252 / 271
第0部「RINNE -友だち削除-」&第0.5部「RINNE 2 "TENSEI" -いじめロールプレイ-」
第14話 出席番号男子7番・篠原蓮生 ④
しおりを挟む
「そう、俺たちはこのゲームが始まる前、ガチャをひくためにいじめロールプレイのアプリを一度立ち上げただけだと思い込んでるけど、指令メールが届くたびにいじめロールプレイのアプリを立ち上げてメールを見てたんだ」
確かにこのゲームのためにぼくたちに支給された携帯電話に、このゲームと同じ名前のアプリが入っているというのに、それがガチャを引くだけのためのアプリだというのはおかしな話だった。いじめロールプレイのアプリが、指令メールをぼくたちにチェーンメールという形で指令メールを毎回最初の送信者を変えては送信し、ぼくたちはいじめロールプレイのアプリでそのメールを開いていた。いじめロールプレイのアプリがその名の通りこのゲームを支配していたのだ。
「最初の指令に俺たちは誰も従わなかった。だからたぶん1回1回の指令メールが脳に及ぼす影響は大したものじゃないんだと思う。けれどメールは一時間に一回必ず届く。内藤の復讐タイムが1日に4回あるから、それを除いて一日に20回も見ることになる。指令メールを見れば見るほど俺たちの脳は電子ドラッグに侵されるってわけだ」
篠原はそう言って、
「あと何日このゲームが続くかわからないけど、指令メールはもう見ない方がいい」
と続けた。
「そんな、じゃあどうしたらいいんだ?」
ぼくの問いに、
「当番制にするとか?」
和泉が答えた。
「それもいいかもしれないな。残った連中で順番を決めて、担当者が指令の内容を他の連中に伝えればいい。そうすれば俺たちは電子ドラッグの影響を毎時間受けずに、十時間とか二十時間に一回で済むようになる。けど当番制には問題がある」
篠原のその言葉に、今度はぼくが続けた。
「誰かが嘘の指令を伝えるかもしれないってことか」
「そういうこと。もしそいつがいじめの首謀者ならなおさらだ。嘘の指令を俺たちに伝えれば、その指令を俺たちが実行してもしなくても、本当の指令は実行されなかったことになる」
最低ふたりは当番になる奴が必要だな、と篠原は言った。
ぼくはその言葉を聞いて、思うことがあった。話が飛んでしまうけれど、
「先生のまるで時間を止めてるか瞬間移動みたいなのもその電子ドラッグのせいか?」
ぼくは篠原に尋ねた。
「たぶんね。電子ドラッグが身体能力を極限まであげてるんだと思う。人間は脳の10%ほどしか使ってないってよく言うだろ。100%使いこなすことができたなら、人間はああいう人間の域を超えたような動きが可能なのかもしれない。それに、先生がかけてるあの変な眼鏡あるだろ」
「ああ、あの眼鏡やコンタクトレンズを作るときに使うみたいな」
「あれはたぶん電子ドラッグの効果を高めるためのものだ。それが何倍か何十倍か、どれくらいの効果があるのかわからないけどな。先生が行方不明になっていた二週間、その間ずっとあの眼鏡をかけたまま電子ドラッグ漬けだったとしたら、あそこまで身体能力を高められてるのもありえるのかもしれない」
「だったらぼくに考えがある」
ぼくは言った。
「当番制でぼく以外のみんなで篠原の携帯電話を順番に回してくれ。ぼくは他の全員分、死んだ大和と中北のも含めて、29台の携帯電話を預かる。そのすべての携帯で、指令メールを読む。そうすれば、当番になった奴とぼくとふたりで指令をチェックすることになる」
「お前、どういうつもりだ? そんなことしたら電子ドラッグの影響を思いっきり受けることになるぞ」
篠原はそう言ったけれど、
「……そういうことか。わかった」
ぼくが何を考えているかすぐにわかったらしい。
このゲームには三人、敵がいる。ひとりはいじめの首謀者、もうひとりは先生、最後のひとりはいじめロールプレイのアプリだ。アプリのことはひとまず置いておくとして、先生はもちろん、いじめの首謀者も電子ドラッグで、驚異的な身体能力を身につけている可能性がある。
内藤か、それともぼくたちが仮にいじめの首謀者を特定できたとしても、いじめの首謀者が驚異的な身体能力を持っていたら、内藤の撃つ拳銃を簡単にかわせるかもしれなかった。いじめの首謀者を取り押さえることができる人間が必要だった。誰かが先生やいじめの首謀者と同じだけの身体能力を身につけていなければ、ぼくたちはこのゲームに負ける。
けれどぼくはそんな危ない橋を誰かに渡らせることができるような男じゃなかった。だからぼくがその橋を渡るともう決めていた。
「ただ、あの先生ほどの身体能力に追いつくには、いくら二九台あるとはいえ、この携帯電話でただ電子ドラッグを見るだけじゃたぶんだめだ。先生にはあの眼鏡があるからな」
そうだった。篠原の予想が正しければ、あの奇妙な眼鏡には、電子ドラッグの効果を高める作用があるのだ。
「お前、体は丈夫な方か?」
篠原がぼくに尋ねた。
「まぁ、それなりにな。祐葵や大和ほどじゃないけど」
「大和か……おしい奴を亡くしたよな」
篠原は悔しそうな顔で言った。そういえば、篠原は大和と仲が良かった。大和は愚直なまでにまっすぐで、日本の古き良き時代の侍といった男で、ぼくも特に親しいわけではなかったけれど、一目置いていた。篠原は大和の仇がうちたいのかもしれない。
「お前の体が丈夫ならたぶん、俺がやろうとしてることにも耐えられるはずだ」
「何をするつもりだ?」
「お前の携帯電話のいじめロールプレイのアプリをハッキングして、電子ドラッグのプログラムを書き換える。お前の精神が電子ドラッグにやられないように、身体能力だけを高めるよう書き換える。百倍、いや三百倍くらいに高めてやる」
篠原は自信ありげに言った。
「そんなことできるのか」
「やってみないとわからないけど、たぶんな」
少し時間をくれ、篠原はそう言って、ぼくの携帯電話を受け取るとパソコンにつないだ。
キーボードを見ながらでしか文字入力ができないぼくには信じられないような速さで、篠原はただの日本語じゃない、高度なプラグラミング言語を打ち込んでいく。
「お前はもしかしたら、人間を越えて、神様になっちまうかもしれない」
篠原が言った。そしたら俺は神様を作った大神様だな、超神様と崇めてくれてもいいぜ。
こいつがいてくれれば、ぼくたちはこのゲームに勝てるかもしれない。
ぼくがそう思った直後のことだった。
「秋月くん!」
鮎香がぼくの名前を呼んだ。鮎香は伊藤香織のそばにいた。
「伊藤さんが……伊藤さんが……」
鮎香はおろおろと、伊藤の名前を口にした。
「伊藤がどうかしたのか?」
ぼくはあわててふたりに駆け寄った。
「秋月か……わたしもうだめみたい」
そう言った伊藤の顔は真っ青で、文字通り血の気が引いていた。
鮎香が制服のスカーフで止血していたけれど、出血は止まっていなかったらしい。彼女の足元には大きな血だまりができていた。
「だいじょうぶだ、もうすぐこのゲームは終わる。ぼくが終わらせる。すぐに病院に連れてってやる」
ぼくはそう言ったが、伊藤は首を力なく横に振った。
「内藤さんを呼んで」
伊藤はそう言って、鮎香が内藤美嘉を連れてきた。
「なによ、なんなのよ、一体わたしに何の用?」
内藤はかなり気が立っているようだった。無理もない。いじめられる者に選ばれた上に、彼女は仕方がなかったとはいえ、人をひとり殺しているのだ。
しかし、伊藤の足元の大きな血だまりを見ると、悪態をつくのをやめた。
「あんた、死ぬの?」
そう言った。
「たぶんね、もう時間ないみたい」
と伊藤は答えた。
「内藤さんに一言お礼が言いたくて」
「お礼? あんたに礼を言われる筋合いなんて……」
「中北を殺してくれたでしょ」
伊藤はそう言い、ありがとう、と笑った。
「あいつはわたしの、この世界で一番、大切だった人の命を奪ったの」
伊藤は涙を流していた。先生にバタフライナイフで刺されたときですら、悲鳴をあげこそすれ、泣かなかった伊藤が泣いていた。
「それから、お願いがあるの」
わたしの大切な人を殺したのは、中北の他に、もうふたりいる、伊藤は言った。
「野中恵成と平井達也も殺して」
内藤がごくりと生唾を飲み込む音が聞こえた。わかったわ、と小さな声で言った。あんたとあんたの恋人の仇はわたしがとる。
「ありがとう」
伊藤は心から嬉しそうに笑った。
それが伊藤香織の最期の言葉だった。
確かにこのゲームのためにぼくたちに支給された携帯電話に、このゲームと同じ名前のアプリが入っているというのに、それがガチャを引くだけのためのアプリだというのはおかしな話だった。いじめロールプレイのアプリが、指令メールをぼくたちにチェーンメールという形で指令メールを毎回最初の送信者を変えては送信し、ぼくたちはいじめロールプレイのアプリでそのメールを開いていた。いじめロールプレイのアプリがその名の通りこのゲームを支配していたのだ。
「最初の指令に俺たちは誰も従わなかった。だからたぶん1回1回の指令メールが脳に及ぼす影響は大したものじゃないんだと思う。けれどメールは一時間に一回必ず届く。内藤の復讐タイムが1日に4回あるから、それを除いて一日に20回も見ることになる。指令メールを見れば見るほど俺たちの脳は電子ドラッグに侵されるってわけだ」
篠原はそう言って、
「あと何日このゲームが続くかわからないけど、指令メールはもう見ない方がいい」
と続けた。
「そんな、じゃあどうしたらいいんだ?」
ぼくの問いに、
「当番制にするとか?」
和泉が答えた。
「それもいいかもしれないな。残った連中で順番を決めて、担当者が指令の内容を他の連中に伝えればいい。そうすれば俺たちは電子ドラッグの影響を毎時間受けずに、十時間とか二十時間に一回で済むようになる。けど当番制には問題がある」
篠原のその言葉に、今度はぼくが続けた。
「誰かが嘘の指令を伝えるかもしれないってことか」
「そういうこと。もしそいつがいじめの首謀者ならなおさらだ。嘘の指令を俺たちに伝えれば、その指令を俺たちが実行してもしなくても、本当の指令は実行されなかったことになる」
最低ふたりは当番になる奴が必要だな、と篠原は言った。
ぼくはその言葉を聞いて、思うことがあった。話が飛んでしまうけれど、
「先生のまるで時間を止めてるか瞬間移動みたいなのもその電子ドラッグのせいか?」
ぼくは篠原に尋ねた。
「たぶんね。電子ドラッグが身体能力を極限まであげてるんだと思う。人間は脳の10%ほどしか使ってないってよく言うだろ。100%使いこなすことができたなら、人間はああいう人間の域を超えたような動きが可能なのかもしれない。それに、先生がかけてるあの変な眼鏡あるだろ」
「ああ、あの眼鏡やコンタクトレンズを作るときに使うみたいな」
「あれはたぶん電子ドラッグの効果を高めるためのものだ。それが何倍か何十倍か、どれくらいの効果があるのかわからないけどな。先生が行方不明になっていた二週間、その間ずっとあの眼鏡をかけたまま電子ドラッグ漬けだったとしたら、あそこまで身体能力を高められてるのもありえるのかもしれない」
「だったらぼくに考えがある」
ぼくは言った。
「当番制でぼく以外のみんなで篠原の携帯電話を順番に回してくれ。ぼくは他の全員分、死んだ大和と中北のも含めて、29台の携帯電話を預かる。そのすべての携帯で、指令メールを読む。そうすれば、当番になった奴とぼくとふたりで指令をチェックすることになる」
「お前、どういうつもりだ? そんなことしたら電子ドラッグの影響を思いっきり受けることになるぞ」
篠原はそう言ったけれど、
「……そういうことか。わかった」
ぼくが何を考えているかすぐにわかったらしい。
このゲームには三人、敵がいる。ひとりはいじめの首謀者、もうひとりは先生、最後のひとりはいじめロールプレイのアプリだ。アプリのことはひとまず置いておくとして、先生はもちろん、いじめの首謀者も電子ドラッグで、驚異的な身体能力を身につけている可能性がある。
内藤か、それともぼくたちが仮にいじめの首謀者を特定できたとしても、いじめの首謀者が驚異的な身体能力を持っていたら、内藤の撃つ拳銃を簡単にかわせるかもしれなかった。いじめの首謀者を取り押さえることができる人間が必要だった。誰かが先生やいじめの首謀者と同じだけの身体能力を身につけていなければ、ぼくたちはこのゲームに負ける。
けれどぼくはそんな危ない橋を誰かに渡らせることができるような男じゃなかった。だからぼくがその橋を渡るともう決めていた。
「ただ、あの先生ほどの身体能力に追いつくには、いくら二九台あるとはいえ、この携帯電話でただ電子ドラッグを見るだけじゃたぶんだめだ。先生にはあの眼鏡があるからな」
そうだった。篠原の予想が正しければ、あの奇妙な眼鏡には、電子ドラッグの効果を高める作用があるのだ。
「お前、体は丈夫な方か?」
篠原がぼくに尋ねた。
「まぁ、それなりにな。祐葵や大和ほどじゃないけど」
「大和か……おしい奴を亡くしたよな」
篠原は悔しそうな顔で言った。そういえば、篠原は大和と仲が良かった。大和は愚直なまでにまっすぐで、日本の古き良き時代の侍といった男で、ぼくも特に親しいわけではなかったけれど、一目置いていた。篠原は大和の仇がうちたいのかもしれない。
「お前の体が丈夫ならたぶん、俺がやろうとしてることにも耐えられるはずだ」
「何をするつもりだ?」
「お前の携帯電話のいじめロールプレイのアプリをハッキングして、電子ドラッグのプログラムを書き換える。お前の精神が電子ドラッグにやられないように、身体能力だけを高めるよう書き換える。百倍、いや三百倍くらいに高めてやる」
篠原は自信ありげに言った。
「そんなことできるのか」
「やってみないとわからないけど、たぶんな」
少し時間をくれ、篠原はそう言って、ぼくの携帯電話を受け取るとパソコンにつないだ。
キーボードを見ながらでしか文字入力ができないぼくには信じられないような速さで、篠原はただの日本語じゃない、高度なプラグラミング言語を打ち込んでいく。
「お前はもしかしたら、人間を越えて、神様になっちまうかもしれない」
篠原が言った。そしたら俺は神様を作った大神様だな、超神様と崇めてくれてもいいぜ。
こいつがいてくれれば、ぼくたちはこのゲームに勝てるかもしれない。
ぼくがそう思った直後のことだった。
「秋月くん!」
鮎香がぼくの名前を呼んだ。鮎香は伊藤香織のそばにいた。
「伊藤さんが……伊藤さんが……」
鮎香はおろおろと、伊藤の名前を口にした。
「伊藤がどうかしたのか?」
ぼくはあわててふたりに駆け寄った。
「秋月か……わたしもうだめみたい」
そう言った伊藤の顔は真っ青で、文字通り血の気が引いていた。
鮎香が制服のスカーフで止血していたけれど、出血は止まっていなかったらしい。彼女の足元には大きな血だまりができていた。
「だいじょうぶだ、もうすぐこのゲームは終わる。ぼくが終わらせる。すぐに病院に連れてってやる」
ぼくはそう言ったが、伊藤は首を力なく横に振った。
「内藤さんを呼んで」
伊藤はそう言って、鮎香が内藤美嘉を連れてきた。
「なによ、なんなのよ、一体わたしに何の用?」
内藤はかなり気が立っているようだった。無理もない。いじめられる者に選ばれた上に、彼女は仕方がなかったとはいえ、人をひとり殺しているのだ。
しかし、伊藤の足元の大きな血だまりを見ると、悪態をつくのをやめた。
「あんた、死ぬの?」
そう言った。
「たぶんね、もう時間ないみたい」
と伊藤は答えた。
「内藤さんに一言お礼が言いたくて」
「お礼? あんたに礼を言われる筋合いなんて……」
「中北を殺してくれたでしょ」
伊藤はそう言い、ありがとう、と笑った。
「あいつはわたしの、この世界で一番、大切だった人の命を奪ったの」
伊藤は涙を流していた。先生にバタフライナイフで刺されたときですら、悲鳴をあげこそすれ、泣かなかった伊藤が泣いていた。
「それから、お願いがあるの」
わたしの大切な人を殺したのは、中北の他に、もうふたりいる、伊藤は言った。
「野中恵成と平井達也も殺して」
内藤がごくりと生唾を飲み込む音が聞こえた。わかったわ、と小さな声で言った。あんたとあんたの恋人の仇はわたしがとる。
「ありがとう」
伊藤は心から嬉しそうに笑った。
それが伊藤香織の最期の言葉だった。
0
あなたにおすすめの小説
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる