時を喰らう館：天才高校生探偵、神藤葉羽の難解推理

12章

血塗られた過去

第12章：

紅葉の死は、洋館に更なる暗雲をもたらした。二度目の悲劇に、館内は悲嘆と恐怖に包まれた。警察は、紅葉の死を自殺と断定したが、葉羽は納得できなかった。紅葉の死の状況、そして白銀零士の不可解な言動――全てが、葉羽の心に不吉な影を落としていた。

葉羽は、紅葉の部屋を調べた。部屋は整然としており、自殺を暗示するようなものは何も見つからなかった。しかし、葉羽は、窓枠に小さな傷があることに気づいた。それは、まるで誰かが無理やり窓を開けたような、不自然な傷だった。

「紅葉は、突き落とされたんだ……」

葉羽は、確信した。そして、紅葉の死が、雅也の死と何らかの繋がりがあることを直感した。二つの死は、どちらも不可解な点が多く、まるで何者かが意図的に偽装工作を行っているかのようだった。

葉羽は、天堂家の歴史を改めて調べ始めた。古い資料、一族の系譜、そして過去の事件記録――葉羽は、膨大な量の情報をくまなく調べ上げ、ついに一つの事実にたどり着いた。

数十年前、天堂家では、ある凄惨な事件が起きていた。雅也の兄、天堂一徹（てんどう いってつ）が、謎の死を遂げていたのだ。一徹の死は、当時、事故死として処理されたが、実は、何者かによって殺害されていた可能性があった。そして、その事件の真相を知る唯一の人物が、朽木蒼司だった。

葉羽は、蒼司の過去を調べ上げた。蒼司は、一徹の親友であり、同時に、天堂家に恨みを持つ人物だった。蒼司は、一徹の死の真相を暴こうとしていたが、何者かによって妨害され、全てを失っていた。

「蒼司は、一徹の復讐のために、雅也を殺害したのか……」

葉羽は、そう考えた。しかし、蒼司の復讐計画は、あまりにも大掛かりで、複雑すぎた。まるで、雅也への復讐以外にも、何か別の目的があるかのように。

葉羽は、二つの事件の共通点を探した。雅也と一徹、二人の死には、共通のキーワードが隠されていた。「血塗られた過去」――それは、天堂家に隠された、深い闇の象徴だった。

葉羽は、全ての真実が、過去の事件に隠されていると確信した。彼は、過去の事件を解き明かすことで、現在の事件の真相を暴き出すことができると信じて、調査を続けた。

そして、ついに、葉羽は、ある衝撃的な真実にたどり着く。それは、天堂家一族にまつわる、血塗られた秘密だった。