私立探偵と男達の愛

いちみりヒビキ

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(07) 美雪 2 甘美な躾

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「ではお大事にしてくださいね」
「はい、先生。いつも有難うございます」

美雪は、丁寧にお辞儀をするお年寄りを見送った。
お年寄りが診察室を出ていくと、美雪は大きなため息を一つついた。

それと同時に、そのため息が、あの男を待ち望んでいる自分であると気が付き腹を立てた。

(くそっ……私が特定の奴に心を奪われるなんて……)


あの男を見た日から既に数日が経っていた。
あれ以来、あの男は一度もクリニックを訪れていない。

美雪は、柄にもなく背もたれに寄りかかり目を閉じた。
それは普段滅多に人に見せない姿。


そこへ丁度、注射器の替えを運びにきた女性看護師が声を掛けてきた。

「院長、お疲れのようですね。少し休憩をお取りになりますか?」
「いや、大丈夫だよ。患者さんを待たせたらいけない」

美雪は何事も無かったように、スッと姿勢を正す。
看護師は、心配そうな顔で言った。

「もう、院長は真面目過ぎます!」
「ははは。そんな事ないよ」

「あたしは院長の事が心配で心配で……」

看護師は、美雪の手をそっと触った。
美雪は、その手に優しく触れると、「ありがとう……」と小首を傾げて微笑んだ。

「まぁ……」

看護師は頬をポッと赤らめて足早に去っていく。
美雪は、優しい笑顔のまま彼女を見送った。

しかし、美雪の手は水面下で欲望のまま動く。

自分のお尻に手を当てると、アナルプラグをギュッ、ギュッ、と奥へと食い込ませた。

(たった一度、あの男に犯される想像をしただけなのに……それだけなのに、またあの男の事を思い出してしまう)

美雪の脳裏には、あの男のすべてを見通すような目が映っていた。
体が、ビクっと反応する。

(私が望むのは、見知らぬ男達と一夜だけの楽しみを味わう事……私は特別で崇められるべき存在なのだ。なのに、この心に居続けるあの男が許せん……)

そんな思考とは裏腹に、美雪の手は激しく自分のアナルを虐める。
そして、半開きになった口にもう片方の手の指をいれた。

いやらしく、自分の口の中を蹂躙する。
はぁ、はぁ、と喘ぎ声が漏れ出し、口の際から涎がだらだらと垂れた。

美雪は、ふと思い出す。
かつて、自ら喜んで体を許していた相手の事を……。

(……私の心を独占していいのは、貴方だけだ……)


****


美雪は、両手首を縛られたまま目隠しをさせられていた。
体には、亀甲縛りのロープが食い込み、ところどころ肌に赤身が指す。

その美雪に体を、中年の男が力の限り犯す。

「はぁ、はぁ、美雪、だめだろ! 何を感じているんだ!」
「ご、ごめんなさい、ぼ、ボク……気持ちよくて」

「馬鹿もの! これは罰なんだ、お前の中の悪い虫を追い出すための……」
「は、はい……ごめんなさい……でも、だ、ダメ……ボク、いっ、いくっ」

美雪とその中年の男とは幾度となく体を重ねたのだった……。




美雪は、物心付く前に両親を失い、孤児になった。
親戚に身寄りはなく天涯孤独。
しかし、美雪の前に運よく子宝に恵まれなかった夫婦が現れ、そこへ引き取られる事になった。
そこは、小さなクリニックを開いている開業医の家だった。


美雪は幸せな幼少期を過ごした。
養父、養母となった二人が我が子のように可愛がってくれたからだ。

だから、美雪は子供ながらに、彼らが望むことを叶えようと誓った。
それは、医者を継ぐ事。
そのために、美雪は一生懸命に勉強した。


ところで父はとても忙しい人だった。
医療の為なら身を粉にして働く事をいとわない。

まさに正義感の塊のような人で、美雪は、そんな父をとても尊敬していた。
それは母とて同じで、看護師として父を懸命に支えた。

そんな多忙な家庭だった為、美雪は一人で過ごす事が多かった。
美雪は、父に甘えたい気持ちを必死に堪えた。

「よくやったな! 美雪!」
「はい! お父さん!」

勉強で褒められる度に見せる父の微笑みだけが何よりのご褒美。
美雪は、それだけで満足した。



ところがある日。
美雪は、うっかり、テストで名前を書きそびれ0点を取ってしまったのだ。
これには、さすがの温厚な父も黙ってはいなかった。

美雪は正座をさせられお叱りを受けた。

「たるんでいるぞ、美雪! そんなんじゃ、希望の学校に入れないぞ!」
「……ごめんなさい! お父さん、許して下さい!!」

美雪は、泣きながら訴えかけた。
小一時間は叱られただろう。

脚がしびれて動かくなる。
でも、美雪は内心、嬉しくてしかたなかった。


父は、貴重な時間を割いて自分に構ってくれたのだ。
美雪は感動で胸が詰まり、今までにない興奮を覚えた。

それからというもの、美雪は定期的にテストの点数を落とすようになっていった。
その度に父にお叱りを受ける。

「ごめんなさい! ごめんなさい!」

美雪は、謝りながらもいつしか勃起している自分に気が付いた。
その興奮は、性の目覚め、そのものだったのだ。

「お父さん、ボクは悪い子なんです! もっと、もっと、叱ってください!」

父は、そんな美雪の事を素直な子だと思ったのだろう。

「いいよ。次からは頑張りなさい」

そんな風に優しく励ましてくれた。
しかし、美雪はそんな優しさは求めてない。
美雪は、頑として首を横に振り、父に訴えかけた。

「ボクの中には、悪い虫がいるんです。自分ではどうしようもないんです。お父さん、どうか、退治してください!」

美雪の熱い願いに、とうとう父は折れ、美雪の願いを聞き入れた。

「……わかった、美雪にはもっと厳しく躾をする必要があるのかもな」
「はい! お父さん!」

それからは、美雪へのお叱りはどんどんエスカレートしていった。
当然ながら美雪のリクエスト。

縛り、鞭、スパンキング。
美雪は、おねだりをして、もっと、もっと、と懇願した。

そして、美雪はとうとう自分のアナルを指で広げ父のペニスを求めた。

「お願いします。お父さん、ボクを救ってください……」

父とのセックスは夢のようだった。
ずっと甘えたかった父とのふれあい。

甘い時間……。


そして、それはいつしか美雪と父は互いの体がなくてはならない程の存在となった。
また、父の手を煩わせたくない一心で、自分で亀甲縛りを覚えたのもこの頃の事である。

しかし、幸せな日々は、美雪が研修医になった頃に終わり告げた。
父は他界したのだ。

まさに医者の不養生といえるもの。
母も後を追うようにこの世を去り、美雪は一人取り残された。

そして美雪は、両親の意志を継ぎ、クリニックを受け継いだのだった。


****


美雪は、父との甘い日々を思い浮かべるうちに、いつしかズボンとパンツを脱ぎ捨てていた。
そして、事務机の上に両足を広げ、自分の指でアナルをこねくり回す。

はぁ、はぁ、と荒い息。

もう一方の手は、服の上から乳首を弄る。
固くなった乳首の先がコリコリして、擦る度に快感の電気が走る。

そして、その手は勃起したペニスへ。
先っちょからは、ぬるぬるした透明のお汁が洪水にように吹き出していた。

美雪はそれを指に絡めてアナルへ塗りたくり、更に激しくアナルを攻めて行く。
とろとろになった肉壁が敏感に反応し、溜まりに溜まった性欲の高まりは限界ぎりぎり。

「あっ……だ、だめ……お父さん」

今はまだ診察時間である。
次の患者さんが診察室に入ってきたら、一貫の終わり。

医師生命は途絶え、変態医師として社会から抹殺されるだろう。
しかし、美雪は構わずにアナニーを続ける。

美雪は、父の顔を思い浮かべていた。

「お父さん、ボクはまだ悪い子なんです。叱って……お願い……叱ってください……あっ、いくっ……」

美雪は、目じりに涙をうっすら浮かべて机に突っ伏した。

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