チート能力でステータスの差を埋めました。

ハリー

文字の大きさ
21 / 34

第20話 牢屋再び

しおりを挟む
とりあえず俺は目の前にいる王女2名にニコリと笑い、回れ右をした。

「名乗るほどの者じゃないさ。」

「おー!かっこいいー!」
「えっと、渡部優太さん…でしたよね?」

俺の渾身のやり直しを第二王女は受け入れてくれたが第一王女はそれを許してはくれなかった。

「いえ。違います。それは偽名です。田中太郎と申します。それじゃ。忙しいので。」

俺はペコリと頭を下げ、そのままルルとヨヨを引っ張って歩き出した。深く関わるとケモ耳が遠ざかりそうだからな。

「え?いや、あの!」

何も聞いてないし何も聞こえません。そんなオーラを出しながら出口に向かう。

「ちょ、待ってくださいっ!」

第一王女が俺を追いかけて歩いてくるが何も見えない。

「のぉ、ユウタ。ずっと呼んでるのじゃ。」

流石に第一王女が可哀想になったのかルルが俺の袖をグイッと引っ張りチラチラと第一王女を見ながら言った。

「ルル。それはオバケだ。見ちゃいけません。」

「ふぇっ?オバケなの!?」

ヨヨがオバケと聞いてビクッと体を動かした。

「…ヨヨ。オバケ怖いのか?」

「べ、別に怖くないかな!」

怖くないという割には俺の腕を掴む力が強くなっている。ヨヨはヨルムンガンドだ。俺の腕ヤバス。折れちゃうよ。逝っちゃうよ。

「ふっ、ユウタ。ヨヨは昔、霊種に負けかけたのじゃ。それ以来霊種にはめっぽう弱いのじゃ。ぷぷぷ」

「お姉ちゃんっ!それは違うかな!霊種に私の攻撃が効かなくて泣きかけたとかそんな話は存在しないかなっ!!」

顔を綻ばせ笑うルル。顔を赤くし否定するヨヨ。顔を真っ青にし腕が折れかける俺。た、助けて。

「あ、あの~…」

俺は忘れていた。こんな会話をしている場所が王城だと。そしてついつい足を止めてしまっていたのだった。腕が痛くて。

「やっぱりユウタって名前が本名なんですね?」

ふ。何度聞かれようと俺の答えは変わらない。違うと言い続ければ、すぐに諦めてくれるだろう。

「いえ、違いま「そうじゃ!」す。」

「やっぱりそうなんですね!なんで嘘つくんですか。」

ルルの突然の裏切りで俺の作戦が失敗した。

「くっ、何故だルル!」

ルルの方をくるっと見ると先程まで持っていなかったはずのお菓子が数個手に収まっていた。

「ルルー…?」

「な、なんじゃ?」

「その手に持ってるものはなーんだ?」

なるべく笑顔を保ったままナゾナゾ風に聞いてみる。

「お、お菓子じゃ。」

「そっかぁ。俺はお菓子で売られたのか…」

落ち込んではいないが落ち込んだ素振りを見せるとアワアワとルルが焦りだした。可愛いなんて思ってないからな?いや、本当に。

「う、売ってないのじゃっ!こ、こんなものこうじゃっ!!」

ていっと言った感じに手の中に収まっていたお菓子を第一王女の足元に投げ捨てた。可愛いけども…。

「ルル。食べ物を無駄にしたらダメだぞ。」

「そうだよ、お姉ちゃん!捨てるならヨヨが食べるかな!」

ショボーンとなってしまったルルを撫で撫でして、投げ捨ててしまったお菓子を拾う。

「お菓子すいません。」

「い、いえ。それは大丈夫ですけど…」

おぉ…王城の廊下でお菓子捨てるなんて激オコだと思ったが案外怒ってなさそうで助かった。

「…すみません。それで、俺に何か用が…?」

一応もう一度謝り、流石にお菓子をポイしてまた無視するのは駄目だろう。という事で聞いてみることにした。

「あっ、えっと~…何でしたっけ…?」

「はい?」

ルルにお菓子を渡してまで名前を聞き出し俺の歩みを止めたと言うのに忘れたというのか。

「その、呼んでも止まってくれなくてムキになってしまったと言いますか…」

「つまり用事はないと?」

優しい優しい俺は笑顔を作ってあげた。多少顔が引きつっているかもしれないがそれは仕方ないだろう。

「ユ、ユウタ…顔が怖いのじゃ。」

「悪い人みたいな顔してるかな。」

俺は無言で自分の顔を触った。触って分かったのだが、笑っているつもりだったが口角が上がっていなかった。俺のポーカーフェイスが見破られる理由がわかった気がする…。

「そ、その…申し訳ありません…。」

「ねーねー!お兄ちゃん!」

謝る第一王女の隣で第二王女がニコニコと俺に話しかけてきた。

「ユリアと遊ぼ!!」

第二王女、いや。ユリアたんと遊ぼう。遊ばずしてなにが男だ!そう俺は心に決めた。

「いいよ。なにして遊ぼうか?」

「おぉ、怖い顔じゃなくなったのじゃ。」

「い、いきなり表情が変わりましたね…」

俺はずっと優しい顔をしているはずなんだけどな…。

「隠れんぼ!」

「断る。」

「ふぇっ?」

つ、つい隠れんぼと言う言葉に反射的に答えてしまった…。俺の過去のトラウマを何も知らないとは言え抉ってくるとは…流石ユリアたんだ。

「あ、あぁ。ごめんね。いいよ、隠れんぼやろうか。」

なるべく隠れんぼは早く終わらせたい。

俺がまだ小学校低学年の頃に隠れんぼをやって隠れていたのに誰も俺を探してくれず放置され、隠れた場所から出てきた頃にはもう誰もいなかった。と言う辛い過去のせいで俺はそれ以来隠れんぼをすることができなくなった。

放置されるのが怖くてとかじゃないからな?

「じゃあ俺が鬼をするから、隠れていいよ。60秒数えるな。1、2、3、4~」

顔を壁に向けてカウントダウンを始めた途端にドタドタと足音が遠ざかっていく。あ、あれ。これ一人の足音じゃなくね?

「58、59、60!」

60秒数え終わり顔を上げるとそこには誰もいなかった。

あれ?もしかしてユリアたんだけじゃなくてルルとヨヨも?…もしかして第一王女もか…?いや、まさか。帰っただけだよな…。

一人で自問自答しながらとりあえず探すために歩き出した。




しばらく廊下を探し歩いたが誰もいなかった。もしかして部屋の中とかも有りなのかな。それなら結構キツイな。とりあえず近くの部屋から開けてみることにした。

「失礼します~…よし。いないな。」

そんな感じでどんどんドアを開けて中を確認しながら進んでいった。

「失礼します~……ん?」

数個目のドアを開けると大きめのベッドが置いてあった。そこにルルがくつろぎながら寝転がっていた。…これ人の家だよね?自室じゃないよね?

「ルル。」

名前を呼んで頭を撫でてみた。ふわっふわな肌触りですなぁ。

「ふふっ。見つかったのじゃ。」

いや、隠れる気なかっただろ!

「ルル、ヨヨと一緒じゃないの?」

「ヨ、ヨヨなんて知らないのじゃ!」

俺の質問に何故か焦った感じで俺の背後を見ているルル。振り向くとそこには大きいクローゼットが。いや、まさかここまで嘘つくのが下手ってことはないよな。何て思いつつ念のためにクローゼットを確認してみた。

「み、見つかっちゃったかな…」

入ってました。

「な、なぜじゃ!なぜわかったのじゃっ!」

いや、本当に。何でわかっちゃったんだろうね…。

「さて。あとはユリアたんだけか。…ルル、ユリアはどこに隠れたの?」

「し、知らないのじゃ。あっ、隣の部屋は見たらダメなのじゃ!」

流石に教えてくれな…隣の部屋かよ。
ルルの頭を感謝の気持ちを込めてひと撫でする。そして隣の部屋のドアを開けた。

ドアの向こうには不自然にもっこり膨らんだ布が置いてあった。絶対コレだろ。

確信した俺はそのままバサッと布を捲ると案の定ユリアたんがうずくまって隠れていた。

「見ーつけた。」

「…」

なぜかユリアは無反応。あ、あれ?気づいてないのかな。

「見つけたよー…?」

「…」

ユリアたんはうずくまったままモゾモゾと芋虫のように部屋の出口に這っていった。

それを見てホラー映画のワンシーンを思い出して鳥肌がたった。あの映画見た後寝れなかったんだよなぁ…。

芋虫歩行で出口まできたユリアたんは、いきなり立ち上がり走り出した。

「まだ捕まってないよー!!」

「えっ」

ズルくない?まぁいい。ユリアたんがその気なら乗ってやるさ。

「ぐへへぇ!待てええぇ!」

「ユウタ…変態なのじゃ。」
「変態かなぁ…」

手をグッパーグッパーしながら幼女を追いかける様はまさにアウトな奴だった。

「きゃあー!捕まるっ~~」

ユリアたんはキャハハと楽しそうに笑いながら廊下を走り続ける。さて。そろそろ捕まえよう。そう思った時に俺のお尻に衝撃が走り転けてしまった。

「痛っ!!」

「貴様!何者だ!どこから入り込んだ!!ユリア王女殿下を追いかけ回すなど万死に値する!!」

声をした方を振り向くと騎士甲冑を着た中年くらいのオッサンと数名のオッサン、つまりオッサン数名がいた。

「えっ、いや。」

「おい!こいつを地下牢に打ち込め!」

数名のオッサンに捕まえられ縄でくくられた。



「何でやねん!!」



俺の叫びは王城に響き渡った。

こうして俺は釈放されてから1日も経たずに別の牢へと打ち込まれたのであった。
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

泥まみれの英雄譚 〜その手が掴んだ温もりは〜

夢見中
ファンタジー
彼は異世界召喚に巻き込まれるが、そこで待っていたのは「ハズレ」の烙印と、城からの追放だった。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...