『緑の客人と52枚の記憶』

かっちゃん

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緑の客人と52枚の記憶

第二章 ミドリとの日々

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翌日も、その次の日も、緑のカメムシは来た。
 僕はいつしか彼を“ミドリ”と呼ぶようになっていた。

 ミドリは神経衰弱が始まると、カードの上をゆっくり歩く。
 僕が迷っているときは特定の札の前で止まり、正解すると嬉しそうに翅を震わせた。

 もちろん、虫が人の記憶を理解するわけはない。
 でも、ミドリと過ごす時間は、僕の集中力と記憶力を確実に引き上げてくれた。

 勉強にも変化が表れた。
 単語を覚えるスピードが上がり、長文の内容もすばやく頭に入る。
 過去問の正答率もみるみる上がった。

「お前のおかげかもな、ミドリ」

 窓辺で丸くなっている彼に声をかけると、翅が小さく震えた。
 まるで照れているみたいで、僕は思わず笑ってしまった。

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