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オーパーツ、動く
湿地帯の目覚め 1
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「おーおー、すっげぇな。歩兵が森の中にわんさかいるよ」
茂みの中に伏せていると、ずっと草と土のにおいが鼻を刺激してくる。
こんな汚れることはしたくないし、今にでも澄んだ夜の空気を吸いたい。
だけど偵察任務は見つからないのが前提なのだから、こんなことばかりしなきゃいけない。
こんな戦争、さっさと終わってくれないだろうか。そんなことばかり考える。
「あっち側の兵士はどうせ酒盛り中だろう? ハミース」
ハーミスはさっきからでかい体をずるずると動かしながら敵の動きを記録している。
親父からもらったと豪語するスコープを覗いて、敵の数と兵器を確認するこの任務。
あまり適しているとは思えない図体でちょこまかと動き回るのは、まるででかい亀だ。
「あぁ、見事に浮かれてるよ。俺たちが右側から回り込んでるっていうのにのんきなもんだ」
「俺も酒が飲みたいもんだ。一発、頭がくらくらするような強い酒をよ」
「あんなもの、マジでよく飲めるよな。気が狂ってんじゃねぇのか?」
「馬鹿、普通の奴は二杯くらい一発でいけるんだよ」
彼は酒が飲めない。本当につまらない相棒だ。
オーケグン西部で発生したノースメキアン軍とサマリア公国軍との戦闘は、平原を挟んだ両陣営のにらみ合いで二日が過ぎた。
既に両軍とも後方からの援軍により十分な歩兵はそろっている。が、サマリア公国軍は肝心の投石弾部隊が到着しておらず、遠距離攻撃が未だ行えない戦況。
一刻も早くやってきてもらいたいものだが、偵察部隊からの情報によると相手方はさらなる援軍を要請。本土からも第三派遣軍が上陸を試みているという話もある。
この戦争、泥沼化しそうだ──生きて帰ろうとも思わないが。
「エーケンス、それよりこんな話を聞いたことはないか?」
「なんだ」
唐突にスコープから目を離したハーミスが、目をこすりながら話をした。
「先住民族の生き残りが言ってたんだが、この辺りには数万年前に壊滅したかつての大陸の一部が組み込まれているらしいぜ」
「かつての大陸の一部?」
「そうそう、俺たちが住んでる大陸の一つ前の大陸だよ。大戦争でバッキバキに割れちまったらしいけど、一部は海底火山の噴火で浮き上がってきたんだってよ」
「なんだそれ、おとぎ話じゃあるまいし。真面目に信じてたのかそんな話」
小馬鹿にしたら、彼は不機嫌そうにそっぽを向いた。
「信じなくていいさ、俺は俺で信じたいものがあるんだ」
「強情だな」
はぁ、とため息をついて敵の動向を探る。
こんな戦争に巻き込まれるくらいなら、いっそあのまま野垂れ死にで一生を終えればよかっただろうか──そっちの方がいい気もするな。
上の偉い奴らはあまり賢くないようで、どの国の軍もノースメキアン相手にまともに勝利することができていない。こんな島あげりゃいいのに、何が国際貢献だ。
「それより、いい感じにあいつらの事監視できるトコ、ねぇかな」
ハーミスはスコープ偵察はうんざりといった様子で、敵を指しながらそういった。もっと近くがいいのだろう。
「移動するのか?」
「こんな茂みにいたら、見回りが来ちまうだろ。ちょうど月に雲がかかるころだ、移動しよう」
「お前にしては賢いよ」
ハーミスは嫌そうな顔をしながらも、這いながら移動し始めた。自分も後に続こう。
茂みの中に伏せていると、ずっと草と土のにおいが鼻を刺激してくる。
こんな汚れることはしたくないし、今にでも澄んだ夜の空気を吸いたい。
だけど偵察任務は見つからないのが前提なのだから、こんなことばかりしなきゃいけない。
こんな戦争、さっさと終わってくれないだろうか。そんなことばかり考える。
「あっち側の兵士はどうせ酒盛り中だろう? ハミース」
ハーミスはさっきからでかい体をずるずると動かしながら敵の動きを記録している。
親父からもらったと豪語するスコープを覗いて、敵の数と兵器を確認するこの任務。
あまり適しているとは思えない図体でちょこまかと動き回るのは、まるででかい亀だ。
「あぁ、見事に浮かれてるよ。俺たちが右側から回り込んでるっていうのにのんきなもんだ」
「俺も酒が飲みたいもんだ。一発、頭がくらくらするような強い酒をよ」
「あんなもの、マジでよく飲めるよな。気が狂ってんじゃねぇのか?」
「馬鹿、普通の奴は二杯くらい一発でいけるんだよ」
彼は酒が飲めない。本当につまらない相棒だ。
オーケグン西部で発生したノースメキアン軍とサマリア公国軍との戦闘は、平原を挟んだ両陣営のにらみ合いで二日が過ぎた。
既に両軍とも後方からの援軍により十分な歩兵はそろっている。が、サマリア公国軍は肝心の投石弾部隊が到着しておらず、遠距離攻撃が未だ行えない戦況。
一刻も早くやってきてもらいたいものだが、偵察部隊からの情報によると相手方はさらなる援軍を要請。本土からも第三派遣軍が上陸を試みているという話もある。
この戦争、泥沼化しそうだ──生きて帰ろうとも思わないが。
「エーケンス、それよりこんな話を聞いたことはないか?」
「なんだ」
唐突にスコープから目を離したハーミスが、目をこすりながら話をした。
「先住民族の生き残りが言ってたんだが、この辺りには数万年前に壊滅したかつての大陸の一部が組み込まれているらしいぜ」
「かつての大陸の一部?」
「そうそう、俺たちが住んでる大陸の一つ前の大陸だよ。大戦争でバッキバキに割れちまったらしいけど、一部は海底火山の噴火で浮き上がってきたんだってよ」
「なんだそれ、おとぎ話じゃあるまいし。真面目に信じてたのかそんな話」
小馬鹿にしたら、彼は不機嫌そうにそっぽを向いた。
「信じなくていいさ、俺は俺で信じたいものがあるんだ」
「強情だな」
はぁ、とため息をついて敵の動向を探る。
こんな戦争に巻き込まれるくらいなら、いっそあのまま野垂れ死にで一生を終えればよかっただろうか──そっちの方がいい気もするな。
上の偉い奴らはあまり賢くないようで、どの国の軍もノースメキアン相手にまともに勝利することができていない。こんな島あげりゃいいのに、何が国際貢献だ。
「それより、いい感じにあいつらの事監視できるトコ、ねぇかな」
ハーミスはスコープ偵察はうんざりといった様子で、敵を指しながらそういった。もっと近くがいいのだろう。
「移動するのか?」
「こんな茂みにいたら、見回りが来ちまうだろ。ちょうど月に雲がかかるころだ、移動しよう」
「お前にしては賢いよ」
ハーミスは嫌そうな顔をしながらも、這いながら移動し始めた。自分も後に続こう。
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