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「この、汚い虫もどき共があああああ!! 我が主に近づくなああああ!! 必殺ヘブンズトルネード!!」


無礼な態度で武器を持って主に詰め寄る気味の悪い黒装束の集団に対して、怒りを爆発させた女傑ジェシカ・シアターが剣を持って立ちふさがり必殺技をぶつけた。


「「「「「うわああああああ!!」」」」

「な、なにぃぃぃぃぃ!?」

「う、嘘だろぉぉぉぉぉ!?」


そして、黒装束の集団はあっという間にたった一人の女性の手で叩きのめされてしまった。しかも、大げさな回転斬りのような技で十秒もしないうちに。

残っているのは、先ほど偉そうにしていたマグーマとアノマだけ。


「ひやあああああ! あんなに集めた男たちがあっという間にぃ! ああ、ま、待って待って! お願い助けて!」

「お、俺が悪かった! これ以上は勘弁してくれぇ!」


殺気まで偉そうにしていたマグーマとアノマは腰を抜かして震えていた。しかし、そんな情けない姿を晒してもジェシカの心には何一つ変わらない。


「ちっ、狼藉者どもめ。お嬢様、この愚かな狼藉者二人を沈めます」

「本当の狼藉者だけど詳しい話を聞きたいから、ほどほどにね」

「かしこまりました。喰らうがいい、必殺チャーミングレイブン!!」


それは、とてつもない速さで剣の切っ先で突いて突いて突きまくる技だった。あまりの速さで剣を突く光景は、無数のカラスが襲いかかってきているような錯覚を思わせる。しかも的確に相手の痛い場所を突いてくる。


「わあああああ!!」

「いやああああ!!」


マグーマとアノマは突然の攻撃になすすべもなく突かれまくった。そして、そのまま動きを止められた。チャーミングレイブンという技は本気の戦いなら殺傷能力抜群の技だったが、死なない程度に手加減したため二人は体中が斬り傷だらけになって動けなくなる程度に済んだ。更に、最強の騎士ジェシカが剣を抜いたため、二人に強烈な恐怖を与えるには十分すぎるものだった。ジェシカがこの国の最強の騎士だっただけに。


「あ、あが……げふっ……」

「い、痛いよぉ……え~ん……」

「さあ、これで同行願いますね?」


リリィが爽やかな笑顔を向けて傷ついたマグーマとアノマに声をかける。美し美女の笑顔なのだがマグーマには悪魔か死神の顔にしか見えなかった。だからこそ、憎悪と畏怖を込めて絞り出すような声で、リリィに聞いてみた。


「お、お前は何なんだ………お前は俺がどうなってもいい、それは分かるが……ここまで、するか……?」
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