焔星高校の密室 鏡影の殺人 ~天才少年・神藤葉羽と幼馴染の事件簿~【本格推理×ホラー×どんでん返し】

葉羽

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23章

どんでん返し(2)

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夜明け前の薄明かりが、街を青白く染め上げる。葉羽は、自宅の書斎で、窓の外をぼんやりと眺めていた。事件は解決した。佐伯久美子と白鳥優希は逮捕され、全ての真相が明らかになったはずだった。しかし、葉羽の心には、拭い去れない違和感と、深い不安が残っていた。

何かがおかしい。まるで、重要なピースが欠けているかのような、不完全燃焼な感覚。白鳥優希の行動、佐伯久美子の言葉、そして鹿島翔の死。それらが、葉羽の頭の中で、複雑に絡み合い、混沌とした渦を巻いている。

彼は、机の上に置かれた一枚の写真に目をやった。それは、鹿島翔が最後に葉羽に渡した写真だった。古い洋館の写真。どこかで見たことがあるような、懐かしい風景。

葉羽は、写真の隅に小さく写っている人物に気づいた。黒づくめの男。その顔は、闇に隠れてよく見えない。しかし、その姿は、葉羽の記憶の奥底に眠っていた何かを呼び起こした。

彼は、書斎の本棚から、一冊の古いアルバムを取り出した。それは、祖父の遺品だった。アルバムを開くと、そこには、若い頃の祖父と、見知らぬ男が並んで写っている写真があった。黒づくめの男。写真の男と、鹿島の写真に写っていた男は、同一人物のように見えた。

葉羽は、心臓が激しく鼓動するのを感じた。この男は、一体誰なのか?そして、祖父とどのような関係があったのか?

彼は、アルバムの写真の裏側を見た。そこには、「影の男」という文字が走り書きされていた。

影の男。それは、まるで、この事件の黒幕を暗示しているかのようだった。

葉羽は、考えを巡らせた。白鳥優希は、本当に黒幕だったのか?それとも、彼もまた、誰かに操られていたのか?

その時、葉羽のスマートフォンが鳴った。非通知着信だった.

彼は、電話に出た。

「もしもし」

「神藤葉羽君、真実に近づいているようだな」

低い、聞き覚えのある声が、受話器から聞こえてきた。

「あなたは…誰だ?」

葉羽は、緊張した声で尋ねた。

「私は、影の男だ」

男は、静かに答えた。

葉羽は、息を呑んだ。影の男。アルバムに写っていた男。そして、電話の相手は、同一人物だったのだ。

「あなたは、一体何がしたいんだ?」

葉羽は、怒りを込めて尋ねた。

「私は、ただゲームを楽しんでいるだけだ。君の推理、君の苦悩、そして君の絶望。それら全てが、私にとっての最高の娯楽だ」

男は、不気味な笑みを浮かべながら言った。

「ふざけるな!あなたは、多くの人を不幸にした!」

葉羽は、叫んだ。

「不幸?それは違う。私は、ただ真実を明らかにしているだけだ. そして、真実は、常に残酷なものだ」

男は、意味深な言葉を残して、電話を切った。

葉羽は、スマートフォンを握りしめ、怒りに震えていた.

影の男。彼は、一体何者なのか。そして、なぜ、こんなことをするのか.

葉羽は、もう一度、鹿島翔が最後に渡してくれた写真を見つめた. 古びた洋館。そして、闇に隠れる黒づくめの男。

葉羽は、閃いた. この洋館は、どこかで見たことがある. それは、祖父が所有していた別荘だった。

彼は、すぐに別荘へと向かった。

別荘は、人里離れた山の中にひっそりと佇んでいた。長い間、誰も住んでいないらしく、荒れ果てた様子だった.

葉羽は、別荘の中へと入っていった.

埃っぽい空気、朽ち果てた家具、そして静寂。まるで、時間が止まったかのような空間だった.

彼は、別荘の中をくまなく捜索した。そして、ついに、ある部屋で、衝撃的なものを発見した。

それは、隠し部屋だった.

隠し部屋の壁には、一枚の大きな鏡が掛けられていた.

そして、鏡の前には、一台のビデオカメラが設置されていた。

ビデオカメラのレンズは、鏡の方向を向いていた.

葉羽は、ビデオカメラの電源を入れてみた。

モニターに映し出されたのは、鏡に映る映像だった。

そして、その映像には、驚くべき光景が映っていた.

それは、佐伯蔵人を殺害する犯人の姿だった.

しかし、犯人は、佐伯久美子でも、白鳥優希でもなかった.

犯人は…鹿島翔だった.

葉羽は、言葉を失った. 鹿島翔が、真犯人だったのだ.

そして、影の男は、鹿島翔だった.

彼は、全てを仕組んでいたのだ。

佐伯蔵人の殺害。

灰原静香の殺害。

佐伯景子の殺害。

そして、白鳥優希の逮捕。

全ては、彼の計画通りだった.

葉羽は、絶望に打ちひしがれた. 彼は、鹿島翔を信じていた. しかし、彼は、彼に裏切られたのだ。

なぜ、鹿島はこんなことをしたのか。

葉羽は、理解できなかった。

その時、ビデオカメラの映像が切り替わった。

今度は、鹿島翔が、カメラに向かって語りかけている映像が映し出された。

「神藤葉羽君、驚いたかな?」

鹿島の顔には、不気味な笑みが浮かんでいた.

「私は、君を騙していたのだ。私は、最初から、君を陥れるつもりだった」

鹿島の言葉は、冷酷だった。

「なぜ…あなたは、なぜこんなことを…」

葉羽は、震える声で尋ねた。

「なぜ?それは…復讐のためさ」

鹿島の言葉は、憎悪に満ちていた。

「復讐…?誰に…?」

葉羽は、混乱していた.

「佐伯家にだ。佐伯家は、私の家族を不幸にした。そして、私は、佐伯家に復讐するために、この事件を企てたのだ」

鹿島の言葉は、白鳥優希と同じだった.

「しかし、白鳥先生は…」

葉羽は、言葉を詰まらせた。

「彼は、私の駒に過ぎない。私は、彼を利用して、佐伯家を崩壊させ、君を絶望の淵に突き落とすつもりだった」

鹿島の言葉は、残酷だった.

「あなたは…悪魔だ…」

葉羽は、 whispered.

「悪魔?そうかもしれない. しかし、私は、自分の目的を果たすためなら、どんなことでもする」

鹿島の言葉は、冷酷だった。

「私は、佐伯家を滅ぼす. そして、君も、道連れにしてやる」

鹿島の言葉は、脅迫のようだった。

ビデオカメラの映像は、そこで途切れた。

葉羽は、呆然としていた.

全ては、鹿島翔の計画だったのだ。

彼は、全ての人間を騙し、操り、利用していたのだ.

葉羽は、深い絶望に包まれた.

彼は、もはや、誰を信じていいのか分からなくなっていた.

その時、彼のスマートフォンが鳴った. 非通知着信だった.

彼は、電話に出た。

「もしもし」

「神藤葉羽君、これで全てが終わった. 君は、敗北したのだ」

低い声が、受話器から聞こえてきた. それは、鹿島翔の声だった。

「鹿島…お前を、絶対に許さない」

葉羽は、怒りを込めて言った。

「許す?許さない?そんなことは、どうでもいい. 重要なのは、君が敗北したという事実だ」

鹿島の言葉は、冷酷だった。

「私は、勝者だ. そして、君は、敗者だ」

鹿島の言葉は、嘲笑のようだった.

「私は、これから、新しい人生を始める. そして、君は、永遠に闇の中に閉じ込められるのだ」

鹿島の言葉は、呪詛のようだった.

葉羽は、電話を握りしめ、怒りに震えていた。

彼は、鹿島翔を捕まえなければならない。

そして、彼の罪を償わせなければならない.

それが、彼にできる唯一のことだった。

葉羽は、別荘を後にし、鹿島翔を追跡し始めた。

彼は、必ず鹿島を捕まえ、事件の真相を世間に公表しなければならない。

それが、鹿島翔に殺された人々への、せめてもの償いだった.

                
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