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二人目:聖騎士アグリア

「聖女様の教会と知っての狼藉か?」

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 教会の大扉を破壊して、礼拝堂に踏み込んだ俺を、聖騎士アグリアは月光のなか待ち受けていた。

 全身を銀色の鎧で包み、片手に携えた美しい両刃の長剣と、もう一方の手甲に巻き付けられた細い鎖が、うっすら白い光をまとっている。

 魔物としての肌感でわかる。どちらも強力な加護を受けた聖武具ホーリーギアに違いない。
 俺が旅立つときには、中古の皮鎧と剣しか渡されなかったのに。

「貴様が、報告のあった“勇者喰らい”のオーガだな……」

 もう情報が入っている。ていうか、勇者おれは俺に食われたことにされているようだ。
 しかもいい感じの二つ名になっていて、勇者のころそんなもの付けてもらえなかった俺としては、なんとも複雑な気持ちになる。

「ここを聖女様の教会と知っての狼藉か?」

 青白い月の光が、低く抑えた声で問いかける騎士の、端正な細面を照らす。
 短くまとめられた銀髪に、きりりと凛々しき眉の下、朱い瞳が鋭い眼光でこちらを睨みつけた。

 とは言え俺より高かった背丈はすでに逆転していて、もはや可愛いものだ。
 これだけ綺麗な顔なら男でもアリかも、なんて一瞬思ってしまったのは、オーガになって感覚がおかしくなったのか、それとも……。

当然ガォオン
「――えっ!?」

 本来、魔物は人語を解さないから、問いへの答えなど期待していなかったのだろう。
 なのに、俺が肯定するようにうなずいたから、アグリアの両目は驚きで見開かれる。
 不意をつかれて漏れた声は甲高く、まるで女のようだった。

行くぞグガォオオ!」

 その隙を、見逃してやる義理はない。両脚にみなぎる筋力で礼拝堂の石床を蹴り、俺は聖騎士を急襲する。
 闘争本能に連動して、爪が刃のように尖って伸びるのがわかる。
 オーガの戦い方は、身をもって知っていた。なかでも手強かった歴戦のオーガの動きをトレースして、俺は両腕の爪を同時に振るう。

「小賢しいッ!」

 しかし相手は聖女の守護を一人で任される聖騎士。王国最強戦力と考えてもいい。

 左爪はあっさり聖剣ではね上げられ、反対側の右爪は、手甲に巻き付く聖なる鎖によって阻まれた。
 さらに鎖は、意志を持つ生き物のように俺の左の剛腕に巻き付いて、皮膚に喰い込むほどの強さでギチギチと締め付けてくる。

「勇者様の無念、私が晴らそう!」

 勝手な宣言をしたアグリアの聖剣が、俺の太い首を切り落とそうと閃く。鎖で左腕を拘束され、間合いを離すこともできない。

 ――やはり、使うしかないか。

「……剛血グオ無双ガオ……」

 俺の全身を包んだ蒼いオーラが、驚愕で見開かれたアグリアの瞳に反射する。

 振るわれた聖剣はオーラの輝きに阻まれて、浅い傷を残すだけ。俺の首を落とすことはできない。

 左腕に巻き付いていた鎖は、スルスルと緩んだかと思えば、俺の手首のあたりに綺麗に巻き付いた。
 どうやら、所有権がこっちに移ったようだ。

 いかに強力な加護を受けた聖武具ホーリーギアであろうと――いや、だからこそ女神直贈の聖能力ギフトには抗えないのだろう。

「これは、なに……」

 呆然自失のアグリアの、聖剣の刃を素手で掴んで・・・・・・奪い取り、背後に投げ捨てる。
 続けて、左手首に巻き付く鎖に意思を込めた。

「そんな……! どうして、聖なる鎖が!?」

 鎖は思い通りに動いて元持ち主アグリアの腕を縛りあげる。喉元を一周して首輪を作った後、聖剣を失ったもう一方の腕にまで絡みつき、両腕を背後に拘束した。

 さて、そろそろ剛血無双を解除しないと、反動がきつくなるだろう。最後に銀の胸鎧の襟ぐりに両手を掛けた俺は、それを一気に左右に、引き裂く!

「やめてええええ!」

 アグリアの絶叫と共に、紙のように引き裂かれた鎧と、巻き込まれたその下の騎士服から――――小振りだけれど形の良い乳房がこぼれて、月光の中で青白く震えていた。

「あ……ぁ……あ……」

 やはり、そういうことか。
 俺が彼女・・に欲情していたのは、おかしくなったわけではなく、オーガとしてのオスの本能が、相手をメスだと見抜いていたからだった。

 へなへなと座り込んだ彼女の目の前で、俺は剛血無双を解除する。全身を襲う強烈に不快な痛みに苦悶する。

 初回より発動を短めにしただけ、多少はマシだったが、これは何度味わっても慣れそうにない。
 紛らわせるように俺は、すでにこの後・・・への期待で屹立した股間の巨根ペニスを、アグリアの美しい顔の前に突きつけた。

「ッ……汚らわしいッ……!」

 気丈に言い捨てて顔をそむける彼女の声が、弱々しく震えていた。
 嗜虐心をそそられた俺の巨根ペニスはビクンと脈打ち、反動で先っぽから先走った透明な汁が飛散する。

「ヒッ……」

 青白い頬をべっとりと汚した汁を、伸びていた爪が元通りになった指先に塗りたくり、彼女の薄い唇の中に無理やりねじ込んだ。

「くッ……ころ……んぐッ!」

 必死に指に噛み付いてくるが、オーガの分厚い皮膚の前には、心地良い甘噛みでしかない。
 汁まみれの指で彼女の舌の、生暖かく柔らかい感触をねぶりまわしていると、やがて……。

「んッ……ふっ……ふアッ……」

 朱い瞳がとろんととろけて、胸の先では色の薄い乳首が、小指の先みたいにぎちぎちに勃って震えている。
 やはり、先走り汁にも媚薬効果があるようだ。

 ――聖女の前菜は女騎士。悪くないコースだ。
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