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ハリー

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第19話 クライル国王女

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「申し訳ございません。」

城内に入って早々、ご老人…国王の付き人っぽい人に頭を下げられた。

「え?」

確かに城だとは聞いてなかったけど謝る事でもないよな。

「その、国王様が臣下に無断で城をよく抜け出されてしまいまして…。それでひったくりにあったり、その犯人の特徴を警備の兵に言わなかったりと…。」

あ、その事か。ってか無断で出てきちゃってたのかよ!?

「ワシャだって偶には外で羽を伸ばしたいんじゃのぉ。」

国王が口を尖らせ拗ねている。全く可愛くないな。むしろムカつくぞ…。

「…はい?国王様。週に一回は抜け出しますよね?」

付き人っぽい人の背後に般若が見えてしまった。震えそうになったが、ヨヨの目が笑ってない時よりは怖くなかったので耐える事ができた。グッジョブ俺!

国王がソファーに座って反対側を指差したので俺は反対側に座った。

「ま、まぁそんなことより。お詫びの件なんじゃが、何が言いかのぉ…。何か欲しいものでもあるかのぉ?」

何も考えてなかったのかよ。何か欲しいものって…。

そこで俺は当初の目的を思い出した。ここクライル王国に来たのはケモ耳を探すためじゃないか!

「ケモ耳をください。」

「ケモ耳?そう言えばさっきも何か言っていたのぉ。そんなに獣人の耳が欲しいのかのぉ。」

え?獣人の耳?俺が欲しいのはケモ耳っ娘…あっ。

「ちょ、間違えました!ケモ耳っ娘!」

俺は急いで訂正した。訂正しなければ危うく血塗れの耳が渡されるところだった。危ない危ない。

「ケモ耳っ娘じゃと?」

ケモ耳っ娘と聞いた瞬間に国王の顔が険しくなった。

「表向きでは亜人奴隷を禁止しているこの国の王に向かって奴隷をくれじゃと?」

「奴隷?」

「違うのかのぉ?」

…確かにケモ耳っ娘をくれって事はそういう意味に受け取られなくもないな。やっぱケモ耳は自分で探すしかないか。それにしても1つ気になったんだが。

「表向きではってどう言う事ですか?」

「法律で禁止にしても裏で奴隷商がいるのじゃのぉ。」

なるほど。という事はつまり、最悪奴隷商で…。

そんな事を考えていると隣のルルに腕をつねられた。

「ユウタ。変な事考えてるじゃろ。」

どうやら顔に出ていたようだ。目の前に国王もいる事だし話題を戻そう!

「さて!欲しいものは~…ないですね。」

ケモ耳が貰えないのなら別に欲しいものはないかな。美味しいお菓子は目の前の机にあるし…。ヨヨを見るとボリボリお菓子を食べていた。俺も食べよ。

「ないと言われてものぉ。あ、そうじゃ。ワシャの宝をやろうかのぉ。」

そう言い国王は席を立ち近くの棚を漁りだした。

「これじゃこれじゃ。ほれ。」

何かを投げられたのです慌てて受け取った。なんだろ。俺の手の中に入った物体はとても小さいものだ。この形は…。

手のひらを開けると模様の入った金色の指輪があった。

「ワシャの家。クライル王家に代々伝わっていた指輪じゃのぉ。二代前から家宝が指輪から剣に変わって、もうお払い箱じゃがのぉ」

え、これ貰ってもどうする事もできないんだけども。売っていいのかな?高そうだし。

「ちなみにマジックアイテムじゃからのぉ。」

「マジックアイテム?」

「その指輪はの、王家だけに伝わっていた魔法がつかえるのじゃよ。まぁ分かりやすく言えば重力魔法じゃのぉ」

「重力魔法?」

あのズシンッて効果音が似合う重力かな?とりあえず付けて見よ。

指輪を右手の人差し指に入れると綺麗にハマった。

…おっ、ハマった。丁度いい感じだな。さて、これでどうやって使うんだろ。重力魔法!とか?

「嵌めるのはいいが魔法をここで使うのはやめーッ「ズシンッ」ぐっぬぬぬ…ッ!」

俺の目の前にいた国王の足が沈み膝をつきだした。これはもしかして重力魔法の効果なのか?とりあえず解除しろー!っと念じてみたら国王の足の力みが消えた。

「こ、ここで重力魔法を使うとはのぅ…っ。流石のワシャでも驚いたのぉ。」

「あ、すいません」

使っちゃダメなんて聞いてなかったし、ここまで効果がある魔法だとは思っていなかった。なんて言えるわけねぇしな…。

「こんなの貰っていいんですか?」

「お詫びなのじゃからいいのじゃのぉ。」

おぉ、何かいいもの貰ったな。重力魔法か…。牢屋に数日ぶち込まれて重力魔法が貰えるなら得かもしれない。

「じゃあそろそろ帰りますね。」

あまり王城は好きではないので、そそくさ席を立ちお辞儀をする。

「もう帰るのかのぉ。まぁ仕方ないのぉ。外で馬車が待っておるから、それに乗ると帰れるのじゃよ。」

「ありがとうございます。」

もう一度お辞儀をし、モグモグお菓子を食べているヨヨと、眠そうなルルの手を引っ張って部屋を出た。

王城の出口を探し来た方向を帰っていると不意に後ろから声をかけられた。

「お兄ちゃん、だーれ?」

この声を聞いた時俺は決めた。絶対振り向かないぞ、と。何故ならその声、口調だけで分かる幼女感。街中なら振り向いたかもしれないがここは王城だ。ここで振り向けば面倒な事に巻き込まれる気がする。

「ねー?」

流石に無視して走っていくのはマズイだろうな…。

「名乗るほどの者じゃないさ。」

厨二チックに言いながら、右手をヒラヒラさせる。第三者から見ればサヨナラ的なヒラヒラかと思うだろうが、俺的にはもう関わるな、これ以上近づくなって意味のヒラヒラだ。

「おー!かっこいー!」

背後でパチパチと拍手が聞こえる。ほ、ほんの少しくらい振り向いてもいいよな。うん。決してカッコいいと言われて嬉しかったわけじゃないからな。

振り返るとそこには金髪蒼眼の美少女がいた。何時もの俺なら金髪蒼眼の少女がいたら喜ぶところだが今日の俺は喜べなかった。何故かって?そりゃこの子が服装からして王族だからだよ。
胸にクライル王国の国旗のワンポイントがあるしな。

まぁそれだけなら良いのかもしれないが、俺にはまだマリエールさんの言葉もあった。

『クライル王国は王位継承権でゴタゴタしてるのよ。』

もしかしてだけれど、可能性がないとは言い切れない。俺は覚悟を決めて聞いてみる事にした。

「お嬢さん、君の名前は?」

「えっと、ユリアはね。ユリア・ウィリム・クライルだよー!」

名前にクライルって事はやはり王族らしい。

「第一王女様だっけ?」

王女とは限らない。そもそも王女がいるのかすら知らない。だがユリアが王女の確率は高いはずだ。

「ユリアは第二王女だよー?」

やはり王女だったか。第二って事は第一王女もいるって事だよな。なるほど。

「お兄さんはいる?」

「いないよー?」

そうか。となると第一王女と第二王女か、ゴタゴタしてるわけかー…ってこの子が王位継ぐかもって事?まじかよ。

てか初対面の少女に質問攻めって何かダメだな。

「あの、妹に何の用でしょうか?」

いつの間にか近くに俺と同じくらいの年齢の女の子が立っていた。え、妹?何かの聞き間違いだろうか?

「あ、お姉ちゃん!」

聞き間違いではなかったらしい。という事は…

「第一王女?」

「え?あ、はい。アリス・ウィリム・クライルと申します。」

「あ、ご丁寧にどうも。渡部優太です。」

流れに任せて自己紹介しちゃったけど、この状況はどうすれば良いのだろうか?第一王女と第二王女に挟まれた一般ピーポー日本人

この光景は実にカオスだ。
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