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崩れ落ち、わめき散らすセラフィーナを尻目に、私はゆっくりと向き直った。
次のターゲットは、ただ一人。
「さて、アルフレッド殿下」
私が名を呼ぶと、殿下の肩がびくりと震えた。彼は、まだ目の前の現実を受け入れられずにいるようだ。
「せ、セラフィーナが、そんな女だったとは…知らなかったんだ…俺は、騙されて…」
「ええ、そうでしょうとも。殿下は、被害者でいらっしゃいますものね。…ですが、本当に、それだけでございましょうか?」
私は、先ほどとは別の、分厚い書類の束を取り出した。
「殿下。あなた様にも、お伺いしたいことがございますの」
私の声のトーンが、一段と低くなる。会場の緊張が、再び高まった。
「これは、この一年間における、王家の会計書類の写しでございます。特に、殿下が管理を任されておいでだった、『王家交際費』の項目ですわね」
私は、一枚の書類を、殿下の目の前に突きつけた。
「ここに、金貨一万枚の支出、とございます。名目は、『隣国からの賓客をもてなすための、式典準備費』。ですが、わたくしの調べでは、この時期、そのような賓客が訪れた記録は一切ございません」
「なっ…そ、それは、何かの間違いだ!」
「間違いではございませんわ。その金貨一万枚は、そのまま、王都一の宝石商『グランツ』に支払われております。そして、購入されたのが、今、セラフィーナ様が身につけておいでになる、『炎の涙』と名付けられた、そのルビーのネックレスですわね」
私の指摘に、セラフィーナが、はっとしたように自分の胸元のネックレスに手をやった。
会場中の視線が、その燃えるようなルビーに突き刺さる。
「まだございますわよ」と私は続けた。
「こちらの金貨五千枚は、マダム・エヴァの店に。セラフィーナ様がお召しの、その純白のドレスになりました。こちらの三千枚は、高名な靴職人に。こちらの二千枚は…」
私は、次々と、殿下の不正な支出を、証拠と共に暴いていく。
その合計額は、一個師団を一年間維持できるほどの、莫大な金額に上っていた。
「殿下。あなたは、国民が汗水流して納めた税金を、国を守り、豊かにするために使うべき国費を、たった一人の女に貢ぐため、不正に流用なさいました」
私は、一歩、殿下に近づいた。
「これは、単なる恋に目が眩んだ若者の過ちではございません。未来の国王となるべきお方が、国そのものを、国民そのものを裏切った、決して許されざる背信行為。…そうではございませんこと?」
私は、笑っていた。完璧な、しかし、心の底から軽蔑を込めた、冷たい笑みを浮かべて。
「さあ、殿下。この国家に対する罪について、何か、ご説明はございますわね?」
その問いは、もはや尋問だった。
追い詰められた王太子は、青ざめた顔で、わなわなと唇を震わせるだけだった。
次のターゲットは、ただ一人。
「さて、アルフレッド殿下」
私が名を呼ぶと、殿下の肩がびくりと震えた。彼は、まだ目の前の現実を受け入れられずにいるようだ。
「せ、セラフィーナが、そんな女だったとは…知らなかったんだ…俺は、騙されて…」
「ええ、そうでしょうとも。殿下は、被害者でいらっしゃいますものね。…ですが、本当に、それだけでございましょうか?」
私は、先ほどとは別の、分厚い書類の束を取り出した。
「殿下。あなた様にも、お伺いしたいことがございますの」
私の声のトーンが、一段と低くなる。会場の緊張が、再び高まった。
「これは、この一年間における、王家の会計書類の写しでございます。特に、殿下が管理を任されておいでだった、『王家交際費』の項目ですわね」
私は、一枚の書類を、殿下の目の前に突きつけた。
「ここに、金貨一万枚の支出、とございます。名目は、『隣国からの賓客をもてなすための、式典準備費』。ですが、わたくしの調べでは、この時期、そのような賓客が訪れた記録は一切ございません」
「なっ…そ、それは、何かの間違いだ!」
「間違いではございませんわ。その金貨一万枚は、そのまま、王都一の宝石商『グランツ』に支払われております。そして、購入されたのが、今、セラフィーナ様が身につけておいでになる、『炎の涙』と名付けられた、そのルビーのネックレスですわね」
私の指摘に、セラフィーナが、はっとしたように自分の胸元のネックレスに手をやった。
会場中の視線が、その燃えるようなルビーに突き刺さる。
「まだございますわよ」と私は続けた。
「こちらの金貨五千枚は、マダム・エヴァの店に。セラフィーナ様がお召しの、その純白のドレスになりました。こちらの三千枚は、高名な靴職人に。こちらの二千枚は…」
私は、次々と、殿下の不正な支出を、証拠と共に暴いていく。
その合計額は、一個師団を一年間維持できるほどの、莫大な金額に上っていた。
「殿下。あなたは、国民が汗水流して納めた税金を、国を守り、豊かにするために使うべき国費を、たった一人の女に貢ぐため、不正に流用なさいました」
私は、一歩、殿下に近づいた。
「これは、単なる恋に目が眩んだ若者の過ちではございません。未来の国王となるべきお方が、国そのものを、国民そのものを裏切った、決して許されざる背信行為。…そうではございませんこと?」
私は、笑っていた。完璧な、しかし、心の底から軽蔑を込めた、冷たい笑みを浮かべて。
「さあ、殿下。この国家に対する罪について、何か、ご説明はございますわね?」
その問いは、もはや尋問だった。
追い詰められた王太子は、青ざめた顔で、わなわなと唇を震わせるだけだった。
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