平凡な村人だと思われていた俺、実は神々が恐れる最強存在でした〜追放されたけど、無自覚チートで気づけば世界の頂点〜

にゃ-さん

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第24話 勇者との再会

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風が止んだ。  
天界の光が収まったあと、世界は静かな薄明に包まれていた。  
焦げた草の匂いと共に、どこか懐かしい空気が漂ってくる。  
レオンは空を見上げ、深呼吸をした。  

「……終わったのかな」  
「終わりじゃないわ」リリアが剣を握ったまま答える。  
彼女の視線の先――天の裂け目に、ゆっくりと影が降りてくる。  
その歩みは堂々として、重い。  

「……まさか」  
アメリアの声に緊張が走る。  
そこに現れたのは、金の鎧を纏った男。  
蒼い炎のような光を背に宿し、その姿は神々しいほどに整っていた。  

だが、その眼は冷たかった。  
心を凍らせるような鋭い光。  
全員が息をのむなかで、レオンだけが声をかけた。  

「カイル……」  

彼はゆっくりと微笑んだ。  
だがその笑みには、かつての温かさはなかった。  
「変わらないな、レオン。どれだけの奇跡を起こしても、その目はまだ“人間”のままだ」  

リリアが剣を構える。  
「また来たのね、神の犬」  
「ふっ……まだ舌は達者なようだな、リリア。だが今回は違う。俺は、完全な存在として戻った」  

カイルの身体を覆う光が形を変える。  
背から白銀の翼が広がり、足元の地を溶かすほどの力を放つ。  
フィオナが即座にレオンの前に立ちはだかった。  

「主よ、退避を――!」  
「いい、下がらなくていい」レオンは首を振る。  
その表情は、静かだった。  

「カイル、どうして俺と戦うんだ」  
「神が命じたからだ。“創世の子”が再び神界を乱す前に葬らねばならない」  
「神が命じたって……それで納得してるのか?」  
「当然だ。俺はもう人ではない。迷いも痛みも恐怖もない。完璧な存在。それが救いだ」  

レオンはゆっくりとその言葉を聞きながら、悲しげに微笑んだ。  
「迷いも痛みも失ったら、それは生きてるって呼べないよ。  
人は間違う。でも、間違えるから支え合えるだろ」  

「綺麗事だ!」  
瞬間、閃光が走った。  
カイルの剣が唸りを上げ、雷鳴とともに大地を切り裂く。  
レオンはぎりぎりで身を翻す。衝撃波が周囲の木々を薙ぎ払った。  

「どうした、抵抗しないのか?今の貴様なら神をも殺せるだろう!」  
「殺したくないよ。誰も」  
「戯言をッ!!」  

再び斬撃。  
だが、フィオナの翼が盾となり弾き返す。  
リリアがその隙に跳び上がり、雷光のような反撃を放つ。  

「はあああっ!」  
カイルは反射的に防いだ。  
金属がぶつかり合う音。  
衝撃が空気を震わせ、リリアが吹き飛ばされる。  

「リリア!」  
レオンの声に、彼女は膝をつきながらも笑った。  
「大丈夫……まだいける……!」  

カイルが片眉を上げる。  
「仲間を庇うか……相変わらずだな。だが、それこそが人間の弱さだ」  
「それを弱さって呼ぶなら、俺はその弱さを選ぶよ」  

レオンが右手を掲げる。  
世界樹の紋章が輝き、大地から光が沸き上がる。  
次の瞬間、周囲の空気が変わった。  

カイルの剣が光を失う。  
周囲の雷鳴が鎮まり、風が止まる。  
空気のすべてが、彼の掌の中に吸い込まれていくような感覚。  

「これは……何の力だ……?」  
「均衡の修復。壊された世界を、あるべき状態に戻すものさ」  
「そんなものが……存在していいはずが――!」  

カイルの叫び声をかき消すように、光が炸裂する。  
彼の身体を包んだ神のエネルギーが弾かれた。  
しかしその度に、カイルは再び立ち上がる。  

「まだだ……俺は神に選ばれた唯一の剣……俺が倒れれば、この世界の秩序は崩れる!」  
「それでもいい。秩序よりも、心を選びたい」  

カイルの瞳にわずかに迷いが走った。  
レオンはその瞬間を逃さなかった。  
掌を向け、彼の心を包み込むように光を放つ。  

炎のような怒り、悲しみ、孤独、全てが渦を巻いて流れ込んでくる。  
レオンは苦しみながらも、その“痛み”を受け止めた。  

「……あんたの気持ち、わかるよ」  
「なに……?」  
「選ばれることの苦しさ。役目で縛られることの怖さ。俺も同じだった」  

カイルの剣が震える。  
「俺は……ただ、信じたかった……神が、正しいと……」  
「信じてたんだろ。それでいい。間違っちゃいないさ」  

光が拡がり、周囲の時間が止まったように静まり返る。  
レオンはゆっくりと手を伸ばす。  
カイルも――ほんの一瞬だけ、手を伸ばそうとした。  

だが、その瞬間。  
空から再び声が響く。  

「勇者よ、なぜ迷う! それは愚かなる人の情、汝に不要!」  

黄金の雷が降り注ぎ、カイルの体に流れ込む。  
その光は狂気を孕み、再び彼を覆った。  

「やめろっ!!」  
レオンの叫びも届かない。  
雷が地を割り、辺りを吹き飛ばす。  
空間がひび割れ、天の門が強制的に開いていく。  

フィオナが悲痛な声を上げた。  
「主! 神界が直接干渉しています!」  
「まだ答えを出させてくれないってわけか……!」  

レオンの両眼が光を帯びる。  
立ち上がったカイルの中には、もう理性はなかった。  
それは神の怒りそのもの――“神罰の器”と化した勇者がそこにいた。  

リリアが剣を握りしめ、レオンの隣に立つ。  
「どうする?」  
「決まってる。今度こそ叩き壊すしかない。……神の鎖を」  

風が吼える。  
天と地を裂く閃光の中で、二人の元“仲間”が再び剣を交えようとしていた。  
その一瞬前、レオンは微笑んだ。  

「でも約束する。あんたを救う。どんな形でもな」  

その瞳の奥に、確かな決意と“人としての光”が燃えていた。  
神すらも恐れるその優しさが、今再び世界を揺るがそうとしている。  

続く
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