〘完結〛婚約破棄ですか、ところで浮気相手はどちら様で?

桜井ことり

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静寂が、死んだように『太陽の間』を支配していた。

誰もが言葉を失い、床に崩れ落ちた二人の罪人と、その前に毅然と立つリリアンヌ、そして、玉座におわす国王陛下を、ただ見つめていた。

やがて、その沈黙を破るように、国王陛下がゆっくりと玉座から立ち上がった。その動き一つで、広間の空気がさらに張り詰める。

「静まれ!」

陛下の、雷鳴のような一喝が響き渡る。それは、この場の全ての者たちへ、そして、この国全体へ向けられた、王としての威厳に満ちた声だった。

「これより、裁きを執り行う」

国王陛下はまず、床にへたり込むセラフィーナに、冷たい視線を向けた。

「セラフィーナ・ミルティ」

「ひっ…!」

名を呼ばれ、セラフィーナの肩が大きく跳ねる。

「汝の罪は、明白である。善良なる臣民を欺き、その財産を不当に奪った詐欺の罪。そして、次期国王となるべき王太子を唆し、その心を惑わせ、国家の財産を私物化した、国家への背信を助長せしめた罪。断じて、許されるものではない」

陛下の言葉は、一つ一つが重い鉄槌のように、セラフィーナに打ち付けられる。

「よって、汝に判決を言い渡す。汝が持つ男爵位、及び全ての財産を没収の上、ヴァイス王国より永久に追放するものとする。二度と、この国の土を踏むことは許さん」

「そ、そんな…いや…いやぁぁぁっ!」

永久追放。そのあまりにも重い判決に、セラフィーナは最後の金切り声を上げた。財産も、地位も、美貌を保つ術も、全てを失い、異国の地で生きていけと。それは、彼女にとって死刑宣告にも等しい罰だった。

「衛兵、この者を連れて行け!」

陛下の号令一下、屈強な衛兵たちがセラフィーナの両腕を掴み、引きずっていく。

「いや! 離して! 殿下、助けて! 殿下ぁ!」

セラフィーナは、最後までアルフレッドに助けを求めたが、その声が彼に届くことはなかった。

彼女の醜い悲鳴が、扉の向こうに消えていく。

次に、国王陛下は、我が息子、アルフレッドへと向き直った。その瞳には、王としての厳しさだけでなく、父としての深い悲しみと、苦渋の色が浮かんでいた。

広間にいる誰もが、息をのんだ。

これから下されるのは、この国の歴史を揺るがす、重大な裁きなのだから。
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