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母娘丼W010 天使たちがママたちに感謝を捧げる日

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№10 天使たちがママたちに感謝を捧げる日

 天使たちの誕生日はともに8月下旬だ。

 アリちゃんが2日程お姉ちゃんである。確かにふたりを見ていると、アリちゃんが面倒見のいいお姉ちゃん、プリちゃんがお姉ちゃんの影に隠れている妹ちゃんと言う立ち位置だ。
 しかしプリちゃんは、普段はおっとりしているものの、ここぞと言うときにはスパッと決断して、踏ん切りがつかないアリちゃんを引っ張ることがある。実に面白い。

 今年の天使たちのお誕生日ウイークだが、こんな感じ。

 水曜、ジェニファーさんとニコルさんの平日休みの日。アリちゃん、プリちゃん、ジェニファーさん、ニコルさんの4人ふた組の水入らずのお誕生日お食事会。つまりいつも通りの外食。俺は仕事。

 木曜、アリちゃんの誕生日。俺は定時上がりで、ケーキを買って帰り、俺とアリちゃんとプリちゃんとの3人でアリちゃんのお誕生日をお祝い。残念ママたちは残業。

 金曜、俺の平日休み。俺とアリちゃんとプリちゃんの3人で、ふたりのリクエストにより、お誕生日ケーキ作りの練習。初心者用のパンケーキだが、上手に焼き上がり、見事なでき具合だ。残念ママたちは残業。

 土曜、プリちゃんの誕生日。今週はラッキーなことに展示会などの出張がない。定時上がりで、ケーキを買って帰り、俺とアリちゃんとプリちゃんとの3人でプリちゃんのお誕生日をお祝い。残念ママたちは残業。

 そして今日の日曜、休日。アリちゃん、プリちゃん、ジェニファーさん、ニコルさんに、俺が加わった5人でお誕生日会。俺が料理を作るから俺んちで開催。
 残念ママたちはいつも通り寝だめで1週間の疲れを回復中。俺と、祝われる側のアリちゃんとプリちゃんが、俺んちでせっせとお誕生日会の料理を作っている。笑

 金曜の練習で上手にできたから、お誕生ケーキ用のパンケーキ作りはふたりに任せている。それにしても、この数ヶ月でふたりの料理スキルはかなり上がった。

 午前中からせっせと料理を作り、夕方には準備が整ったので、アリちゃんがジェニーさんを、プリちゃんがニコルさんを呼びに行った。

 残念ママたちは、ボサボサ頭の寝起き状態でやって来た。
 素の自分をさらけ出してくれるところは嬉しいが、俺のことは1ミリたりとも男とは思ってねぇのな。それはそれで悲しいもんがあるが、仕方ない。

「凄い料理じゃないか!」
「ほんとよねぇ。これ全部ジョージくんが作ったのよね。」
「アリちゃんとプリちゃんに手伝ってもらいましたよ。」
 ローストビーフ、リブロース、エビの串茹で、白身魚の切り身のムニエル、シーザーサラダと言ったありふれたパーティ料理なので、特に驚かれるほどのものではない。

 それよりは天使ふたりの手作りのパンケーキだろう。パンケーキ3枚を重ねて2組の土台を作り、生クリームと、カスタードクリームをふんだんに使ってデコレーションしている。生クリームは銀髪のプリちゃん、カスタードクリームは金髪のアリちゃんのイメージだ。
 いい仕上がりだ。次は、スポンジケーキに挑戦してもいいかもしれない。

 デコレーションしたパンケーキにローソクを11本ずつ立てて火を点け、カーテンを閉めて電気を消した。
 アリちゃんとプリちゃんがフーっと火を吹き消したところで、皆で拍手。
「「「おめでとー。」」」
「「ありがとー。」」
 最初に皆で、天使たちの手作りのケーキを食べた。
「美味しいよ。」「上手に焼けてるわ。」
「「えへへー。」」天使ふたりは満足気に微笑んでいる。実にかわいい。

 それからパーティ料理になった。
「驚いた。美味しいわ。」
「本当だ。そこら辺の洋食屋のよりもずーっと旨いよ。」
「そうですか。ありがとうございます。」
 ジェニファーさんもニコルさんも、休日の残念な格好で料理ぱくついているのだが、元がいいから絵になる。美人は得だ。

「なるほどなぁ。プリシラが、ジョージくんにぞっこんな訳が分かったよ。胃袋を掴まれてたんだ。」
「違うもん。それもあるけど、それだけじゃないもん。」
「アリスもだわ。これを毎日食べさせてもらってたら、ジョージくんにイチコロよね。」
「もう、娘を食いしん坊みたいに言わないでよね。」

「ところでですねぇ、天使ふたりからのリクエストでサプライズ料理があるんですよ。」
「あら、楽しみね。」「期待しちゃうねぇ。」

 ふたつのサプライズ料理を出した。
「「あっ。」」っと驚くジェニファーさんとニコルさん。
「アリちゃんからのリクエストで、ジェニファーさんの出身の海辺の港町の海鮮魚介スープと、プリちゃんからのリクエストでニコルさんの出身の山裾の町のキノコと根菜のシチューです。」
「ああ、懐かしい。」「ほんとだねぇ。」って会話しつつも、ふたりが食べている料理は違う。笑

 残念ママふたりが美味しそうに食べる様子を眺めていると、ついつい見惚れてしまう。天使たちの食べる様子には癒されるが、ママふたりの食べる様子には色気がある。

「ん、ジョージくん、どうしたんだい?」俺の視線に気付いたニコルさんが反応した。
「いやあ、おふたりの食べる様子がセクシーで、思わず見惚れちゃいましたよ。」
「何言ってんのよ。もう。食べにくくなるじゃないの。」
「いやいや、遠慮しないでくださいよ。お代わりします?」
「いや、やめとくよ。これ以上食べると太っちゃう。ご馳走様。」
「ほんとよね。それにしても誘惑に負けそうになるくらい美味しかったわ。ご馳走様。」

「じゃあ、スープとシチューはお土産にどうぞ。」
「頂くわ。」「頂くよ。」
 横で天使たちが、ふふふと笑っている。
「何よ?」ジェニファーさんが、天使ふたりに笑ってる訳を聞いた。分かってるくせに。笑
「胃袋、掴まれたのは誰かなーって。ね、プリちゃん。」
「そうだよねー。誰だろうねぇ、ママ?」
「はいはい、私たちが掴まれましたよ。さっきは揶揄って悪かったよ。」ニコルさんが白旗を揚げた。
「ほんとよねぇ。アリスたちが羨ましいわ。」

「じゃあですね、日曜は一緒にうちで食べません?」
「「やったー。」」と喜んだのは天使たち。
「日曜もジョージさんのお料理だー。」「ジョージさんが一緒だから、外食よりもいいー。」
「え、でも…。」「流石に悪いよねぇ。」
「美少女ふたりに、美人ママふたりとの食事なんて、サイコーっすよ。ご褒美以外の何物でもありません。」
「それなら、せめていくらか取って。」
「いいですって。」
「ジョージくん、ちゃんと取ってくれた方が、私たちはお世話になりやすいんだよ。」
「そうですか?じゃあ1回500円で。」
「安過ぎるわ。」
「いつも今日みたいなパーティ料理じゃありませんから、材料費はそんなもんですよ。」
「でも手間賃ってもんがあるだろう?」
「俺は料理人じゃないので、手間賃は取りません。それに自分の分を作るついでなんで1人前も5人前も大差ないです。報酬は、皆の美味しいって笑顔で十分なんですけどね。」
「分かったわ。」「分かったよ。」

「ところでさ、プリシラとアリスの誕生会なのに、なんで私たちへのサプライズ料理になったんだい?」
「ジョージさんがね、誕生日は産んでくれたママに感謝する日だよって教えてくれたの。ね、アリちゃん。」
「そうなの。でね、ジョージさんがね、ママが喜ぶサプライズ料理は何かないかなって言ったの。だからね、ママの故郷の料理がいいかもって言ったら、ジョージさんがネットで調べてくれたの。」
「「ジョージくん。」」あ、ママたちウルウルしてる…。

「ほら、ふたりとも。」と、俺がアリちゃんとプリちゃんを促した。
「「ママ、産んでくれてありがとう。」」
「「はうっ。」」美人ママふたりは、美少女天使ふたりに泣かされてしまいましたとさ。めでたし、めでたし。

 お誕生日パーティが終わり、天使ふたりが片付けを手伝ってくれようとしたら、
「私たちがやるよ。」
「ふたりはゆっくりしてなさい。」
 残念ママふたりがしっかりママふたりに変身して、片付けを手伝ってくれた。
 天使ふたりは、テレビゲームで遊んでいる。

「ジョージくん、ありがとね。感極まって泣いちゃったわ。」
「私もジョージくんのせいで、プリシラに泣かされちゃったよ。」
「素敵な涙でしたよ。」
「もう。揶揄わないでよ。後でアリスを寝かせたら話があるんだけどいいかしら?」
「私も話があるんだ。プリシラを寝かせたら、もう一度お邪魔してもいいかい?」
「いいですよ。」

 なんかいい雰囲気じゃん。妙に期待しちゃうな。おい。笑

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 メインの2作品はファンタジーで、ラブコメはこの作品が初めてです。

 本日は1時間おきに3話投稿します。明日は21時と22時に2話投稿します。

 以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739

 カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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