じまんのおとうさん

はなや。

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1章

haruka.

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「2年2組、しゅっせきばんごう17ばん、よこいはるか。わたしのお父さんは、りょうりがじょうずです。おわり!」



その続きは言えなかったのだ。言えない理由は22歳になった今ではもう思い出せないくらいにその記憶は色あせていた。



「はるか、本当に呼ばなくていいの?後悔しない?」

「しないよ大丈夫。だってもうずっと会ってないんだよ?」

「......んーでも挨拶だけでもしたほうがいいよ」

「必要ない。ずっとそう言ってるでしょ。もう...」

夕日のオレンジがカーテンの隙間から漏れる。小さなアパートのフローリングに座り込む私の隣で雅斗は納得のいかないような顔をした。


お父さんとは18歳の頃から会ってない。元々仲が良くなかった。進路で揉めてそれがきっかけになってそれっきり。電話もメールもしていなければ今どこで何をしているのかすら知らない。

お父さんとの思い出は本当に最悪なものばかりで、私は昔から父のことが大嫌いだった。

そんな人を私と雅斗の結婚式に呼ぶなんて...。

「雅斗、こればかりはどうしても無理なの。ごめんね。私ちょっと夜ご飯のお買い物してくるね」

お父さんのことを考えていると昔の嫌な記憶が蘇ってきてすごくつらい気持ちになる。

「そっか......あ、僕も行くよ」

「ううん。いいの。ちょっとひとりで歩きたい気分なんだよね」

心配そうな目を向ける雅斗を押し切り、私は夕日のオレンジが空気に溶け始めた薄暗い場所を歩き始めた。
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