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ミラグロ王国の再建に道筋をつけ、国民からの万雷の拍手と感謝に見送られながら、アテルイはエルツ王国へと帰還した。
彼女の帰りを、屋敷の仲間たちはもちろん、クリストフ王子も、一日千秋の思いで待ちわびていた。
帰還したその日の夜。
クリストフは、アテルイを、王宮の庭園へと誘った。
そこは、二人が初めて、茶会で言葉を交わした、思い出のガゼボだった。
夜の庭園は、昼間とは違う、幻想的な美しさに満ちていた。
月明かりに照らされた花々が、銀色に輝き、虫の音が、優しいBGMのように響いている。
「アークライト様。……いや、アテルイ」
クリストフは、緊張した面持ちで、アテルイの名前を呼んだ。
「まあ、クリストフ殿下。改まって、どうかなさいましたの?」
アテルイは、不思議そうに小首を傾げる。
クリストフは、深呼吸を一つすると、アテルイの前に、恭しく片膝をついた。
そして、懐から、小さなベルベットの箱を取り出す。
「なっ……!」
その光景に、物陰からこっそりと様子をうかがっていたイゾルテと元貴族たちが、息を呑んだ。
クリストフは、箱をぱかりと開けて、アテルイに差し出した。
中には、夜空の星を全て集めて溶かしたかのような、美しいサファイアの指輪が、月明かりを浴びて、静かに輝いていた。
「アテルイ。僕は、君と初めて会った、あの日から、ずっと、君に心を奪われている」
クリストフの、真摯な声が、夜の静寂に響く。
「君の美しさだけに惹かれたのではない。君の、誰にも屈しない、鋼のような強さ。それでいて、誰よりも優しい、その心。君の、全てを、愛している」
彼は、アテルイの瞳を、まっすぐに見つめた。
「君が、ミラグロで、どれほどの苦難を乗り越えてきたかを知った。そして、今回の、あまりにも見事な国の再建を見て、僕の気持ちは、確固たるものになった」
「クリストフ殿下……」
「僕の隣で、僕を支えてはくれないだろうか。いや、支えるなどという、おこがましいことは言うまい。ただ、僕の隣で、君らしく、自由に、笑っていてほしい」
クリストフの声は、わずかに震えていた。
それは、恐怖からではない。彼の、全身全霊の想いから来る、武者震いだった。
「どうか、僕の妃に、なってほしい。アテルイ・アークライト。心から、君を愛している」
正式な、プロポーズ。
それは、一国の王子が、愛する女性に捧げる、最も誠実で、最も重い、愛の告白だった。
庭園は、静まり返っていた。
アテルイは、驚いたように、大きな瞳をまたたかせている。
彼女は、目の前でひざまずく王子と、彼が差し出す美しい指輪を、交互に見つめた。
固唾を飲んで見守る、イゾルテたち。
クリストフの心臓は、張り裂けそうなくらい、大きく波打っていた。
長い、長い、沈黙。
やがて、アテルイの唇が、ゆっくりと、ほころび始めた。
それは、花が、ゆっくりと開くような、美しい微笑みだった。
彼女の帰りを、屋敷の仲間たちはもちろん、クリストフ王子も、一日千秋の思いで待ちわびていた。
帰還したその日の夜。
クリストフは、アテルイを、王宮の庭園へと誘った。
そこは、二人が初めて、茶会で言葉を交わした、思い出のガゼボだった。
夜の庭園は、昼間とは違う、幻想的な美しさに満ちていた。
月明かりに照らされた花々が、銀色に輝き、虫の音が、優しいBGMのように響いている。
「アークライト様。……いや、アテルイ」
クリストフは、緊張した面持ちで、アテルイの名前を呼んだ。
「まあ、クリストフ殿下。改まって、どうかなさいましたの?」
アテルイは、不思議そうに小首を傾げる。
クリストフは、深呼吸を一つすると、アテルイの前に、恭しく片膝をついた。
そして、懐から、小さなベルベットの箱を取り出す。
「なっ……!」
その光景に、物陰からこっそりと様子をうかがっていたイゾルテと元貴族たちが、息を呑んだ。
クリストフは、箱をぱかりと開けて、アテルイに差し出した。
中には、夜空の星を全て集めて溶かしたかのような、美しいサファイアの指輪が、月明かりを浴びて、静かに輝いていた。
「アテルイ。僕は、君と初めて会った、あの日から、ずっと、君に心を奪われている」
クリストフの、真摯な声が、夜の静寂に響く。
「君の美しさだけに惹かれたのではない。君の、誰にも屈しない、鋼のような強さ。それでいて、誰よりも優しい、その心。君の、全てを、愛している」
彼は、アテルイの瞳を、まっすぐに見つめた。
「君が、ミラグロで、どれほどの苦難を乗り越えてきたかを知った。そして、今回の、あまりにも見事な国の再建を見て、僕の気持ちは、確固たるものになった」
「クリストフ殿下……」
「僕の隣で、僕を支えてはくれないだろうか。いや、支えるなどという、おこがましいことは言うまい。ただ、僕の隣で、君らしく、自由に、笑っていてほしい」
クリストフの声は、わずかに震えていた。
それは、恐怖からではない。彼の、全身全霊の想いから来る、武者震いだった。
「どうか、僕の妃に、なってほしい。アテルイ・アークライト。心から、君を愛している」
正式な、プロポーズ。
それは、一国の王子が、愛する女性に捧げる、最も誠実で、最も重い、愛の告白だった。
庭園は、静まり返っていた。
アテルイは、驚いたように、大きな瞳をまたたかせている。
彼女は、目の前でひざまずく王子と、彼が差し出す美しい指輪を、交互に見つめた。
固唾を飲んで見守る、イゾルテたち。
クリストフの心臓は、張り裂けそうなくらい、大きく波打っていた。
長い、長い、沈黙。
やがて、アテルイの唇が、ゆっくりと、ほころび始めた。
それは、花が、ゆっくりと開くような、美しい微笑みだった。
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