こんな連中をよく集められたもんだ。手緩いことをしたら死者が出るぞ。・・・智久。』
「・・・はい。」
『お前の意見は。』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ご愛読くださりありがとうございます。
感想をいただけますと嬉しいです。
これより暴力的表現やダークな要素が入ります。
けたたましくサイレンが鳴り響き、警備部の職員達が次々と建物を飛び出していた。
雅楽代は通信の魔術を使って尾長谷に連絡を取った。
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「楓様は不安定な状態です。耐えられるとは思いません。」
『例え耐えられなくても、療養する時間は腐るほどある。薫、過保護はあの子の為にならない。』
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ほんの少しだったが雅楽代が怒りを言葉に滲ませたことに、雪野と嶺島は驚いた。
嶺島でさえ、雅楽代が任務中に感情を顕にする姿など見たことがなかった。
「楓様はお強い方です。どんな苦難であろうと諦めず向き合われる。ですが、御心は既にボロボロです。ほんの少しの事で崩れてしまうほど脆いんです。その指示には従えません。」
返って来ない返事。雅楽代は続けた。
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『あの雅楽代薫とは思えないな。』
「何とでもどうぞ。」
巫女を護る使命があるからこそ本来なら尾長谷に従う。自分の見てきた雅楽代なら必ず従っている。
嶺島は、楓の何かが雅楽代を変えたのだと、これまでの、らしくない雅楽代を思い出して思った。
『従えないなら組織から外すと言っても従わないか?』
「それは楓様の一存で決まる事です。」
『お前は頑固だなぁ。』
尾長谷は執務室で玄関の監視カメラを見ながら、ポリポリと頭を掻いた。
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『こんな連中をよく集められたもんだ。手緩いことをしたら死者が出るぞ。・・・智久。』
「・・・はい。」
『お前の意見は。』
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感想をいただけますと嬉しいです。
これより暴力的表現やダークな要素が入ります。
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