序盤に倒したのが魔王でした!?~世界最強の賢者、王宮から追放されたので旅をしていたら最初に魔王を倒しちゃいました~

暁山桜

文字の大きさ
6 / 13
第1章  オーレスト王国編

1章7話  その男、殺人鬼と戦う

しおりを挟む
「今から、あなたたちと踊ってあげましょう」

 愉快そうにそう言うと、その男はレオールとリーネに向かって、無数の氷の矢を放とうとしていた。



 「『アイスアロー』」



 男が放った魔法はレオールとリーネに襲いかかった。



 「この程度なら問題ねえ!! 『フレア』」



 俺は氷の矢を火魔法で防いだ。



 「貴方、何者? こんなにたくさんの氷を作り出せているんだから、強者なのはわかるわ。だからこそ、何者?」



 リーネが聞いたことはもっともなことだ。

 俺もこの殺人鬼が何者なのかは興味がある。この男から出る凶気は半端じゃない。

 ここまでの凶気を感じたのは魔神との戦い以来だ。……つまり、あの男から出る凶気は魔神クラスだということ……非常にまずい。



 「そうでしたね。まだ、名乗ってなかったですね。僕の名前はネブァン=クリトス。君たちが言う殺人鬼だよ。これでいいかな?」



 「そうね。いいわよ。貴方、その気配は何なの? 魔族のような気もするけど違うかしら?」



 「半分当たりだよ、女の人。でも、僕は君と違って神に愛された魔族ではないよ」



 ばれている!? ネブァンにはリーネが魔族であることがばれている。

 今、リーネにはとても強力な幻覚魔法がかけられている。

 だから、リーネが魔族だと気づくのはネブァンがかなりの実力者である証拠だ。



 「なあ、ネブァン、お前、何でリーネが魔族だってわかったんだよ? こいつには幻覚魔法をかけたはずなんとがな」



 俺が質問すると愉快そうにネブァンは答えた。



 「それ、お兄さんがかけたんだ。確かに強力だとは思うけど、まあ、僕の魔眼めはごまかせないよ」



 「そうか。俺はお前に聞きたいことがたくさんできたぞ。だから、すぐに吐けばぶっ飛ばすのはやめてやる」



 「僕を殺るの? 無理だよ、ムリムリ。僕を倒せるのは神に愛されてない人だけだから。そうだね、君達の職業ジョブは何なの?」



 「貴方に答える必要はないわ。それより、貴方の職業ジョブを教えなさい!!」



 ここまで強い魔族だ。魔神っていう可能性も火要りょしなければ……

 しかし、こんな街にわざわざ魔神がやって来る理由もない。



 「君達は僕が魔神とかの上級職業ジョブだと思ってるでしょ!! 違うよ、僕はただの"暗殺者”だよ」



 暗殺者?? そんな職業ジョブは聞いたことがない。

 「ただの」って言ったんだから、ネブァンの住むところでは普通の職業ジョブだったんだろうか?



 「ネブァン、暗殺者なんて職業ジョブは聞いたこともない。嘘なんかついてもすぐにばれるぞ。それに、お前は氷魔法を使ったんだ、魔法系統の職業ジョブだろ?」



 「だから、"暗殺者”だよ。そりゃ、さっきのような初級魔法ぐらいから人間の剣士でも使えるじゃん!!」



 「確かにな。リーネ、"暗殺者”なんて聞いたことあるか?」



 「ないわよ。魔族の職業ジョブでも人間の職業ジョブでもないってことは彼は獣人かしら?」



 確かにそのせんはある。しかしなぁ……



 僕が考えているときだった。



 「避けなさい!! レオール!!」



 「なっ!?」



 ネブァンが俺に飛びかかってきたのだ。

 危なかった。やはり、この早さからもわかるようにネブァンは普通のヒトではない。

 もはや、バケモノの域に達している。"暗殺者”というのがどんな職業ジョブかはわからないが、ネブァンが強いのは確かだ。

 ……勝てる。これは確実として、どうやって勝つかだ。殺すか、縛るか、逃がすか……



 「来い、僕の刃!! 『暗殺剣・アサーシナル』奴らを殺るんだよ」



 ネブァンは禍々しい魔剣を発現させた。

 魔剣といっても短剣なのだが、暗殺するのには使い勝手が良さそうだ。



 「じゃあ、お姉さんからいくね! 『速殺』」



 「痛!! 何なの!?あの攻撃は。一切動きが見えなかった」



 今のがネブァンの技。とても早いが目に追えない速度ではなかった。

 しかし、防げるかと言われるとあまり自信がない。何しろあの早さなら、目で追うだけでも精一杯なのだから。



 「私も貴方に見せてあげるわ! 『インフェルノ』焦げ死になさい!!」



 リーネはネブァンに向かって地獄の炎をぶつける。普通なら、当たっただけで勝ち確定な火属性の上級魔法だ。

 しかし、ネブァンは傷を負っていなかった。



 「すごい炎!! お姉さんはなかなかの魔法使いなのはわかったけど、本当はもっと得意なやつがあるよね? 魔族なんだから。それともお兄さんに嫌われるのが嫌なのかな?」



 俺に嫌われる? ……一体、何のことを言っているのだろうか?



 「そうね。貴方にはそれぐらいしても構わないとは思うわ。でも、私が破滅の魔法を使う意味がわかってる?」



 ……破滅の魔法。魔族だけが使える魔法の一種で俺も使ったことがあるが代償が強すぎる。

 代償の例としては破壊衝動によって暴れまわったり、欲望に忠実になりすぎたりしてしまう。

 その代わり、とてつもなく強い。辺り一面を地形変動させるぐらいの力は普通にある。



 「リーネ、破壊の魔法なんて使わなくていい。ネブァンは俺が倒すから後ろで見てろ」



 「そうね……貴方に任せるわ。とりあえず、あの男を倒してね」



 「善処する。さあ、ネブァン、お前を攻略してやるよ!」



 「やっぱり面白いお兄さんだね。僕に勝てるわけがないんだから。『無限殺』」



 ネブァンから大量の斬撃がレオールを襲う。レオールはすべての斬撃を的確に防いでいた。



 「俺からもいかせてもらう!! 『天空より照らす光アマテラス』」



 「なっ!? これは核魔法……なぜお兄さんが使えるのかな? この魔法は神によって消されたはず。なのに、何で……」



 俺が今、使ったのは核魔法だ。大昔に賢者と導師が合同で作った魔法。

 しかし、難しすぎて誰も継承できなかった魔法だ。

 だが、俺は核魔法を自分で作り使った。確かにこれは驚くことかもしれない。

 これには流石にネブァンも怯んだようだ。しかし、無傷である。



 「ネブァン、お前にチャンスをやるよ。今すぐ降参したら刑期を短くするように説得するが、しないんなら……な?」



 「殺す」と言おうと思ったが、そうはしたくなかったので殺気を出すだけにしておいた。



 「レオール、すごい殺気ね。私でも震えているもの。さあ、ネブァン。貴方は降参するかしら?」



 リーネは勝ったつもりでいる。しかし、ネブァンがこんなんで終わるはずがない。



 「そうですか……ここまでの殺気は初めて見ました。しかし、お兄さん。君には究極の選択をあげるよ」



 そう言うとネブァンの周りにどす黒い魔力が集まっていった。



 「お兄さん、君は自分とこのお姉さんどっちを選ぶ? 選んだ方を殺してあげるよ! お兄さんもお姉さんも強そうだから、片方だけ残してあげる。ちなみにこの魔法は確実に相手を殺せる魔法だから、抵抗はできないし逃げるんなら二人同時に使うからね」



 俺かリーネか。それなら、答えは決まってるじゃないか。

 ただ、自分のために神を探しているような俺なんかより、魔族を束ねる魔王のリーネの方がいいに決まってるし、それに……ね?



 「俺でいい。ネブァン、俺を殺せばいいぜ。旅を始めたときから、覚悟はしてたしな」



 「それはダメよ。元々この依頼は私が受けようって言ったのに……」



 「お姉さんは答えなくてもいいから。じゃあ、お兄さん、さようなら。『完全死殺』」



 ネブァンの一撃でレオールは消滅してしまった。

 ……何で、私なんかかばっちゃうのよ。バカなの……

 リーネはそう思わざるを得なかった。



 「さあ、お姉さん。僕と踊ろうか?」



 ネブァンが発した一言と同時に、リーネの魔力によって空間が揺れた。



 「貴方の処刑を執行するわ。情けはかけないし、貴方も文句をいう権利はないから」



 「いいよ!! お姉さん。そんなにお兄さんが大事だったの? でもさ、お姉さんは魔王でお兄さんは賢者。力の差も身分の違いもある。だから、お兄さんはお姉さんを残して正解だったんだよ。さあ、死んだお兄さんの分も戦ってこの街を壊さないと」



 「何を言っているの!? 私はこの街を壊さないし……何で、私たちの職業ジョブを知っているのかしら?」



 「それは秘密。僕は賢者を殺したかったんだよ。恵まれた職業ジョブ持ってていいよね。僕はこんなにも呪われているのに。だから、お兄さんを殺してスカッとしたよ。お姉さんも僕に殺させて……いいでしょ?」



 「うっせえな!! 黙ってやがれ!! 『雨嵐の怒り(スサノオ)』!!」



 瞬間、ネブァンの体は大嵐によって飛ばされた。



 「お兄さん?……僕が殺したはずののに……」



 「一度程度で俺を殺せると思ったら大間違いだ。雑魚はおとなしくしとけ!!」



 そこには殺されたはずのレオールが立っていた。

 そして、レオールはネブァンに宣告する。



 「俺の勝ち試合ターンの始まりだ。おとなしく、退け、ネブァン!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

処理中です...