平凡な村人だと思われていた俺、実は神々が恐れる最強存在でした〜追放されたけど、無自覚チートで気づけば世界の頂点〜

にゃ-さん

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第21話 集う少女たちと穏やかな日常

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光は収まり、荒野を包んでいた嵐は静かに消えた。  
草原には穏やかな風が戻り、焦げた地面には小さな花が芽吹いている。  
リリアとフィオナはその中央に立つレオンを見つめていた。  
彼は傷一つない姿で佇み、ただ空を見上げている。  

「……またやったわね」  
リリアが呆れたように呟く。  
「何が?」  
「何がって……今の、あんた人間の領域越えてたわよ」  
フィオナも靴音を立てて近づき、静かに言う。  
「神々の軍勢を無傷で退け、空間そのものを再構築……説明不能です」  

レオンは頭をかきながら苦笑した。  
「俺ね、何も考えてなかったんだ。みんなを傷つけたくないって、それだけで動いた」  
「それが一番怖いんだけどね。無意識で神を超えるとか」  
「……でも、誰も死ななかった。それが一番ほっとしてる」  

二人は顔を見合わせ、ため息をつく。  
リリアが剣を鞘に収め、穏やかな笑みを浮かべた。  
「まったく、あんたと一緒にいると、こっちの心臓が休まらない」  
フィオナが微笑む。  
「ですが、あなたがいる限り、世界は滅びぬとも言えるでしょう」  

風が穏やかに吹き、遠くの森に鳥の声が響く。  
レオンは空を仰ぎ、ぽつりと言った。  
「……少し休もうか。誰も戦わなくていい時間が欲しい」  
リリアは肩をすくめて笑う。  
「賛成。次の混乱がくる前に、一度ぐらい落ち着きたいわね」  

***

数日後、彼らは小さな村の外れにある湖畔の家に腰を落ち着けた。  
森と花畑に囲まれたその場所は、世界の騒乱から隔絶されたかのように静かだった。  
レオンは古い道具を修理し、村人たちと畑を耕す。  
フィオナは日中は人の姿で家事を手伝い、夜には星の観測を続ける。  
リリアは近所の子供たちに剣術を教えていた。  

「ねえ、リリア先生!もう一回やって!」  
「仕方ないわねぇ、今度は手加減しないわよ?」  
笑い声が響き、子供たちの木剣が昼の光を反射して輝く。  

レオンはそんな光景を眺めながら、手に持った鍬を握ったまま呟く。  
「これが、守りたかった日常なんだよな……」  

その声を聞きつけ、フィオナが微笑みながら歩み寄ってくる。  
「主。休憩なさい。昼食の用意ができました」  
「ありがとう。なんか、こうしてると本当に旅が遠い昔みたいだよ」  
フィオナはレオンの隣に腰を下ろし、空を見上げる。  
「それは、穏やかさが戻った証拠です。私はこの時間がとても心地よい」  
「俺もだ。でも、きっとこのままでは終われない気がする」  
「……感じますか?」  
「うん。まだどこかで、神界の力が動いてる」  

その時だった。  
家の脇で茂みが揺れ、小さな悲鳴が上がった。  

「きゃあっ!」  
レオンが振り返って駆け寄ると、そこには一人の少女がいた。  
濡れた髪、破れた服、そして背中には封印のような紋章。  
リリアが剣を手にして飛び込む。  
「誰!? 村の子じゃないわよね!」  

少女は怯えた目でレオンを見つめた。  
「た、助けて……追われてるの……!」  
「追われてるって、誰に?」  
「……神界の、使徒……」  

フィオナが息を呑む。  
「神界?生き延びるはずのない存在が地上に……」  
少女は倒れ込み、肩が震える。  
レオンは迷わずその手を取って、光を流した。  
優しい緑色の輝きが少女の身体を包み、傷口が瞬く間に塞がっていく。  
目を開いた少女は驚きに目を見はった。  

「すご……あなた、何者なの?」  
「ただの人さ。でも、助けを求める人に手を伸ばすのは普通のことだろ?」  
「あ……」少女の頬が赤らんだ。  

リリアが腕を組んで唸る。  
「また厄介な子を拾っちゃったのね。自己紹介ぐらいしなさいな」  
「わ、私は……アメリア。神界の巫女でした。でも……裏切られたの」  
「裏切られた?」フィオナが眉をひそめる。  
「はい。神々は、“楽園を再構築する”って名目で、人間界を滅ぼそうとしてるの。だから逃げるしかなかった……!」  

部屋の空気が重くなった。  
レオンは静かに頷く。  
「やっぱり、平和は長く続かないか」  
リリアが深く息を吐いた。  
「また世界規模の面倒が来そうね」  
「でも、行くしかない。彼女を守るためにも」  
その言葉にアメリアが目を見開いた。  
「いいの? あなたまで巻き込まれるのに」  
「いいも悪いも、人を見捨てる方が落ち着かないんだ」  

アメリアは少しの間言葉を失い、やがて微笑んだ。  
「……ありがとう。あなたに会えて、本当によかった」  

***

その夜。  
焚き火の光を囲みながら、四人は久しぶりに静かな時間を過ごした。  
村の夜は星が近く、森から小動物の声が聞こえる。  

フィオナが火を見つめて言う。  
「神界の巫女……彼女の存在は、神々にとって裏切りの象徴となるでしょう」  
「つまり近いうちに、また襲撃があるってことね」リリアが肩をすくめる。  
アメリアは膝の上で手を握りしめた。  
「でも、私……もう逃げたくない。あなたたちとなら、戦える気がする」  

その言葉に、レオンは火に照らされた笑顔で答えた。  
「戦うんじゃない。止めるんだよ。神でも人でも、誰かを傷つける戦いなんて終わらせる」  
リリアが笑う。  
「あんたの言葉っていつも無茶苦茶ね。でも不思議と信じたくなるわ」  
フィオナも静かに頷く。  
「だからこそ、主は“均衡”を保てるのでしょう」  

火がぱちりと弾けた。  
風が草を揺らし、遠くでフクロウが鳴く。  
レオンはその音を聞きながら、ゆっくりと呟いた。  

「守りたいものが増えると、怖くもなる。でも……悪くないな、こういうの」  
アメリアが微笑み、リリアとフィオナがその隣でうなずいた。  

夜空に流れ星がひとすじ流れる。  
それはまるで、神界に抗って灯る小さな希望の光のようだった。  

続く
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