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第27.2話 とんでもない王子
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(公爵視点)
今日は色んな事があったな。私がスマーシュとイマジーナにミロアと仲良くなれるかもしれないと伝えに行って、二人に喜んでもらえたり、その間にミロアのもとにガンマ王子が勝手に訪問してきたりと、今日一日で私の心が大きく動かされたものだ。
その中でも、ミロアの変化を嬉しく思った。あの子は家族のことを考えてくれるようになったのだから父として嬉しい。あのガンマ王子のことばかり追いかけてきた娘が、あんなにいい方向に成長してくれるとは。
「こんなことなら王家と政略結婚などしないほうが良かったな」
思えば、ガンマ殿下との婚約した時からミロアは成長が止まっていたのかもしれない。そうでなければ、あの王子に愛想をつかした途端に精神面で逞しくなった理由が他に思いつかない。もしかしたら、ミロアの口から聞かされていた以上にミロアは傷ついていたのかもしれない。
「ならば、今度こそ婚約を白紙にしてやる。破棄する形がいいだろうな」
我が屋敷に何の約束もなく訪問してくるなり文句を吐いてきた王子など願い下げだ。この前の学園の暴力沙汰やこの件のこと、そしてその他諸々のことを証言すれば王家と言えども首を縦にふるしかあるまい。ミロアには黙ってはいたが、この前王宮に行ったついでにガンマ殿下のことを徹底的に調べさせてもらったのだからな。
「正直、もう少しあとになるとは思っていたが、向こうから墓穴を掘ってくれるとは相当愚かな王子だったな」
ガンマ殿下のことを調べ上げれば思っていたよりも酷いと言わざるを得ない。学園の成績は中の下、いつも二人の側近とともに一人の男爵令嬢にご執心、そのことで以前いた側近の一人が辞めたらしい。取り巻きになっている者も下級貴族の出自の子息ばかり。典型的な貴族の馬鹿なお坊ちゃんだ。
しかも、過去になるが王宮でも問題となる行動をしていたようだ。なんでも、一人のメイドに重度のセクハラ行為をしていたらしい。今の学園に通う直前の話のようで、怒った国王陛下が厳しく叱りつけた後、メイドは王宮から解雇されたか辞職したとか。とんでもない王子だ。王宮はミロアどころか私でも入る機会は少ないから、把握できなかったことだ。
……本当に政略結婚のことは後悔させてくれる。とんでもない王子と娘を婚約させてしまったのだから。ミロアが一目惚れしたというから婚約に了承したが、もう少し悩むべきだったか。
今日は色んな事があったな。私がスマーシュとイマジーナにミロアと仲良くなれるかもしれないと伝えに行って、二人に喜んでもらえたり、その間にミロアのもとにガンマ王子が勝手に訪問してきたりと、今日一日で私の心が大きく動かされたものだ。
その中でも、ミロアの変化を嬉しく思った。あの子は家族のことを考えてくれるようになったのだから父として嬉しい。あのガンマ王子のことばかり追いかけてきた娘が、あんなにいい方向に成長してくれるとは。
「こんなことなら王家と政略結婚などしないほうが良かったな」
思えば、ガンマ殿下との婚約した時からミロアは成長が止まっていたのかもしれない。そうでなければ、あの王子に愛想をつかした途端に精神面で逞しくなった理由が他に思いつかない。もしかしたら、ミロアの口から聞かされていた以上にミロアは傷ついていたのかもしれない。
「ならば、今度こそ婚約を白紙にしてやる。破棄する形がいいだろうな」
我が屋敷に何の約束もなく訪問してくるなり文句を吐いてきた王子など願い下げだ。この前の学園の暴力沙汰やこの件のこと、そしてその他諸々のことを証言すれば王家と言えども首を縦にふるしかあるまい。ミロアには黙ってはいたが、この前王宮に行ったついでにガンマ殿下のことを徹底的に調べさせてもらったのだからな。
「正直、もう少しあとになるとは思っていたが、向こうから墓穴を掘ってくれるとは相当愚かな王子だったな」
ガンマ殿下のことを調べ上げれば思っていたよりも酷いと言わざるを得ない。学園の成績は中の下、いつも二人の側近とともに一人の男爵令嬢にご執心、そのことで以前いた側近の一人が辞めたらしい。取り巻きになっている者も下級貴族の出自の子息ばかり。典型的な貴族の馬鹿なお坊ちゃんだ。
しかも、過去になるが王宮でも問題となる行動をしていたようだ。なんでも、一人のメイドに重度のセクハラ行為をしていたらしい。今の学園に通う直前の話のようで、怒った国王陛下が厳しく叱りつけた後、メイドは王宮から解雇されたか辞職したとか。とんでもない王子だ。王宮はミロアどころか私でも入る機会は少ないから、把握できなかったことだ。
……本当に政略結婚のことは後悔させてくれる。とんでもない王子と娘を婚約させてしまったのだから。ミロアが一目惚れしたというから婚約に了承したが、もう少し悩むべきだったか。
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