焔星高校の密室 鏡影の殺人 ～天才少年・神藤葉羽と幼馴染の事件簿～【本格推理×ホラー×どんでん返し】

２１章

再推理

地下室の重苦しい空気の中、葉羽は息を呑んだ。鹿島翔の亡骸が、冷たく床に横たわっている。そして、その傍らには、銃を構える白鳥優希と、静かに佇む佐伯久美子の姿があった。まるで、悪夢のような光景だった。

白鳥の裏切り、鹿島の死。怒りと悲しみ、そして混乱が、葉羽の心を締め付ける。彼は、拳を握りしめ、震える体を押さえつけた。

「久美子…なぜ、ここに？」

葉羽は、絞り出すように尋ねた。鏡の部屋に閉じ込められていたはずの彼女が、なぜここにいるのか。理解できなかった。

久美子は、静かに葉羽に近づいた。彼女の黒い瞳は、底知れぬ闇を湛え、葉羽の心を見透かすようだった。

「全ては、仕組まれたことだったのよ、葉羽くん」

久美子の声は、冷たく、そして不気味だった。

「仕組まれた…？」

葉羽は、彼女の言葉の意味が分からなかった。

「ええ。白鳥優希との出会いも、鏡の部屋での出来事も、全ては、私が仕組んだ罠だったのよ」

久美子の言葉は、まるで氷の刃のように、葉羽の心に突き刺さった。

「罠…？」

葉羽は、言葉を失った。一体、どういうことなのか。

「私は、あなたを利用したのよ、葉羽くん。あなたに、事件の真相を解き明かさせるために」

久美子は、残酷な笑みを浮かべながら言った.

「利用した…？」

葉羽は、混乱していた。

「ええ。私は、あなたに、白鳥優希の正体を暴かせ、彼を追い詰めてもらう必要があったのよ」

久美子は、説明を続けた.

「なぜ…？」

葉羽は、尋ねた.

「それは…私が、真犯人だからよ」

久美子の言葉は、衝撃的だった。

「あなたが…真犯人…？」

葉羽は、信じられない思いで久美子を見つめた.

「ええ。私が、佐伯蔵人を殺害したのよ。そして、灰原静香も、佐伯景子も、私が殺した」

久美子の言葉は、冷酷だった。

「なぜ…そんなことを…」

葉羽は、言葉を詰まらせた。

「なぜ？それは…復讐のためよ」

久美子の瞳には、憎悪の炎が燃えていた。

「復讐…？」

葉羽は、尋ねた。

「ええ。私は、佐伯家に復讐するために、この事件を企てたのだ」

久美子は、静かに語り始めた。

「私は、佐伯家の血を引いている. しかし、私は、佐伯家の人間として扱われたことは一度もなかった. 私は、いつも蔑まれ、無視され、虐げられてきた. 私は、佐伯家を恨んでいた. そして、私は、佐伯家に復讐することを誓ったのだ」

久美子の言葉は、悲痛だった.

「そして、私は、佐伯蔵人を殺害し、佐伯家を崩壊させる計画を立てた. 私は、白鳥優希を利用し、彼に罪を擦り付けた。そして、私は、あなたを利用して、白鳥優希を追い詰めた」

久美子の言葉は、冷酷だった。

「あなたは…鹿島さんも、利用したのですか？」

葉羽は、震える声で尋ねた.

「ええ。彼は、私の計画の邪魔になったから」

久美子の言葉は、残酷だった。

葉羽は、絶望に打ちひしがれた. 彼は、全ての人間に裏切られたのだ.

「なぜ…あなたは、そこまでして…」

葉羽は、言葉を詰まらせた。

「なぜ？それは…私が、佐伯家の人間だからよ」

久美子は、静かに言った.

「私は、佐伯家の血を引く者として、佐伯家に復讐する義務がある. そして、私は、その義務を果たしたのだ」

久美子の言葉は、狂気に満ちていた.

葉羽は、何も言えなかった. 彼は、ただ呆然と立ち尽くしていた.

その時、白鳥優希が口を開いた.

「久美子…もう、終わりにしよう」

白鳥の声は、疲れていた。

「終わりにする？何を？」

久美子は、白鳥を見つめた。

「復讐劇を. もう、これ以上、犠牲者を出したくない」

白鳥は、真剣な表情で言った.

「犠牲者？彼らは、犠牲者ではない. 彼らは、佐伯家の罪を償ったのだ」

久美子の言葉は、冷たかった。

「そんなことはない！彼らは、あなたの復讐劇に巻き込まれた、ただの被害者だ！」

白鳥は、叫んだ.

「被害者？彼らは、佐伯家の血を引く者として、死ぬべき運命だったのだ」

久美子の言葉は、狂気に満ちていた。

「もう、やめろ、久美子！お前は、間違っている！」

白鳥は、銃を久美子に向けた.

「間違っている？何を？」

久美子は、白鳥を見つめた。

「全てだ！お前は、復讐という名の闇に囚われている！」

白鳥は、叫んだ.

「闇？私は、闇の中にいるのではない. 私は、闇そのものだ」

久美子は、不気味な笑みを浮かべた.

「私は、佐伯家の呪い。私は、佐伯家を滅ぼすために生まれてきたのだ」

久美子の言葉は、まるで呪詛のようだった.

白鳥は、引き金を引こうとした.

その時、葉羽が白鳥にタックルした.

銃声が響き渡った。