203 / 252
第6章 一週間編
『真実』
しおりを挟む
皇帝の演説による『真実』は要約すると以下のものになる。
皇帝の病の正体は、ウルクスという国家転覆をはかった犯罪者が第一皇子アゼルを騙して盛らせた毒によるものだった。
リオルの冤罪事件もアゼルを利用したウルクスの陰謀によるものであり、リオルに一切の罪はない。サーラが介入しなかったのは催眠術を掛けられていたからだった。
そして、城の騒ぎの原因は、リオルの無実を信じる騎士団とウルクス率いる秘密部隊の戦いによるものであった。
つまり、一連の事件は、皇帝に使える臣下同士の『内戦』だったのだ。その戦いにリオルが参戦し、ウルクスたちに利用されて疲弊しきったアゼルも救出して事件の幕を閉じた。
国民たちには、そういうことにしてしまった。
「……その時の戦いで、首謀者のウルクスは討伐することができた。愚息アゼルも救出することができたのだ。それら全ては、リオルとリオルを信じる部下たちによるものだ。我が娘は見事無実を証明できたのだ」
皇帝が真っ直ぐに突きつけた『真実』に、群衆の反応は様々だ。泣く者と喜ぶ者、肩を抱いて震える者とホッと安心する者、ただただ絶望に打ちひしがれて青ざめる者と怒りで顔を赤くする者、現実を受け入れる者と受け入れない者。
皇帝は、始まる前から様々な反応をする群衆を見つめながらも、そのまま重い口を開く。
「余が語ったことは、すべて事実だ。残念ながら、アゼルのことも事実である。根拠のひとつとして先日、そのアゼルが知っていることを全て話したのだ。ウルクスに騙されて犯してしまった己の罪と共にな」
「そ、そのアゼル様はど、どうなったのでしょうか!?」
一人の小太りな中年男性が緊張しながらも、誰もが抱いたであろう疑問を代弁した。
「アゼルは利用されたとはいえ、余に毒を盛り、妹にその罪を着せてしまった。その罪はあまりにも大きい。よって、北の塔に幽閉することが決まった」
「……っ!」
北の塔とは、罪を犯した帝国の重要人物や皇族が入れられる牢屋を代用した場所だ。一度はいれば二度と出られないとも言われている。そこにアゼルが入ったということの意味を考えただけで中年男性は言葉を発せられなくなった。
「愚息アゼル及びウルクスの暴走を許し、我が国民に不安を与えてしまったこと自体余の責任なのだ。本当に申し訳ない!」
頭を深々と下げる皇帝を見て群衆は「そんなことない! 悪いのは反逆したウルクスだ!」「陛下は良い皇帝ですから、謝らないでください!」「卑怯な反逆者が悪いんだ!」皇帝を次々と擁護し始めた。
ただ一人、黒髪黒目の少年ローグ・ナイトを除いては。
皇帝の病の正体は、ウルクスという国家転覆をはかった犯罪者が第一皇子アゼルを騙して盛らせた毒によるものだった。
リオルの冤罪事件もアゼルを利用したウルクスの陰謀によるものであり、リオルに一切の罪はない。サーラが介入しなかったのは催眠術を掛けられていたからだった。
そして、城の騒ぎの原因は、リオルの無実を信じる騎士団とウルクス率いる秘密部隊の戦いによるものであった。
つまり、一連の事件は、皇帝に使える臣下同士の『内戦』だったのだ。その戦いにリオルが参戦し、ウルクスたちに利用されて疲弊しきったアゼルも救出して事件の幕を閉じた。
国民たちには、そういうことにしてしまった。
「……その時の戦いで、首謀者のウルクスは討伐することができた。愚息アゼルも救出することができたのだ。それら全ては、リオルとリオルを信じる部下たちによるものだ。我が娘は見事無実を証明できたのだ」
皇帝が真っ直ぐに突きつけた『真実』に、群衆の反応は様々だ。泣く者と喜ぶ者、肩を抱いて震える者とホッと安心する者、ただただ絶望に打ちひしがれて青ざめる者と怒りで顔を赤くする者、現実を受け入れる者と受け入れない者。
皇帝は、始まる前から様々な反応をする群衆を見つめながらも、そのまま重い口を開く。
「余が語ったことは、すべて事実だ。残念ながら、アゼルのことも事実である。根拠のひとつとして先日、そのアゼルが知っていることを全て話したのだ。ウルクスに騙されて犯してしまった己の罪と共にな」
「そ、そのアゼル様はど、どうなったのでしょうか!?」
一人の小太りな中年男性が緊張しながらも、誰もが抱いたであろう疑問を代弁した。
「アゼルは利用されたとはいえ、余に毒を盛り、妹にその罪を着せてしまった。その罪はあまりにも大きい。よって、北の塔に幽閉することが決まった」
「……っ!」
北の塔とは、罪を犯した帝国の重要人物や皇族が入れられる牢屋を代用した場所だ。一度はいれば二度と出られないとも言われている。そこにアゼルが入ったということの意味を考えただけで中年男性は言葉を発せられなくなった。
「愚息アゼル及びウルクスの暴走を許し、我が国民に不安を与えてしまったこと自体余の責任なのだ。本当に申し訳ない!」
頭を深々と下げる皇帝を見て群衆は「そんなことない! 悪いのは反逆したウルクスだ!」「陛下は良い皇帝ですから、謝らないでください!」「卑怯な反逆者が悪いんだ!」皇帝を次々と擁護し始めた。
ただ一人、黒髪黒目の少年ローグ・ナイトを除いては。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜
伽羅
ファンタジー
事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。
しかも王子だって!?
けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。
助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。
以前、投稿していた作品を加筆修正しています。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる