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01 男同士の挨拶はキスで

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市長指示事項: 
・我が市は、国際都市として世界に恥じぬよう、新たな挨拶の条例を制定する。
1)キスによる挨拶を強く奨励する。
2)異性間は、問題となり得るという意見を鑑み、同性間のみとする。
以上。


****


市内のとある学校。
朝のホームルーム前の光景。

(琢也のやつ!! また、俺以外の奴とキスしやがって!)

町谷 理まちたに おさむは、クラスメイトの黛 琢也まゆずみ たくやに向かって怒りをあらわにした。

「おはよ! ちゅ!」
「琢也、俺も!」

「いいよ、ちゅ!」

琢也は、中性的な可愛い容姿に明るい性格で、クラスのマスコット的な存在である。
それで、おはようのキスを求めて、男子達は琢也に群がる。
しかし、それを理は気にくわない。

(琢也め、一度、ガツンと言ってやる!)


****


理は、屋上で琢也を待ち構えていた。

「何の用? 理」
「……こっちへ来いよ」

理は、突然、琢也の体を引き寄せた。
そして、そのまま唇を琢也の唇に押し当てた。

「ん-っ! ぷはっ、な、何? いきなり」

琢也は、理の体を引きはがした。
キッと、目を見開いて理を睨み、自分の唇を拭った。

「なんだよ、別にいいだろ? 挨拶なんだからよ!」
「……こんな乱暴なの、挨拶じゃないよ!」

琢也は、怒って口を尖らせた。

「いいか? 二度と俺以外の奴とキスするな! いいな?」
「ど、どうして!」

「どうしてもだ。分かったな!」

理は、腕組みをして琢也を見下ろす。
理より一回り小さな琢也を威圧しているのだ。

琢也は、当初はビクッとしたものの直ぐに反撃に転じた。

「……もしかしてさ、理って」
「なんだよ」

「ジェラシー? 僕がモテモテだから」

にたっと笑う琢也。
理は、カーッとなって顔を真っ赤にした。

「は、はぁ! 何いってるんだ! お前!」
「やーい、ジェラシー! ジェラシー!」

理は、ぷっつんと切れた。

「ふざけるなよ!」

理は、衝動的に琢也を床に押し倒した。
そして、琢也の両手の自由を奪い、抑え込む。

両者睨み合う。

「……こんな力ずくなんて、理、やっぱり、図星なんだ」
「まだ言うのかよ! いいか、これ以上、俺をコケにすると、お前の事、犯すぞ!」

「ふん、僕は、別に理なんて怖くないもん! 出来るものならやってみなよ!」
「なんだと!!」

理は、冷静さを失った。

琢也のベルトを緩め、ズボンの隙間にスッと手を差し込んだ。
そして、目的の場所、お尻の割れ目辺りで手を止めた。

「いいか! ここに、ぶち込むんだぞ! ここに!」

理は、そう言いながら、乱暴に割れ目に沿って指を擦り出す。

「……や、止めて……理。ぼ、僕、そんな事をされたら……」

琢也は、体をよがらせながら、泣きそうな声を出した。
と、その時、理はハッとして手を止めた。そして、ひっこめた。

(し、しまった。欲情にかまけて、やり過ぎた……)

理は、すくっと立ち上がり、琢也を見下ろして言った。

「次は、これじゃ済まないぞ……いいな、琢也!」

苦し紛れの捨て台詞。
理は、罰が悪そう顔をして、何事も無かったようにそそくさとその場から立ち去った。



一人残された琢也。
むくっと起き上がった。
冷静な表情で、独り言を言った。

「もう! 理は、奥手なんだから! ここまでしたら後はやるだけでしょ! 意気地なし!」

琢也は、ズボンとパンツをさらにずらし、そして、自分の中指をそっとアナルに挿し込んだ。

「……理、違うよ、こうするんだよ……そう、ここ。あっ、気持ちいっ、はぁ、はぁ」

我慢できずに、アナニーをはじめる琢也。
甘い吐息を吐きながら、淫らな顔になっていく。

(理、好き……大好き……あっ、いくっ)


****


別の日。

(来た来た!)

琢也は、理が教室に入ってくるのを見計らい、おはようのキスの順番待ちをしていた男子を引き寄せた。
そして、派手に唇を合わせる。

「はむっ……んっ、んんっ」

琢也は、相手の子の口の中に舌を突っ込み蹂躙していく。
濃厚なディープキス。

「ぷはっ……おはよ!」

その男子は、何があったか分からず、呆然とした表情で「……お、おはよ」とだけ答えた。
すぐに、理がやって来た。

「おい、琢也! ちょっと来い!」
「……な、何?」

腕を痛いくらい強く掴んでくる。

「……い、痛いよ」

理は、何も言わずに、怖い顔で琢也を睨んだ。
不安げな表情を浮かる琢也だったが、

(ぷぷぷ、理って単純!)

と、内心、ほくそ笑んでいた。


****


屋上で問い詰められる。

「琢也、お前、どう言うつもりだ!! 言ったよな!! 俺以外のやつとはキスするなって!」
「知らない!」

「しらばっくれんな! お前の唇は俺のもんだ!」

そういうと、理は、先ほどの琢也のディープキスさながらの激しいキスを迫ってきた。
無我夢中に舌を突っ込んでくる。
琢也は、されるがままに受け入れた。

「……はぁ、はぁ……どうだ、わかったか!」

ヨダレを拭いながら、理はドヤ顔で言った。
琢也は、どうというのでもなく、さらっと返した。

「でも、理とのキス。そんなに気持ちよくないな……あっ、言っちゃった!」
「何だと!?」

「僕、気持ちいい事したいもん! 理とじゃね……」
「このやろう! いいだろう、キスより気持ちいい事してやるよ!」

「そんな事出来る訳ないよ!」
「出来るさ、見てろ!!」


****


抱き合う、理と琢也。
二人は、片時も唇を離さずに、一枚、一枚と服を脱ぎ去っていく。
そして、一糸纏わぬ姿になると、理は琢也に覆い被さり、言った。

「いいか、お前が望んだんだからな……気持ちよくなりたいって……だ、だからこれからする事は……」
「いいから早くすれば? あれ、もしかして怖いの?」

琢也の挑発。
さり気なく、怖気づきそうな理の背中を押してやる。

(もう、世話が焼けるなぁ。ほら、頑張って、理……)

「ああ、やってやるよ!!! 後悔するなよ!!」

理は、目をギュッとつぶり、大声で怒鳴った。


****


「う……うう、すごい。何だこれ……琢也のケツ穴の中、ぬちゃぬちゃして気持ちいいっ……」

正常位で、繋がった二人。
理は、見よう見まねの腰の振りを懸命に続ける。
そして、初めてのアナルセックスの快感に、驚きと感動で胸がいっぱいになっていた。

琢也もまた、理と結ばれた事に、特別な思いを抱いていた。

(ふふふ、頑張ってる理の顔、可愛い。ドキドキする。いじっぱりだけど、一途に僕の事を思ってくれる、優しい理)

理は、穏やかな表情の琢也に違和感を覚え、腰の動きを止めて言った。

「お、お前、気持ちよくねぇのかよ?」
「とっても気持ちいいよ……僕のちんちん硬くなってるの分かるでしょ?」

「け、ケツの方はどうなんだ?」

琢也は、理の首に腕を巻き抱きつく。

「すごく気持ちいい!」
「バ、バカ! 抱きつくな! やばっ、奥まで入って……あっ、我慢できねぇ……うっ」

「え、もう、いっちゃうの?」
「うるせぇ! い、いくっ……うっ」

理は、腰を突きだし精を放つ。
それは、琢也の中へと広がっていく。

琢也は自分の下腹部を抑えて、ドクドクと自分の中に注がれていく愛のエキスを感じていた。

(熱い、なんて熱いんだろう……これが愛されてるって事なんだ……こんなに気持ちいいの、僕、初めて……ぼ、僕も、い、いっちゃう……)

「あーっ!」 



****



理は、琢也を自分の胸に抱いて言った。

「いいか、琢也。これからは俺の言うことは聞くんだぞ、いいな?」

琢也は、小悪魔的な表情を浮かべた。

「どうしようかな……」
「何だと!?」

「僕、他の子ともエッチして気持ちいいか試したくなっちゃった!」
「お前!!!」

理は、ギシギシと歯ぎしりをした。
しかし、すぐに冷静さを取り戻し、大きなため息をついた。

「ふうっ……そうかよ……分かったよ」
「え?」

琢也は、逆に驚いて理の顔を直視した。

(どうして? 僕が他の子とエッチしてもいいの?)

不安が頭をよぎる。
体を許した途端に離れていく。
そんな大人の話を聞いた事があったからだ。

琢也は、胸がキューッと締め付けられて痛くなり、苦しくなり、しまいには涙が出てきた。

(僕は、こんなに理の事、大好きなのに……)

長い沈黙。
それを破ったのは、理だった。

「はははは!」

急に大笑いをする理。
琢也はビクッとした。
理は、琢也に勝ち誇った表情を向けた。

「琢也! 俺はいい事を思いついたぜ! いいか、今日から俺はお前と毎日セックスしてやる! ふふふ、それなら他の奴とやる時間なんてないからな! あははは」

琢也の体からすべての力が抜けた。

「……理の意地悪……」

そこまで言って喉を詰まらせた。
安堵、喜び、そして幸せな気持ちが湧きだし、胸いっぱいになったからだ。

理は、そんな琢也の気持ちを知ってか知らずか、ニヤッ、と不敵に笑い、その後、してやったと大笑いをした。

「ふっ、はははは!」

(もう、理はずるいんだから!……ふふっ……でも、これからも僕をずっと愛してね。大好きだよ、理!)

琢也は、理の体を力の限りギュッと抱き締めた。

「ねぇ、理」
「ん?」

「キス、しようよ!」
「はぁ? なんで今なんだ?」

「いいの! これからも宜しくって挨拶だから!」

琢也は、無理やり理の唇に自分の唇を合わせた。
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