平凡な村人だと思われていた俺、実は神々が恐れる最強存在でした〜追放されたけど、無自覚チートで気づけば世界の頂点〜

にゃ-さん

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第18話 王国騎士団の挑戦

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風が冷たい朝だった。  
レオンたちは神託の村を離れ、次の目的地であるヴァーリス高原へと足を踏み入れていた。  
草原に広がる黄金の光が、まるで大地そのものが息をしているように揺れている。  

「ここから南東に行けば、王都を越える交易の道があるんですって」リリアが地図を手にして言った。  
「商人も旅人も行き交う、平和な場所……のはずなんだけどね」  
「“のはず”って?」  
「最近、王国の騎士団が通行を制限してるらしいの。理由は非公開。だけど、神官が絡んでるとか」  

フィオナが淡く光る目を細め、風の匂いを嗅ぐように辺りを見渡す。  
「確かに妙ですね。魔の気配も神の気配もないのに、異様に緊張した空気を感じます」  
「みんな怖がってるんだ。俺のことを“聖者”って呼んでいた王国が、今になって何かを隠そうとしてる」  

レオンはそう言いながらも、笑みを浮かべた。  
「ま、確かめるしかないね」  

***

午後、道の先に設けられた検問には、王国の旗を掲げた騎士団が立っていた。  
整然と並ぶ甲冑の列。槍と盾に刻まれた黄金の紋章。  
だがその鋭い視線は、通りすがりの旅人とは明らかに違う。  

「止まれ! この先は王命により立入禁止だ!」  
先頭にいた隊長格の男が声を張る。  
「我らが守るのは“聖域封鎖”。神託村の異変以来、創世の者に関わる存在の通行はすべて禁止と命じられた!」  

リリアが低く呟く。  
「……創世の者? 明らかにあんたのことね」  
「どうしてこうなるかな」レオンは肩をすくめる。  
「でも、話してわかってくれるなら、無理に通るつもりはないよ」  

彼は穏やかに一歩前へ出た。  
「通行の理由を話したいんです。俺たちはただ、旅をしているだけで――」  

「名を名乗れ!」  
「レオン・グランフィール」  

その名を聞いた瞬間、辺りの空気が一変した。  
鎧の擦れる音、槍を構える音。  
隊長の目が鋭く光る。  

「……やはり貴様か。“創世の子”!」  

リリアが剣に手をかける。  
「おい、なんでいきなり構えるわけ?」  
「貴様は神を欺き、教会を崩壊へ導いた異端者! 勇者カイル様を魔へ堕とした元凶と聞く!」  

「何それ……?」リリアが呆れた声を上げた。  
「勇者を堕とした? 誰がそんな話を?」  
「神託の使徒エルメリア様だ! 勇者殿は新たなる神の剣として復活なされた。貴様の罪をその手で滅するためにな!」  

レオンの瞳が一瞬だけ揺れた。  
「……カイルが、復活?」  

槍の刃先が光を反射する。  
「抵抗は許さぬ! 神敵と認定する!」  

号令と共に、十数名の騎士が一斉に突撃してきた。  
その動きは精鋭そのものだった。  
聖光の加護を纏い、攻撃と同時に魔法の陣を展開する。  

リリアがすぐさま跳び出した。  
「はあっ!」  
彼女の剣が弾けるように金色の軌跡を描き、最前線の槍を弾き飛ばす。  
「容赦はしたくないけど、仲間を傷つける気もない!」  

「リリア、左!」  
フィオナの声と同時に、空から竜の翼が光を放つ。  
突撃してきた騎士の盾を覆う聖印が砕け散った。  

「すごい……これほどの防御を!」  
「理由がどうであれ、武器を下ろして!」  
レオンの声が響いた。  

しかし騎士たちは止まらない。  
「神敵に慈悲は不要!」  
その言葉には迷いも、躊躇もなかった。  

レオンの胸に怒りと哀しみが交わる。  
彼は静かに手を掲げた。  
「だったら仕方ない。……止まれ」  

瞬間、あたりの風が震えた。  
草原が白く光り、騎士たちの足元に花が咲く。  
その花々は光を放ちながら絡みつき、すべての動きを封じた。  

まるで自然が彼の意志に従っているようだった。  
鎧が重く沈み、魔法陣が消える。  

「な、なんだこの力……!」  
「お前たちを傷つけるつもりはない。ただ、戦いをやめてほしいだけだ」  
「ふざけるな! 神を裏切る者め!」  

隊長が剣を振り上げたが、その瞬間――  
彼の胸元の聖印が砕け、光が消えた。  
「っ……! 加護が、消え……!」  

レオンは悲しそうに目を伏せた。  
「あなたたちを縛っているのは“信仰”じゃなくて、“恐れ”だよ。神が信じてくれるって、どうして思えないんですか?」  

隊長の剣が震える。  
「我らは……間違っているのか……?」  
「誰も間違ってなんかいません。ただ、信じる方向を見失っただけです」  

静かに風が吹いた。  
光の花がほどけ、騎士たちは次々と膝をつく。  

「あなたは……何者なのだ」  
「ただのレオンです。世界を守りたいだけの村人ですよ」  

その言葉に、騎士たちは言葉を失った。  

しばらくして、隊長が口を開いた。  
「……勇者カイル様は、神界の命を受け、“創世の子”討伐の聖戦を準備しておられる。  
王も教会もそれを支持している。あなたに勝ち目はない」  

「勝ち負けじゃないです」レオンは穏やかに笑った。  
「俺は、彼と話したいだけです。あの頃みたいに」  

リリアがそっと剣を納め、フィオナが低く呟く。  
「主よ……これで王国は完全に敵に回りました」  
「分かってる。でも、敵と決めつけない。彼らもまた、誰かを信じて戦ってるだけだから」  

リリアは彼の背中を見つめながら、皮肉混じりに笑った。  
「だからこそ、あんたは厄介なのよね。憎まれ役にもなれないんだから」  
「はは、それならちょっと安心しました」  

しかしそのとき、空から鋭い光が落ちてきた。  
地面が焦げ、焼ける鉄の匂いが漂う。  
フィオナが即座に翼を広げ、光の壁を展開する。  

「主、危険です! これは……神界の紋章!」  

空には白銀の陣形が浮かび、その中心から一人の影が現れた。  
眩いほどの光に包まれた女性。  
背に広げた翼は五重の光輪を放ち、その顔は微笑を浮かべている。  

「創世の子……ようやく見つけました」  
リリアとフィオナが同時に構える。  
「誰だ……!」  
「私は、堕天の使徒エルメリア。勇者カイル様に新たな光を授けし者です」  

レオンは驚きを隠せなかった。  
「……やっぱり、あなたがカイルを……」  
「そう。彼は今、神々の意志を宿す剣として生まれ変わりました。あなたを討つために」  

エルメリアの瞳が冷たく光る。  
「創世の均衡など、偽物の幻想。神界の秩序を取り戻すため……あなたの存在は消されねばならない」  

その言葉と共に、空が割れた。  
天界の光がいくつも降り注ぎ、草原を焦がす。  
圧倒的な力。神々の意志そのもの。  
フィオナが叫ぶ。  
「主よ、力を開放してください! さもなくば――!」  
「いいえ、まだだ。俺は話す。神とでも、戦う前に話し合えるなら!」  

光と風がぶつかり、世界が震えた。  
エルメリアの表情には、かすかな嘲笑が浮かぶ。  

「……無駄なことを」  

だがその時、草原に緑の加護が満ちた。  
世界樹から授かった光がレオンの手を包み、あたりに光の幕が広がる。  

神界の光と、創世の加護。  
二つの理が交錯した刹那、空が裂け、天と地を繋ぐ一本の輝きが生まれた。  

「聞かせてください、エルメリア。神はなぜ、人を捨てたんですか!」  

その声は雷鳴よりも鋭く、祈りよりも確かだった。  
空の女神が微かに目を揺らす。  

――物語は、新たな局面へと踏み込もうとしていた。  

続く
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