平凡な村人だと思われていた俺、実は神々が恐れる最強存在でした〜追放されたけど、無自覚チートで気づけば世界の頂点〜

にゃ-さん

文字の大きさ
19 / 30

第19話 一瞬で沈む最強の傭兵団

しおりを挟む
空を裂く光の奔流が消えたとき、草原は焦げたような匂いで満ちていた。  
天界の使徒エルメリアの姿も、嵐が去るように霧散している。  
風が止まり、静かな時間の中でリリアが息を吐いた。  

「……行った、のか?」  
「一時的に退いただけでしょう」  
フィオナが冷静に分析する。  
「神界の波動が途切れたわけではありません。むしろ……周囲に監視の陣が張られています」  

レオンは空を見上げた。  
青空が広がっているはずなのに、見えない天の網が張り巡らされている感覚があった。  
彼がその正体を探ろうとする前に、リリアが草原の奥を指さす。  

「……誰か来る」  

乾いた足音が重なり、大地の向こうから黒ずんだ影が現れた。  
鎧をまとい、獣のような目をした兵士たちが列を成して歩いてくる。  
その背後に立つのは、背丈よりも長い槍を携えた巨漢だった。  

「まさか、傭兵団……!?」フィオナが目を細める。  
「“暴風の牙”――神国直下の討伐組織です。かつて魔王国を滅ぼした最強の傭兵集団……」  

巨漢が唸るように笑った。  
「おお、噂の“創世の子”ってのはお前か。俺は第一師団長ダルガスだ。命令だ。今すぐその体を神に返せ」  
「……命令?」レオンが眉を上げる。  
「大陸中の神官がてめえを異端だと認めた。お前の存在そのものが均衡を壊す。死ねと言われりゃ、殺すだけだ!」  

リリアが一歩前に出る。  
剣を指先で軽く回し、冷ややかに笑う。  
「自分の信念もなく戦うのね。哀れな傭兵だこと」  
「はははっ、いい女だ。骨の一本でももらってやるよ!!」  

風が鳴った瞬間、戦闘が始まった。  
槍が地を叩くたびに衝撃波が生まれ、草原が盛り上がる。  
リリアは瞬時に跳び退き、剣で風の刃を切り裂いた。  

「くっ……!普通の人間じゃない、魔法陣を纏ってる!」  
「“天鎧士”でしょう」フィオナが翼を広げ、空から竜の光を放つ。  
だが、傭兵団の兵士たちも光の障壁を展開し、容易には崩れなかった。  

「なるほど。神界の加護で強化されてるのか」  
レオンがひとり呟く。  

「坊主、てめぇは動くなよ!お前を捕らえりゃ、神から金貨一千万!」  
「そんなことで命張るなんて……割に合わないと思うけどな」  

レオンの口調は柔らかかった。  
だが、その次の瞬間、彼の足元に淡い光が広がる。  
草原の花が一斉に咲き、空気が震えた。  

「なっ……!」  
リリアもフィオナも、その変化に息を呑む。  
レオンが目を細めて言う。  

「もうこれ以上、誰も傷つけさせない」  

一呼吸の間に、風景が変わった。  
空が金色に輝き、草が伸び、花々が傭兵たちの足元を包み込む。  
彼らは身動きを取ろうとするが、踏むたびに大地が柔らかく沈み、足を取られていく。  

「なんだこれは……!?」  
「魔法じゃねぇ……世界そのものが変わってやがる!」  

レオンの加護が発動していた。  
世界樹の祝福――“命の加護”が、戦場そのものを生命の楽園に変える。  

「せめて少しだけ眠ってください」  

その声と同時に、大地から光の蔦が伸びた。  
金色の鞭が音も立てずに傭兵たちを捕らえ、一人残らず地面に縫いつけた。  
抵抗する者もいたが、その力は全て吸い取られて草に変わる。  

巨漢ダルガスが咆哮を上げ、槍を構えた。  
「ふざけるなぁああああ!」  

彼の全身に刻まれた紋章が赤く燃え上がる。  
「“神威解放・戦鎧ノ式”!」  
魔力が爆発し、体躯がさらに膨張する。  
地面を踏み砕きながら、彼は雷光のごとき速さで突進した。  

だが、レオンは一歩も動かない。  
彼の瞳が淡く光ると、世界が静止したように風が止んだ。  

残響だけが耳に残り、次の瞬間には――  
巨漢の槍が粉々に砕けて消えた。  

何が起きたのか、誰にもわからなかった。  
ほんの一瞬、ダルガスの周囲の空気が歪んだのだ。  
重力も時間も、何もかもがそこだけ消し飛んでいた。  

巨漢はそのまま地に手をつき、呆然と呟く。  
「う……うそだろ……俺の槍が、砕けた……?」  
レオンは静かに言う。  
「誰も死なないなら、それでいい。これ以上戦えないなら、撤退してください」  

彼の声に波動が乗り、空気が震える。  
傭兵たちは次々に武器を手放し、膝をついた。  
その光景は圧倒的だった。  

数百の戦士が一瞬で沈黙し、風の音さえも消えていく。  

リリアが呆れたように笑った。  
「“世界最強の傭兵団”が、たった一言で黙ったわね」  
「殺気も感じなかった……。主、あなたの力はもう、理そのものに到達しています」フィオナが感嘆する。  
「でも、まだ俺の意思は変わらないですよ。できるなら戦いたくない」  
「そう言えるうちはいいけど……次はそうはいかないわ」リリアが険しい目を向ける。  

遠くの空に、今度は別の光が灯り始めていた。  
炎のように揺れる巨大な柱。その先端に、見覚えのある人影。  
白銀の装甲と黄金の瞳を持つ男――勇者カイル。  

「……カイル」  
レオンの声が低く響く。  
彼の胸で静かに光が脈打つ。  

上空から、堕天の使徒エルメリアの笑い声が聞こえた。  
「よくぞ生き延びましたね、創世の子。さあ、神が定めた最終の試練を始めましょう!」  

光が爆ぜ、草原全体が揺れる。  
フィオナが翼を広げ、リリアが剣を構える。  
そしてレオンは静かに息を整えた。  

「避けられないみたいだね。なら――会いに行こうか」  

空と地が繋がり、雷鳴が鳴り響く。  
神と人とが相まみえる運命の戦いが、ここに幕を開けようとしていた。  

続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

追放された公爵令息、神竜と共に辺境スローライフを満喫する〜無敵領主のまったり改革記〜

たまごころ
ファンタジー
無実の罪で辺境に追放された公爵令息アレン。 だが、その地では神竜アルディネアが眠っていた。 契約によって最強の力を得た彼は、戦いよりも「穏やかな暮らし」を選ぶ。 農地改革、温泉開発、魔導具づくり──次々と繁栄する辺境領。 そして、かつて彼を貶めた貴族たちが、その繁栄にひれ伏す時が来る。 戦わずとも勝つ、まったりざまぁ無双ファンタジー!

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

『今日も平和に暮らしたいだけなのに、スキルが増えていく主婦です』

チャチャ
ファンタジー
毎日ドタバタ、でもちょっと幸せな日々。 家事を終えて、趣味のゲームをしていた主婦・麻衣のスマホに、ある日突然「スキル習得」の謎メッセージが届く!? 主婦のスキル習得ライフ、今日ものんびり始まります。

処理中です...