1 / 1
1章
haruka.
しおりを挟む
「2年2組、しゅっせきばんごう17ばん、よこいはるか。わたしのお父さんは、りょうりがじょうずです。おわり!」
その続きは言えなかったのだ。言えない理由は22歳になった今ではもう思い出せないくらいにその記憶は色あせていた。
「はるか、本当に呼ばなくていいの?後悔しない?」
「しないよ大丈夫。だってもうずっと会ってないんだよ?」
「......んーでも挨拶だけでもしたほうがいいよ」
「必要ない。ずっとそう言ってるでしょ。もう...」
夕日のオレンジがカーテンの隙間から漏れる。小さなアパートのフローリングに座り込む私の隣で雅斗は納得のいかないような顔をした。
お父さんとは18歳の頃から会ってない。元々仲が良くなかった。進路で揉めてそれがきっかけになってそれっきり。電話もメールもしていなければ今どこで何をしているのかすら知らない。
お父さんとの思い出は本当に最悪なものばかりで、私は昔から父のことが大嫌いだった。
そんな人を私と雅斗の結婚式に呼ぶなんて...。
「雅斗、こればかりはどうしても無理なの。ごめんね。私ちょっと夜ご飯のお買い物してくるね」
お父さんのことを考えていると昔の嫌な記憶が蘇ってきてすごくつらい気持ちになる。
「そっか......あ、僕も行くよ」
「ううん。いいの。ちょっとひとりで歩きたい気分なんだよね」
心配そうな目を向ける雅斗を押し切り、私は夕日のオレンジが空気に溶け始めた薄暗い場所を歩き始めた。
その続きは言えなかったのだ。言えない理由は22歳になった今ではもう思い出せないくらいにその記憶は色あせていた。
「はるか、本当に呼ばなくていいの?後悔しない?」
「しないよ大丈夫。だってもうずっと会ってないんだよ?」
「......んーでも挨拶だけでもしたほうがいいよ」
「必要ない。ずっとそう言ってるでしょ。もう...」
夕日のオレンジがカーテンの隙間から漏れる。小さなアパートのフローリングに座り込む私の隣で雅斗は納得のいかないような顔をした。
お父さんとは18歳の頃から会ってない。元々仲が良くなかった。進路で揉めてそれがきっかけになってそれっきり。電話もメールもしていなければ今どこで何をしているのかすら知らない。
お父さんとの思い出は本当に最悪なものばかりで、私は昔から父のことが大嫌いだった。
そんな人を私と雅斗の結婚式に呼ぶなんて...。
「雅斗、こればかりはどうしても無理なの。ごめんね。私ちょっと夜ご飯のお買い物してくるね」
お父さんのことを考えていると昔の嫌な記憶が蘇ってきてすごくつらい気持ちになる。
「そっか......あ、僕も行くよ」
「ううん。いいの。ちょっとひとりで歩きたい気分なんだよね」
心配そうな目を向ける雅斗を押し切り、私は夕日のオレンジが空気に溶け始めた薄暗い場所を歩き始めた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
『☘ 好きだったのよ、あなた……』
設楽理沙
ライト文芸
2025.5.18 改稿しました。
嫌いで別れたわけではなかったふたり……。
数年後、夫だった宏は元妻をクライアントとの仕事を終えたあとで
見つけ、声をかける。
そして数年の時を越えて、その後を互いに語り合うふたり。
お互い幸せにやってるってことは『WinWin』でよかったわよね。
そう元妻の真帆は言うと、店から出て行った。
「真帆、それが……WinWinじゃないんだ」
真帆には届かない呟きを残して宏も店をあとにするのだった。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
✿ 私は夫のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる