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母娘丼W011 天使たちの出生の秘密

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№11 天使たちの出生の秘密

 アリちゃんとプリちゃんをそれぞれ寝かし付けたジェニファーさんとニコルさんが、ふたり一緒に再度うちを訪ねて来たのは、22時を少し回ったところだった。

「「改めて、今日はありがとうございました。」」
「いえいえ、どう致しまして。」
 ジェニファーさんからハグと頬へのキス、続いてニコルさんもハグと頬へのキス。ふたりからのハグ&頬キスは2度目だ。最大級の感謝のようだ。
 ふたりの巨乳の圧力にマイサンがソッコーで反応したのは内緒だ。

「大人の時間ですから少し呑みます?」
「そうだね。」「いいわね。」
 ふたりがチョイスしたのはアクアビットだった。アクアビットは北欧一帯で作られている蒸留酒で、ジャガイモを原料に香草で香り付けをしている。ふたりはこれをロックで。俺も同じものにした。ロックだと俺にはきついから、チビチビとやる。苦笑

「で、お話と言うのは?」
「あの子たちのパパのことよ。」
「ふたりはまだ知らないんだ。そのうち話すつもりだけど、それまではくれぐれも内緒にしといとくれ。」
「はい。」
「あの子たちは血が繋がってるの。つまり、姉妹ね。」
「え?」これは驚いた。つーことは腹違いか。
「多分察したと思うけど、あの子たちのパパは同じ男さ。ラークと言って、ドライアド本社の今は専務でね、次期社長候補のひとりなのさ。」
「私とニコルとラークは大学時代の同期なのよ。もっとも彼は一浪だから歳はひとつ上だけどね。」

「大学では、私は彫刻、ジェニーはデザイン、ラークは経営を学んでいたんだ。最初は専攻が近い私とジェニーが知り合ってね、彫刻に対する私の考え方と、ジェニーのデザインに対する考え方が似ていたから、私たちはすぐに意気投合したんだ。」
「他の女子学生は彼氏の話ばっかりだったけど、私たちは、勉学に色恋は邪魔って考えでね、結構ストイックに学んでいたわ。特に実習系の科目はね。」
 今もそうじゃん。娘ほったらかして残業ばっかり。苦笑

「ラークは経営専攻だから実習とかはなくて座学ばっかりでさ、大学では結構遊んでたんだよ。それで私たちにも眼を付けて来たんだ。それが2年生になったときのことさ。」
 とんでもねぇチャラ男じゃん。
「当然、私たちは撥ね付けたわよ。ラークの学生としての態度を全否定してね。随分ひどいことも言ったわ。」
「そしたら、『僕が間違ってた。君たちの言う通りだ。これから真面目に学ぶから、今年、経営学部で首席になったら、彼女ではなく友人として付き合って欲しい。』って言われてさ、そんなの容易くできっこないだろって思ったから、そんときゃジェニーも私も『はいはい。』って受け流しちまってね。」

「それからラークは人が変わったわ。他の女の子との遊びを一切やめて勉学に取り組んだのよ。」
「そしたら2年次の首席になったと?」
「いいや。そう上手くはいかないよ。でもね、次席を取ったんだ。」
「いや、それでも凄ですね。」
「そうなんだけどね、『君たちとの約束を守れなくてごめん。君たちと友人になるために、もう1年チャンスを下さい。』って頭を下げて頼みに来たのよ。『別に友達にならなくてもいいんじゃない?』って答えたら、『君たちみたいな意識の高い人たちとはぜひ友人になりたい。』って言われたのね。だからニコルと私は『はい。』って答えちゃったのよ。」

「で、3年次の主席になった訳ですね。」
「と言うか、卒業までずっと首席よ。」
「でさ、3年生の終わりに友人として付き合うようになってね、会うときはふたりっ切りじゃなくて必ず3人一緒だったんだよ。『彼女ではないからふたりっ切りでは会わない方がいい。』って言ってね。それで信頼しちまったんだけど、結果的にはそれに騙されたのさ。」

「3年生の終わりから就職活動が始まって、ニコルも私もドライアドを第一志望で受けたのよ。4年生に上がってからの最終面接はびっくりしたわ。ラークが面接官でいたんだもの。」
「え?」
「私の最終面接のときもそうだったよ。実はラークは大学に通いながら、社長である父親の下で実践的な経営も学んでてね、その一環で採用面接にも来てたんだ。」
「すでに本社の社員だったと言うことですか?」
「そうよ。彼の入社は次席になったときと聞いたわ。つまり2年生の終わりよね。まじめに勉強し出して、結果を残したと言うので、社長から高く評価されたそうよ。」

「でさ、最終面接の後に私はラークに呼び出されてね、『ニコルさんの採用は決まった。念のために言うが、僕のコネではなく、ニコルさんの実力だ。ついては友人としての付き合いは短いが、ニコルさんの様な意識の高い人を僕は伴侶として迎えたい。将来ドライアドの社長となる僕を支えて欲しい。どうだろうか。もし断っても、ニコルさんの採用決定が覆ることはない。』と言われたのさ。そこで、初めてラークがドライアドの社長の息子だって知ったんだよ。」
「うわー、その口説き文句、ヤバいですね。」
「その通り。私はすっかり舞い上がっちまってね、それまで男と付き合ったことがなくて免疫がなかったからね、後はチョロいもんさ。その日のうちにラークに女にされちまった。」
 ぶっちゃけ話、頂きましたー。泣

「私の最終面接はニコルの翌日だったんだけど、私もまったく同じことを言われたわ。そしてラークの素性を知ったのもそのときよ。ラークはドライアドの社長の息子であることを意識的に隠してたのよね。親の七光りが嫌だと言って。そう言うところもカッコよくてさ、それで私もその日のうちにお持ち帰りよ。私もニコルと同じで男への免疫がなかったから、ホイホイついて行っちゃって、初めてを捧げちゃったわ。」
 ぶっちゃけ話ふたつ目、頂きましたー。泣

「じゃあ、おふたりはそのラークって奴に、ふた股されたってことですか?」
「そうなのよ。しかもよ、一緒に翌朝を迎えたベッドで言われたわ。『ジェニファーさんとこうなったことがニコルさんにバレると、ふたりの信頼関係にヒビが入り兼ねないから、しばらくの間は黙っておいた方がいいと思う。どうかな?』って。」
「とんでもねぇ奴だな。」
「ろくに考えもせず頷いた私は『これからふたりでいるときはジェニーって呼んで。』って口走ってたわ。もうほんとに、あのときの私をぶん殴りたいわよ。」

「私も同じことを言われてね、ジェニーと友人関係が壊れると思い込まされちゃったから言うに言えなくてねぇ。そうは言いつつ、ラークのことはどんどん好きになっちまうし、ラークとふたりで会う度に抱かれてたのも、ジェニーを裏切ってるようで、余計言い出せなくてさ。」
「私もそう。ラークが好きになって行く自分を抑えられなくて、会うたびに抱かれて、それが嬉しくて、でもニコルを裏切ってると言う後ろめたい気持ちに苛まれて…。」
「なんかマインドコントロールっぽいですね。」
「そうね。」「それな。」

「でもおふたりは今シングルですよね?どちらかがラークと結婚して、別れたんたんですか?」
「ニコルも私もずっとひとりよ。私たちは結婚してないわ。」
「年末に月のものが来なくなってね。すぐ妊娠したとピンと来たよ。そりゃそうさ、いつも生で抱かれてたからね。それでもう、ジェニーに隠しておけないと思って、私からジェニーに話したんだ。」
「ニコルから相談されて驚いたわよ。私も月のものがなくて不安だったんだもの。それでふたりで妊娠検査薬を買いに行って検査したらふたりともビンゴよね。それがアリスとプリシラよ。」
「それから互いに正直に話したら、まったくいい様にラークの掌で踊らされてたって分かったのさ。私とジェニーの面接が連日だったって言ったろ。つまりさ、私を女にした翌朝に『ジェニーには内緒にしろ。』って言っといて、その日のうちにジェニーを女にした訳さ。それが分かった途端、あれだけ好きだったラークへの気持ちが一気に冷めちまってね。」

「私も一気に冷めたわ。だって、私もニコルも騙されて初めてを捧げちゃったようなもんでしょ。しかも連日で。さらにそれから3ヶ月はふた股よ。もう悔しくって悔しくって。それでふたりでラークを呼び出して問い詰めることにしたのよ。」
 おうおう、来た来た、来ましたよー。修羅場、修羅場の修羅場乱場!
「そしたら、ラークの奴、躍り上がって大喜びしてさ。『僕と君たちと君たちのお腹の子と5人で暮らそう。』って言うじゃないか。もう気が抜けたのなんのって。」
「普通は板挟みで焦りまくるところじゃないんですか?」
「それがねぇ、ラークったら、最初から私とニコルのふたりを娶る気だったようなのよねぇ。」

「え?じゃあなんで互いに内緒にさせたんですか?」
「そりゃ、私たちがラークにぞっこんになって重婚に同意するか、ふたり揃って妊娠させて、受け入れざるを得なくするためだよ。」
「つまりラークの思う壺だったのよねぇ。ふた股が分かって一気に気持ちが冷めるまでは、私もニコルもラークのことが好きで好きでしょうがなかったもの。」

「それでさ、私とジェニーの妊娠が分かって、ラークの奴、なんて言ったと思う?『ふたりとも大事にするけど、先に産んでくれた方が名目上の第1夫人でいいよね。』と抜かしやがったのさ。ラークの頭の中では重婚が規定路線だったみたいでね。」
「あんまりの言い分なんで、『ふたりと結婚できる訳ないでしょ!』って言ったら、『別に稼ぎがあるから心配しなくて大丈夫。重婚を認めているアラブの国で結婚すればいい。』って答えたわ。もう呆れ返るしかなかったわね。」

「話が全然噛みあってないじゃないですか。」
「そうなのよ。話が通じないってこのことよね。ラークも私たちの言い分を全然理解しなかったけど、私たちもラークの主張をまったく理解できなかったわ。」
「私もジェニーも、このお花畑野郎では話にならないと思ったね。」

「それで私たちはドライアド本社に行って、ラークの父親である社長に事情を訴えたわ。」
「それで、会社の顧問弁護士が出て来て、出された条件が、『DNA鑑定でラークの子と証明されれば十分な補償をするが、そうでなければ法的に訴える。』だったね。」
「当然、私たちはラークにしか体を許してなかったから、その場で補償の条件を詰めたわ。」
「出産予定は入社予定直後の8月下旬だったから、入社と同時に産休育休で2年間の休職。その間、給与賞与は全額支給。雇用の保証と昇進を不利にしない確約。その他に、慰謝料と十分な養育費。ラークは卒業と同時に本社から左遷。ラークとは顔を合わせたくなかったからね。でこちらは、十分な補償を受けたら、ラークに対する訴訟の放棄。」

「じゃあ、育休を終えてすぐに日本支社へ転勤ですか。」
「いいえ、本社には1年間、勤務したわ。それからドライアド・ジャパンの設立話が出たので、すぐに飛び付いたのよ。誰も知らないところで、ニコルとアリスとプリシラと4人で再出発したかったったのよね。」

「そうだったんですね。でもなんでその話を俺にしてくれたんです?」
「さあ、なんでかしらね。」
「それはジョージくん自身で考えておくれよ。」
「はい。」
「あ、それとジョージくん、これから私のことはジェニーでいいわよ。」
「え?…ありがとうございます。喜んで。」俺は、ジェニーファーさん、…じゃなかったジェニーさんから、親しい認定されたってことか。

 玄関先までおふたりを見送って、おふたりが仕事の鬼なのが少し分かった気がした俺なのだった。

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 メインの2作品はファンタジーで、ラブコメはこの作品が初めてです。

 本日は1時間おきに3話投稿します。明日は21時と22時に2話投稿します。

 以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739

 カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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